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5-僕に合うもの

書き溜めが尽きました……

「まずお前の戦い方についてだが、全くお前には合っていない。変えろ」


 僕とマントさんは宿屋に戻り、修行の内容についての振り返りを行っていた。僕は彼が言った優れている点についての話を聞きたかったが、最初に切り出されたのは劣っている点についてだった。


「お前の戦い方は敵の弱点を突き、効率的に戦うという戦法。そう教わったと言ったな」

「言いました」

「では聞こう。トロールの弱点は何属性だ?」

「え?」


 突然の質問に驚き少々固まってしまったが、何か意図があってのことだろうと思い、頭をすぐに切り替えた。

 トロール、確か人型で全身毛むくじゃらの魔物だ。ブレイさんから聞いた話だと、人型とはいえ人間離れした巨大な体をしており、いつも手に持っている棍棒で人間を簡単に叩き潰してしまうのだとか。確か温暖な地域に生まれた魔物だから、弱点はそうだ、氷属性のはずだ。


「氷、です」

「約十秒か」


 マントさんが出した謎の数字。それが何を意味するのか、僕が答えを出す前に話は進む。


「お前がトロールの弱点を思い出すまでに十秒だ。急に魔物が現れたとして、十秒もあれば戦況は一気に不利となるだろう」

「そう、ですね」


 言い訳はしない。できないからだ。先日のワーウルフとの戦闘は、まさに今言われたように弱点をとることに気を取られてしまい、危うく死んでしまうところだった。

 この戦い方はブレイさんから教わったものだ。弱点を突いて素早く確実に敵を倒すこと、僕やライナは頭にこびりついて離れないほどにその言葉を聞かされていた。この戦法に疑問など持たなかったし、僕も正しいと思っている。だからいきなり戦法を変えると言われても、どうすればいいのか全く想像がつかなかった。


「お前がその戦い方を満足に行えるのであれば話は別だ。だが実際は違うだろう。このままではお前は、考えている間に死んでしまうだろうよ」

「……否定はできません」

「事実だからな。そこでだ、お前はまともに戦うな」


 まともに戦わない?

 マントさんが言ったことを捉えきれなかった僕は、彼が言った言葉をオウム返しのように発する。そうだ、と一言だけ間を入れたマントさんはその続きを話し出した。


「お前は敵の攻撃を避けること、防ぐことを第一に身に着けろ。なんなら逃げ足を鍛えても構わない」

「えっと、それじゃ戦っても勝てなくないですか」

「そうだな。だから言わせてもらう。お前は勝つことを考えるな」


 勝つことを考えない?

 先ほどと全く同じ反応をしてしまったからだろう。僕が話を理解していないことを察したマントさんは、少しだけ長めの溜息を吐いてから詳細を話してくれた。

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