4-僕にないもの
諸事情で書くのがめっちゃ遅れました……。
日木更新と言いつつ申し訳ありません。
王国直属の魔法使い。そのような立派な地位を持ち、更にそれ相応の実力を持つマントさん。
そんな人に一日だけでも師匠となってもらえることが嬉しかった。僕は彼が指示する通りに魔法を使い、剣を振るった。時間の感覚を忘れるほど修行に夢中となっていた僕は、マントさんが教えてくれるまで日が落ちていることに気が付かなかった。意識していなかったけど、額は汗だくで腕と足はパンパンだ。
そうして現実に帰ってきた僕へ、マントさんはこんな言葉をかけてくれた。
「やはりお前には才能がなかったか」
長めの溜息とともに吐かれたその言葉は、僕の胸をブッスリと突き刺すのだった。
「はっきりと言おう。お前を追放したパーティメンバーの判断は正しい。俺には、お前からこれ以上磨くことができるような才能を見受けられん」
追加攻撃を喰らってしまった。もう胸が痛い。
「ウェン、と言ったな。確かにお前は同年代と比べて剣の腕が立つだろう。だがそれは経験の差だけだ。お前と同じ年齢の子どもがお前と同じような修行を受ければ、恐らくすぐに実力が並ぶだろうよ」
「何故ですか……?」
言葉の剣によって胸が穴だらけになった僕は、か細い声でマントさんに問いかけた。
とはいえ、正直なところ回答の予想はついている。以前パーティを抜けるときの自己分析が、再び頭の中を駆け巡った。
「残念だが貴様は平凡だ。同年代と比べて力が強いわけでも、魔力が高いわけでもない。先ほど確かめたが身体能力が高いわけでもなかった。体の大きさなどは寧ろ華奢なほうだろう。そんなお前が俺と同じように魔法を使いこなしたり、お前の知る元仲間の戦士たちのように戦えるわけがない。伸びしろも……、これ以上は微妙なところだろうな」
やはりそうだ、昔考えた分析通りのことだった。同年代と比べたら実力はあるだけの人間、それが僕なんだ。
視界が黒く染まりだした。マントさんが引き続き何かを話してくれているのだが、全く聞き取れなかった。胸に異物が詰まったかのような気持ち悪さとともに、頬を何かが伝った。今体を覆っているのは悔しさじゃない、悲しみだ。どこまで行ったって希望の光が見えないとわかってしまった感覚。それが今の僕の視界を黒く染め上げていた。
思わず項垂れてしまう。一度は認めたことなのに、いつしか僕はもっと努力すれば、もっと頑張れば、彼女らやマントさんと並べるようになれるのではないかと夢を抱くようになっていたのだ。だが目の前にいる実力がある人から伸びしろがないと言われたということは、その夢は本当にただの夢なのだろう。
やはり僕はパーティに戻ってはダメなのだろうか、そう自分自身に問う。勿論、自分が一番その答えをわかっていた。
そうだ。ダメに決まって――。
「お前の一番の悪いところは、思い込みが激しいところだな」
頭に強い衝撃が加わり、僕は本日二度目の現実への帰還を果たした。色を取り戻した視界を確認すると、マントさんが拳を強く握っている。
「俺はお前とは違い偽りの希望など与えん。だからお前から感じ取ったことを素直に伝えた。だがまだ一部だ。最後まで話を聞け」
「最後まで、ですか?」
僕は痛みを感じる頭を押さえつつ、目の前の人の言葉をそのまま返す。その言葉の意味がいまいちわからなかったから。
「あぁ。確かにお前に才能はないが、お前には優れている部分がある。だから、まぁ、なんだ。そう悲観するな」
固めた拳を解いた彼は、少し照れくさそうにしながらそう言ってくれた。




