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1-俺の道と私の道

――――――

 

「勇者のパーティだと?」


 クラーケンを倒し、船が飛んだ翌日のこと。僕はたどり着いたグゼンという港町の宿屋で一泊を過ごした。急に船が空を飛んでやってきたせいだろう。昨日、港にいた町民たちが大騒ぎしていたことは記憶に新しい。

 マントさんは宿屋に着くと同時に気絶したかのように眠りについた。流石の自信満々な彼も、船を動かすというこの世界において規格外の魔法を唱えたことで酷く疲弊したみたいだ。僕は彼を宿屋まで運んだけれども、その時に見た寝顔はこれまでに見たことがないほどに穏やかな寝顔だった。

 そして一夜が経った今、僕は彼に、僕が元居たパーティに入らないかと告白した。彼が持つ実力ならば、それは世界を救うための役に立つと思ったからだ。僕は自分の過去をマントさんに話し、どうにか彼を引き込もうとしたけれども、結果は彼の顔を見ればすぐに分かった。


「断る。俺は自分の道を進むだけだ。他人の道に興味はない」

「そこをなんとか。世界を救うためには、マントさんのような実力者が必要だと思うんです」

「だろうな。だが力を貸す気がない以上、俺がそのパーティに所属することはあるまいよ」

「どうしてもですか?」

「くどい。交渉をするのであれば、もっと上手い方法を見せろ」

「……」


 僕は黙ってしまった。確かにこれでは交渉じゃなくてお願いだ。いや、確かに最初から交渉をする気などはなく、それこそお願いをするつもりで話しかけたわけだけど。

 そしてそのつもりで話した以上、僕から交渉に使える材料はない。このままお願いをし続けても良いけれど、そうすることで彼の神経を逆撫でてしまっては、よりお願いを聞いてくれない可能性がある。僕はこのお願いを諦め、それならばと別のお願いをすることにした。

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