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6-戦闘・大海の悪魔

困った。早速前書きのネタがなくなってしまいました。

「大丈夫ですか!?」


 血を流して倒れている船員さんに駆け寄って傷の具合を確認する。良かった、見た目ほど傷は深くなさそうだ。これだったら治癒魔法を使えない僕でも手当てができそうだと判断した僕は、包帯を取り出して傷口に巻きつけて止血をした。一旦はこれで大丈夫のはずだ。応急手当だから後でちゃんと医者に診せなければいけないけども。

 船員さんに攻撃が当たらないように端に運び、壊れた扉の向こうを見る。そこには先ほど戦ったものと同じく太いイカの足が船内をバシバシと叩いていた。不幸中の幸いで船底に空いた穴はクラーケンが現れたことでほぼ埋まっているため、浸水はそこまで進んでいなかった。これならば船が沈むまで少しだけ時間を確保できそうだ。それまでにクラーケンを倒して船の被害を押さえれば、船の乗っている人たちは救命ボートなどで最寄りの陸までたどり着くことができるだろう。

 先ほどの戦いを踏まえると僕の剣でも足を斬り落とすことはできるはず。そして残りの七本の足を一本ずつ斬っていけば、本体だって倒すことはできるはずだ。ぐっと剣を握って大きく深呼吸をし、僕は壊れた扉を潜って大海の悪魔(クラーケン)と対峙する。先ほどまで無造作に船の壁を叩いていた足が止まった。恐らく僕という存在を認知したことで攻撃対象を変えたのだろう。

 クラーケンは足の一本を大きく振り上げて叩きつけようとしてくる。避けるという選択はできない。避ければ船底に足が当たり、浸水が進んでしまう可能性があるからだ。ならば真正面から受け止めてから攻撃をするしかない。

 剣を真横に構えてクラーケンからの攻撃に備えていると、人間の横幅くらいの大きさをしたクラーケンの足が、頭上から素早く振り落とされた。重量のあるその攻撃は、まるで潰されたかのような錯覚を覚えるほどの大きな衝撃だった。自分の足に力を入れて根性で剣越しの衝撃に耐えるものの、手がジンジンと痺れてしまいすぐに反撃へ移ることができなかった。

 ……これは、ちょっとまずいかもしれない。

 先ほど足を落とすことができたことで勝機は十分にあると思い込んでいたが、船内で戦うという、そういう風に状況が変わってしまったことがここまで影響があると思っていなかった。敵の弱点である雷属性の魔法も、僕が使える種類の魔法は空から雷を落とすことができるものだけだ。ここが船内である以上、魔法を唱えても船の中まで届くとは思えない。どうする、僕。次の策を考えなければ。

 今度は足が左右から一本ずつ襲い掛かってきた。剣では防げない。そうだ、さっきの戦いのように氷の魔法で壁を――。


「……愚かな者だ。まさか本当に無策で突進するだけとはな」


 冷たい言葉とともに、襲い掛かってきたはずのクラーケンの足が爆発した。誰かが僕を助けてくれたのだ。その誰かを確かめるために声の方向を見てみると、そこには魔法陣を展開したマントさんが呆れた表情で僕を見ていた。

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