3-ところであなたは誰?
とりあえず一旦は週2更新(日木)を目指して頑張ろうと思います。最低でも週1(日)で更新はします。
割と今のところノリに乗っているので、これまでのように上記の頻度より多く更新するかもしれないです。
悪魔の足を一本つぶすことにした僕は、いつの間にか苦しくなっていた息を整えることにした。自分でも気が付かない間に呼吸が不安定になっていたらしい。肺に足りていない酸素を補給しようと、大きく深く息をする。
「き、君。すごいな!」
呼吸を整える僕に声をかけてきたのは甲板に残っていた船員だった。先ほどまで不安な表情を浮かべていた彼だが、今は救いの女神を見つけたかのように目を輝かせている。……まぁ僕は男だけど。
「あの大海の悪魔を返り討ちにするだなんてっ。これで船も安心だな!」
「いや、安心……」
「安心するにはまだ早い」
僕の言葉に被せるように誰かがそう言った。一瞬自分が変な声を出してしまったのかと思ったが、船員の視線が僕から外れていることを見ると、どうやら他に声を出した人がいるようだ。
「奴の本体を倒したわけではあるまい。それに、クラーケンの足の数は八本だ。残る足のすべてか、その本体を潰さない限り、我々が助かったとは言えまいよ」
驚いた。この声の主は僕とまったく同じ考えを持っている。
船員の視線の方へと顔を動かすと、そこにいたのは長身で黒髪の男の人だった。切れ長の目や黒い髪のせいか、彼にはどこかライナの面影を感じる。だが、それだけではない。彼が身にまとっているマントは見たことがあった。確か王国直属の魔法使いに支給されるものだったはずだ。ブレイさんが身にまとっていたのもそうだった。彼は騎士団であったため目の前の人のマントとは色が違うが、刻まれた十字架のような刺繍は同じだ。
「あの、あなたは?」
「ククク、俺が何者かなど些細なことだ。それよりも今はこの状況を打破することの方が優先だとは思わないか。なぁ、少年?」
「え、あ、まぁ」
些細なことかなぁ。マントの人の独特な笑い声を聞きながら、少しだけそのことを疑問に感じた。
しかし状況の打破が優先だということには同感だ。こんなことを言ってくるということは、この人も悪魔の討伐に力を貸してくれるのだろう。
「足はこの海底から伸びていた。ならばクラーケンはこの船の真下にいると考えるのが自然だろうよ。そうすれば船が大きく揺れたのも、クラーケンにぶつかったということで理由がつく」
「あ、はい、確かにそうですね」
「ならば恐らく今頃……」
「おぉい、大変だぁ!」
会話を遮ったのは船内を見渡しに行った船員の人だ。血相を変えて叫んでいる彼は、甲板にいる船員たち全員に声が聞こえるように叫んでいた。
「あ、悪魔が船底に穴をあけて現れた! この船は、もうじき沈むぞ!」




