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1-仲間の心、少年知らず

ようやくあらすじ部分まで進めることができました。

これからのお話をお楽しみください。

――――――

 

 見える景色がだんだんと青一色に染まっていく。先ほどまで見えていた港は、今は影も形も見えない。こうして景色が変わることで、僕はようやくパーティから離脱したことを実感したようだ。もうあの場所には戻れない。理解も覚悟もしていたはずなのに、なんだかとても寂しかった。

 僕は甲板の柵に寄りかかり、ただただぼうっと目の前の海を見つめる。船酔いなど起こすことはなさそうだ。それよりも考えることがいっぱいあるのだから。


『ウェン。……明日から君は旅についてこなくて良い』

『君は足手まといだ。パーティの足枷なんだ』

『君はやっぱり、パーティから抜けるべきだ』


 ライナの言葉が脳内で反響している。足手まとい、足枷。自分が実力不足だということは自覚していたはずなのに、どこか傷ついている自分に嫌悪感を感じた。きっと僕は心のどこかで、自分があのパーティに必要な人間だと思い込もうとしていたんだ。より高まった嫌悪感はため息となって吐き出された。

 

 ……実力不足、かぁ。

 数分ほどの長いため息を吐いていると、流石に一度気持ちは落ち着いたようだ。目の前でゆらゆらと動く波を見ながら、僕は一度過去を振り返ることにした。

 実力不足は自覚していた。ならば僕はそれを補うための努力をしていただろうか。いやできていない。できていれば、今僕はあのパーティに残っているからだ。

 空いた時間の素振りや走り込みなどは怠らないようにしていた。そして万全な状態で戦えるように体調管理もしていたはずだ。睡眠時間の確保や食生活の管理などは意識していたし、旅の中で風邪を引いたことがないのは僕のささやかな自慢だった。

 

 ……待てよ?

 その細やかな自慢が脳裏に浮かんだ時、同時にもう一つの可能性も頭をよぎる。

 ……もしかして風邪を引かなかったということは、もう少し頑張ることができたんじゃないのか?

 僕は戦闘時に判断が鈍ることはあったが、それは風邪や疲れからではなく単純に勉強不足だったからだ。ということは僕は常に健康体で旅をしていたわけだ。ならばもう少し睡眠時間を削ったりして自己研鑽に時間を回すことはできたんじゃないだろうか。

 ……そうか、きっとそうだ! あぁ、なんでこんな簡単なことに気が付かなかったんだろう! 実力不足だと言われたのならば、その実力を埋めさえすれば良かったんだ!

 思わず宙に向かって拳を突き上げた。問題は解決した。あとはその実力を高めつつ、彼女らを追いかければいいはずだ。具体的なアイデアは思いつかないけど、僕が強くなればまたパーティに戻ることはできるだろう。多分。

 港に着いたらすぐに引き返そう。あ、今ライナたちは違う大陸にいるんだっけ。だったらそっちを目指さなきゃ。待ってて、ライナ! みんな!

 希望を抱いて目を輝かせた僕。……だったのだが、その希望に横槍を入れるかのように、船が大きく揺れた。

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