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(四)-4

 再び閉扉の空気圧の音がした瞬間、私はとっさに大声で「ありがとう!」と言った。どうすべきか考えたわけじゃない。本当にとっさの一言、反射的に、だった。でも反射的だったので、それしか言えなかった。

「え、何のこと?」

 ムサシ君はドアが閉まりきる前にそう言った。

 えっ……。なんのことか覚えてない? 覚えていたのは私だけ……? でも、なら、説明しなきゃ!

「会議のプリント! 拾ってくれたでしょ!」

 私は閉まってしまったドアに向かってそう大声を出した。


(続く)

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