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来た、来たぞ、これだ

気づいたら、ジョニーの実家の板張りの廊下の上にナンヤと全裸で立っていた。

身体以外は持ち込めないという、いつものやつらしい。

でも確か、ゲシウムに行ったときは服を持ち込めたけど、何が違うんだろう……。

一瞬、真面目に考え込みかけると、ナンヤが驚いた顔で

「うわっ、裸だね……」

「とっ、とりあえず、服を……」

私の部屋へと足音を立てずに、夜中の廊下を歩いていき扉を開けると

同じく、何も着ていないルナーが、汗だくで私のベッドの上でしゃがみこみ、ひとり、上下に揺れながら何かをしている最中だった。

手には布切れのようなものが握られている。

「あの……」

驚く私に、ルナーは汗まみれで真っ赤な顔を歪めて驚いて

「あっ……出かけたはずでは……そして、なぜ……」

三人でしばらく固まって、見つめあったあとに、私がどうにか身体を動かして

下着入れに手を伸ばして3人分取り出し、二人に素早く投げ渡した。

いそいそとそれらを着だした私含む女3人……何だこの光景……とは思わないことにする。


五分後


さらに私のタンスの服を着て、ルナーは床に脱ぎ散らかしていた自分のビッグサイズのパーカーを被る。

椅子やら座布団やら思い思いのところに座った私たちは、しばらく黙って床を見つめる。何から話したら良いのか誰も分からないようだ。

とりあえず、ルナーにナンヤを紹介しようと

「えっ、えっと、この子はナンヤちゃん。色々あって、手伝って貰うことに……」

ルナーは鋭い目つきでナンヤを見つめると

「おい、アイの一番の親友は私だ。野外露出を共にしたからと言って調子に乗るな」

「やっ、やがい、ろしゅつって何……?」

ナンヤが困惑した顔で私を見つめてきたので、私はルナーを向きできるだけ真剣に

「いや、二人でお外で脱いでたわけじゃなくて、私やルナーちゃんの星からミイさんに移動させられたら、服が無くなってたの」

ルナーは耳まで真っ赤にすると

「そっ、そうか……すまない。てっきり私は……」

「あの、ルナーちゃんは私のベッドで何をしていたの?」

ルナーは「くっ……」と呟くとしばらく苦し気に黙り、大きく深呼吸して

「ほ、ほら、私は肉の身体を持つのは久しぶりだろう?なので、調査していたんだ。感度をな。この身体がどれくらい使えるのか」

明らかに無理をした表情で胸を張ってきたルナーに、ナンヤが

「裸で何を調査していたのー?」

邪気の無い質問をしてしまう、またルナーは「くっ……」と漏らしてから、どうにか二度ほど深呼吸をして

「つっ、つまり……身体的な感覚などを細部にわたるまで調べていたんだ。そう……例えば興奮状態だと、どのような反応を示すのかなどな」

私はルナーが何をやっていたのかは、とっくに分かっているので、もう放っておいてやりたいが、ナンヤはさらに邪気の無い顔で

「でも、ここ、ジョニーさんの実家に貸してもらってるアイちゃんのお部屋でしょ?なんで、あなたが、裸でアイちゃんのベッドに?」

不思議そうに、澄んだ目でルナーを見つめた。

ルナーは「くっ、くうぅ……」小さな嗚咽を漏らすと、涙目で私を見て、助けを求めてくる。私はチラッとナンヤを見て

「もう許してあげて」とアイコンタクトで伝えるが、この状況の意味がよく分かってないらしいナンヤは首を傾げるばかりだ。


三人で黙っていると、ナンヤがまたポツリと

「あのー……さっきからお尻の下に敷いているものは、それ、アイちゃんの下着?」

ルナーの座っているお尻の辺りを見て言ってくる。ルナーは一瞬、その場に崩れ落ちそうになり

「そっ、そうだ……白状するよ……私はアイの部屋で性的興奮を得ていた……。アイが居ない隙にな……くっ……なんていうドエスなんだ……」

「ドエス……?」

ナンヤは私に首を傾げてくる。私は何とかこの場を収めようと

「えっとね、ルナーちゃん、ナンヤちゃんは凄い力を持ってるから、それに、この今いる星は、共鳴粒子っていう混沌粒子で創られた偽物で、だから、えっと、たぶんだけど、ナンヤちゃんに隠し事はできないよね?」

ナンヤは頷いて

「うんー。ここも混沌粒子で満ちてるからねー。今の私なら、色々教えてくれるよ?」

ルナーは衝撃を受けた顔をして

「なっ、まっ、待て……と言うことは、私がアイの風呂場を盗撮しようしているのも、いざという時に今のように使うために下着を数枚拝借しているのもアイを撮影するためにスマートフォンの動画の使い方をヤマグチを騙して習っているのも分かるのか!?」

「ルナーちゃん……まだこっち来て二日目とかだよね……」

ルナーたちの時間経過はそうだったはずだ。

早くもそこまで手を伸ばしていたのか……。

私はしょうもないことに付き合って時間がもっと進んでるけど!

ナンヤは腕を組んで考えながら

「えっとー私が望まないと教えてくれないからねー……そこまでは、うーむ」

ルナーは言い過ぎたことに気づいた顔をして、ようやく青ざめて私を見てくる。

「……あの、えっと、下着はあげるし、動画もいいんだけど、お風呂盗撮はやめてくれるとたすかるかなぁ……あとベッドも片付けてね?」

ルナーはホッとした表情で肩を落とし

「すまない……久しぶりに肉体を持ったのが嬉しくて、欲望に走ってしまったんだ」

「いいんだけど、えっと、ちょっと手伝って貰えない?」

私は、ナンヤに補足してもらいつつ事情をルナーに説明していく。


ルナーは、ジョニーのエロ島に自分の妄想を付け足すという無茶な頼みにもあっさりと頷いてくれた。

「……酷い姿を見られた上に、あっさり許されたからな。なんでもしよう」

正座して真剣な顔で言ってくるルナーに安心していると

「じゃーまたアイちゃんたちの星にワープさせますよー」

どこかから、スズナカの声が響いてきて、辺りの景色が歪みだしたので

「大事な私のふっ、服が消える!みんな、早く脱いで!」

私が慌てて脱ぎだしたので、ルナーとナンヤも服を脱ぎ捨てていく。



……



三人纏めて一糸まとわぬ姿で元のアホな形をしている山の残った片乳の山頂へと移動した。

ルナーも黒髪の身体のままワープしてきた。

「なんか、スースーするね……」

ナンヤはそう言うと私の肩にタッチして、

いきなりさっきまで着ていた服を自分の身体の上に再現する。

「はい、アイちゃんも」

私も瞬時に先ほどまでの地球の服装に包まれた。

「そっ、そうか……私の力で創り出せばいいんだね」

ナンヤがルナーの肩もタッチしようとすると

「ちょ、ちょっと待ってくれ……アイたちより、みすぼらしくて、きわどい服にしてくれないか?着るのも恥ずかしいような……」

ルナーの言葉に、ナンヤが困惑した顔をする。

私は言っている意味は分かる。どエムな刺激が欲しいんだと思う……。

エロい想像をするためには……。

私はちょっと考えて、真っ赤な細い紐水着をルナーに着せた。

布は所々擦り切れていてかなり古めのものだ。

「くっ……恥ずかしいな……ちょっと動いたら見えるぞ……いいなこれ……」

ルナーは耳まで真っ赤になりながら、嬉しそうに上目遣いで私を見つめてくる。

もう何やってるか、自分でもわかんなくなりつつあるけど!

混沌粒子を安定させるためには仕方ないよね……?よね……。


私たちはその場で車座になって座り込み、ナンヤがそれぞれの手を伸ばし、私とルナーの肩を触る。

「これで力が伝わると思うよー。私がアイちゃんの力を使いつつルナーちゃんの想像したものを創りだします」

助かる。私はどうやら居ればいいだけらしい。苦労した甲斐があった気がする。

ルナーは細い紐水着の位置を直しつつ、胡坐をかいて座りながら

「……たしか、神を消したんだったな?ジョニーがいい加減に創ったこの島の支配者を。その代わりを私が創るんだな?」

私とナンヤが無言で頷くと、ルナーは真剣な顔で

「……アイ、いいのか?私が創った神で」

念を押してくる。私も真剣な顔で頷くと

「よし……では、エロを探求させてもらう、自らの身体を使ってな」

ルナーはそう言いながら、自分の着ている紐水着を思いっきりずらした。

「あの……」

「くっ……恥ずかしい……軍人の頃は裸を見られることも慣れていたが、この身体になってから、凄く身体にまつわる羞恥心がある……。筋肉量が以前より少ないから、精神に作用しているのかもしれないが……」

色々と見えているルナーは耳まで真っ赤になりながらブツブツと呟くと

「よ、よーし……ちょっと見えてきた。だが、これではまだ足りない。もっとだ……」

いきなりその場で背筋をそらしてブリッジし始める。

「くそっ……なんてことをしてるんだ私は……だが、さらに見えてきたぞ……」

「あの……」

「……えー」

ノーマルな私とナンヤは言葉が出ない。ルナーは羞恥心に打ち震えながら、もう色々と言葉では表現できないようなあらゆる行為を

一時間くらい私と、うんざりした顔をしているナンヤに散々見せつけた。


最終的には、鼻に詰めた小石を噴き出して、頭の上で丸めて乗せていた紐水着をゆっくりと着ると

「来た。来たぞ。これだ……これぞ、エロの究極だ……神が私に宿った……」

そう呟いて、ガシッと私とナンヤの肩を掴んできた。

ナンヤは軽くため息を吐いて、こちらを見てくる。私が頷くと、いきなり全身から力が吸いだされるような感触がして辺りにピンク色の靄が立ち込め始めた。

いつものことながら嫌な予感しかしないけど、早く終わってほしいので耐える……。

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