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“不死の無能”の神域超越《クロスオーバー》  作者: 大岸瑠璃
第一部 一章 異世界召喚編 追憶の復活
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第十二話 『追憶』

■SIDE 異世界転生について


世界というものは、螺旋階段のようなものだ。

その例えが示すように、世界一つ一つが高所を目指し組重なって出来ている。

となれば当然世界の『高さ』には差があり、それは同時に世界自体の番付となっている。高位の世界ほど質の高い発展を遂げ、下位の世界は荒廃の一途を辿る傾向にあるように。


これは世界の真理だ。

上がいるなら下がいる。強者がいれば弱者がいる。

弱肉強食、食物連鎖。それらのような世界の序列付けも、『世界』が必要だと判断したために造り上げられた絶対不滅のルール。


無論、下位の世界の発展により、世界の序列が突然変動することもままあることだ。

例えばそれを為したのは偉大な科学者の画期的な開発品。博識な数学者の発見した法則。圧倒的強者の生み出した新たな武器。


もしくは、俗に『異世界人』と呼ばれた人間の、それら全て。


世界の活性を促すため、神と呼ばれし世界の管理人たちが『転移』、もしくは『転生』と呼ばれる異世界人の『世界移動』を行うことはしばしばあることだ。

『異世界転移』とは、言わずもがな、異世界人を別の異世界へとそのまま「移動」させること。


ならば、『異世界転生』とは何か。

それは死んだ異世界人の魂をベースとし、記憶を含む『精神』を取り付けた身体の再構築である。


人間が人間たる三要素のうち、『身体』を覗いた『魂』と『精神』の移動。その性質ゆえに、生存している異世界人を移動させることに特化している『異世界転移』とは違い、『異世界転生』は死人を異世界へと移動させることに特化している。


ならば、何故『異世界転生』には身体の再構築が必要なのか。なぜ、生前の肉体で生まれ変われないのか。

それを聞かれれば、こう答えるしかないだろう―――()()()()()()()()()()()()()()()()


例えとある二つの世界に人類が点在していたとしても、その二つの世界の環境が全く同じとは限らない。一方の世界の環境が、もう一方の世界にとっては猛毒となりうることも当然ありうることだ。


元の世界に帰還する可能性のある転移人は“加護”によって保護されてはいるが、“元の世界”そのものを変換される転生人にはそれもない。


では、どうすれば異世界の毒は克服できる?


簡単だ。その環境に合った身体を構築すればいい。そうすれば、少なくとも環境のせいで死ぬことはない。

だからこそ、『再構築』は世界の活性の為にも、『魂』と『精神』とためにも、必要なプロセスだと言える。


では、ここで余談とはなるが、ある話をしよう。


ごく、極稀にではあるが······時たま、『異世界転生』が“失敗”する場合がある。その場合、命を失うというほど大きい代償ではないものの、『精神』の一部を失ってしまう。


つまり、記憶喪失。


失った記憶は置いていかれる形で次元の狭間に取り残されているので、ほとんどの場合戻って来ることはない。


あるとすればその鍵は······もう一つの記憶媒体『肉体』のみとなる。


◇ ◇ ◇

■SIDE 天川一涙(イチル)


「……あれ」


勝ったばかりのラノベをほんの少し読んでいただけなのに、何か、とても長い夢を見ていたような気がする。

苦しくて、怖くて、つらい夢。電柱のそばにしゃがみ込み内容を思い出そうとするが、夢ってのはなかなか思い出せない。


素直に諦めて、家まで帰る。


立ち上がると、沈みかけの太陽から吹いた冷たい風が、伸び気味な前髪をそっと巻き上げた。

文庫本の入った袋をブラブラさせながら、こめかみに生えた髪の毛を指でいじって、()は空を見上げつつ歩き始める。

道沿いの家から、見知らぬ家族がにぎやかに談笑していた。夢と希望、優しさと温もりに満ちた会話からいち早く逃げるように、一層速足で歩いて帰宅路を辿る。

途中の曲がり角でふと足を止め、そう言えば教科書貸してたっけな……と割と重要なことを思い出した。残念なことに明日はテスト。門限を破る覚悟を胸に留め、友人の家を目指して、実家の帰路とは別の道を辿り始める。


自転車を走らせれば門限にも間に合いそうなものだが、学校から近い場所に家があることもあって、普段そこまで必要としないために自転車は持っていない。もっとも、最近は外出の機会も多くなってきているのでそろそろ必要になるころだとは思っているが。


またお年玉を崩さないといけねえのかなあ……などと考えながら街灯の光をくぐる。空はもう暗くなっていた。

すると、数十メートル先から二人の男女が歩いてくるのが見える。あちらも気が付いたのだろう、にこやかに手を振りながら駆けてくる二人。


彼らは僕の友人。確か(・・)名前は……弘明(ヒロアキ)と、花梨(カリン)


中学時代からの付き合いであり、僕にラノベを教えてくれた張本人たちでもある。

昔からこれといった趣味を持たなかった僕がラノベに興味を持ち始めたのは、二人がラノベを片手に談笑しているのを見かけたからだ。他のクラスメイト達は二人と距離を置いていたが、僕は二人を見てそこまで夢中になれるほど面白いものなんだろうかと、二人と接点を持ち始めた。


今ではクラスメイトの理解もあって、日常的にラノベの話に花を咲かせるほどの中になっている。

そんな彼らが、なぜこんな夜にここまで来ているのか。その理由は、ヒロアキの掲げた教科書にあった。


「よっ、これ、忘れてたろ?」

「あ、サンキュな」


教科書を右手で受け取り、お礼を一言。どうやらヒロアキも教科書を借りていたのを思い出してくれていたようだ。

ヒロアキが来たのは分かるが、解せぬのが一人。


「というか、カリンもついてきたんだ。こんな遅い時間なのに」

「何よ。悪い?」

「いや、悪いってわけでもないけれども」


刺々しい様子のカリンに言葉が詰まった。でも、多分僕やヒロアキを心配してついてきてくれたのだと思う。心の奥だけは、そんな優しい女の子だから。


「家まで送るよ。どうせ、親御さんに怒られる覚悟で来たんだろ? 教科書借りたのは俺だ。一緒に怒られてやる。どうだ? カッコいいだろ?」

「それさえ言わなかったらな」

「じゃあ、さっさと行くわよ」


すたすたと先に歩を進めるカリンを見て、ヒロアキと顔を見合わせる。僕たちは何も言わなかったが、向かい合って笑う寸前のようにいたずらっぽく顔を歪ませた。


足早にカリンの横に並ぶと、真っ暗の歩道を、時々会話しながらわやわやと歩く。最近ハマっているラノベとか、流行っているゲームとかについて話しながら、ひたすらに歩く。


周りの家々の照明は恐ろしい勢いで消えていき、町はたちまち闇に包まれる。唯一の光源である街灯の下を通りながら会話する僕は、その事に気がつかない。そのうち、帰宅路には人も車も通らなくなった。

そんな歩道に、僕たちの足音だけが響く。


パタパタパタパタ······ピチャッ。


「······え」


突然、雨粒の音。至近から飛来した水滴が、僕の頬を赤く濡らす。

横を振り向くと······目から血を流し、虚ろな目をして歩いていたヒロアキとカリンが、体中に風穴を開けてドシャッ、と倒れた。


一体何が······そう考えるよりも先に、僕の視界が九十度傾く。


気がつくと、僕の目の前には比喩でもなく、血の海が広がっていた。

僕の体に三十センチ大の大穴が穿たれていることにも気づかず、僕は目の前の光景に目が釘付けになる。


いつの間にか街灯の光すら消え失せていた。そのせいか浅黒く見える血の池の上から、槍のように伸びた『闇』が、二人の体を貫いている。『闇』は夜の闇に覆われて見えなくなり、二人の体は首吊りの死体みたく揺れながら浮いているように見えた。


「なにが、おこっ、た······?」


呟いたが、答えてくれる人はいない。代わりに、闇の奥から黄金に光る瞳だけが見えた。ピチャッ、ピチャッと水を蹴る音がした後、数秒もしない内にその姿が朧に見える。


奇妙な風体、奇妙な衣服、奇妙な髪型。

黒の布地に金色の刺繍を施したローブを着、尖ったアフロのように逆立ったボサボサの頭で、西洋と中華人のハーフのような顔つきの男。


先程その奇妙さを少しでも笑った自分に、名状しがたい吐き気を覚える。

瞬間、人の形をした、全身に風穴を開けた『からだ』が血を吹き上げた。その血が、倒れ伏す僕の全身に吹きかかる。


「―――愚かな」


ポツリ、と一言。

およそ感情の籠った言葉ではない。静かな怒りを圧し殺し、さも事実のみを言っているのだという風に男は言う。


瞬間、生まれてこのかた味わったことのない激痛が、僕を焼いた。


「······う、ぐ、ぁぁぁあああ!!」


血反吐を撒き散らしながら硬直した喉で叫ぶ。

辛うじて転げ回りたい衝動を押さえることができたのは、襲い来るであろうさらなる激痛が怖かったからだ。

微かに震える手で両手で血と内蔵を吐き出し続ける腹の奥を押さえつけながら、こちらを見下ろす男を僕は見据えた。


「―――お前さえいなければ、死ぬことなんてなかったのに」

「―――返してよ。私たちの命を、返してよ!」


生きているはずもない二人の体が起き上がり、身体中から血を拭き出しながら僕に呪詛を吐き出す。


「ごめん······! ごめん······! ごめん、なさい」


たぶん、幻覚だったのだろう。枯れた声で謝ると、再び、二人の体はぐったりと垂れた。

何かを握りつぶすように手を添えた胸に、どでかい穴が開いていることに今になって気がつく。


「嗚呼······滑稽だ」


そんな声が聞こえた後、男の『闇』は再び槍状になって地を這い、執拗に僕を突き刺し続けた。

『闇』が頭を突き刺して一瞬で終わらせてくれるならどれほど良かっただろうか。しかし、『闇』は僕の命を一瞬で奪わず、足先から徐々に潰すように体へ競り上がってくる。


「ぁ······っ、っ」


痛みに悶える余裕もなかった。血反吐で塗り固められた痰が喉に詰まり、僕の呼吸そのものを困難にしているからだ。だが、そんなことはお構い無く、神経を突き刺すような痛みは異常なほどの不快感をもたらしていた。


「た、すけ······」


思わず絶望の表情を浮かべ、男に向かって手を伸ばす。

しかしその手を男は踏みしめ、ついで潰した。太い枝の折れる音が立ち上り、冷えるような激痛が右手の甲を襲う。


「―――下衆だな、貴様」

「······ああ······」


そうだ。その言葉は、どうしようもなく的を射ている。一瞬でも、僕は自分だけでも助かろうとした。確かに、最低な行為だ。


枯れた声で呻くと、僕は深く俯いた。視界が真っ黒な霧に覆い隠され、気が付くと虚無の空間に俺は立っている。真っ暗闇の只中に、僕の足音だけが響く。


コツ、コツ、コツ、コツ······コツ。


また立ち止まる。いつの間にか、足元が漆黒の虚無から、真っ白な床に変わっている。付近を見渡すと、回りも目映いほどの純白だった。まるで、生と死の狭間にいるような······。


「おはようございます。天川イチルさん」


ふと、目の前から柔らかな声が聞こえた気がした。

美しい少女だった。純白のドレスに、腰の白剣。

同じく純白のベールに薄く覆い隠され、微笑を浮かべた顔は優しげで、おおらかで、凛としている。剣を吊り下げているのを含めても、初々しい花嫁のようなその姿は、この真っ白な空間の中にあってなお、光を放っているほどに美しい。


「おはよう、ございます」


その美しさに見惚れているのか、()の声は震えていた。なぜか、恐れに似た胸の疼きも感じたけれど。

少女は、浮かべていた微笑を曇らせる。


「あなたは、死んでしまいました」


ああ、俺は死んだのか―――と、俺は素直にそう思った。

それから、いろいろなことを聞かされた。生命の「作成」と「根源」を司る神、創生神イデアール。それが彼女の名前だという事。ここはあの世みたいな場所で、俺はこのままでは崩壊を待つだけの「魂」の存在であることも、少女に聞かされた。


「あなたには、異世界へと転生する権利が与えられました。あなたの世界の知識を持ったまま、その知識を活用して別世界の発展の促進を図る。それが、私が望むことです」

「はぁ……」


直面したら面白そう、などと思っていた異世界転生。胸に湧き上がるのは、むしろ憂鬱感しかなかった。胸に痛みを感じて、そこに手を当てると、俺は右手で自分の胸を強く握りしめていた。その手はなぜか、怒りに震えていた。


「「イチル……」」


突然、後ろから誰かが俺の名を呼んだ。

聞き覚えのある声だった。というより、先ほど聞いたばかりの声だった。

一瞬硬直した後、恐る恐る後ろを振り向く。

純白の空間に、いつの間にかヒロアキとカリンが立っていた。


ヒロアキ……カリン………。


何かを言おうと口を開けるが、すぐに閉じる。

俺が、こいつらに軽々しく言える言葉なんてないんだ。俺はこいつらを、一瞬、見捨てたんだから。


「ごめん。……ごめん」


言えるのは謝罪の言葉だけだ。

すると、ヒロアキとカリンは顔を見合わせて、そして笑う。


人が生きたいと思うなんて普通のことだよ。そんなに気にすんな……

別に、あんたの気持ちなんて、誰も気にしちゃいないわよ。勝手に一人で背負わないで……


そう慰めの言葉を掛けられて、俺は沈んでいた気持ちが急に高揚したのを感じた。俺は許してもらえた……俺は気にしなくていいんだ。突如降って湧いたそんな無責任な安心感に、身を委ねる。それを微笑ましい様子で見ていた少女も、一度頷いた。


「それほどの友情ならば、心配はないでしょう。さあ、あそこに向かって歩いてください。あなた方にはその道中、『力』が宿ります。誰も叶わない、誰もあなた方に対抗できない。そんな力を」


そうして少女が指示した空間の一点を目指して、俺たちは歩き始める。


コツコツコツコツ……コツ、コツッ


「ん……ヒロアキ、カリン……?」


ふと立ち止まった。さっきまで両隣で歩いていたはずのヒロアキとカリンの姿が見当たらない。

それどころか、周囲の光景がいっぺんに変化している。先ほどの純白とは真反対の色彩。すなわち、深淵の空間。


一瞬足を止め、周りを見渡す。すると、進行方向の奥から、吐き気がするようなおぞましいモノが接近してくる。それは虚ろな塊だった。深淵の中にあって、なお深淵だと認識できるほどの邪悪だと思った。


「ああ……うああ……!」


腰から力が抜け、その場に崩れ落ちる。逃げなければ、そう思うが、俺の足には力が入らない。

ああ、これがチート能力か―――などと悠長にそれを眺めている別の意識を殴り飛ばしても、それは変わらなかった。


そして、ゆっくりと近づいた深淵の塊は、風呂敷包みを広げるように大きく広がり、俺を包み込んだ。


―――ダメだ。やめろ、嫌だ。

―――な、んだよこれ……! みんな忘れろ? 俺の使命? 暗黒神の眷属となる……? 家族を忘れる……?


心の中で、かつての誰かの叫びが俺の叫びと重なる。同時に思い浮かべたのは、家族や、友人の姿。みんな待っている。俺を探している。転生なんか、するべきではなかった。そんな思考を繰り返して、俺は意識を侵食する謎の声に抗い続けた。


やがて、深淵は消え……周囲が変わった。顔を上げると、そこはもうどこまでも続く深淵ではなく、どことも分からない洞窟の中だった。恐らくはもう異世界……《生命の神巣》と呼ばれる、ダンジョンの中だったはずだ。俺をスポットライトのように照らす光源を見上げると、天井には人がやっと一人入るくらいの穴が開いている。

あそこから入ったんだっけな……などと考えながらも、立ち止まることなく、視点を動かしすらせず歩き続ける。


ふと、行く手から物音と、かすかに声が聞こえた気がした。


何か、コソコソと動く気配。悪人のようなドスの利いた声ではなく、聞き覚えのある声だった。少しだけ早歩きになりながら、声のした場所まで急ぐ。

やがて前方の奥に、温かな緑色の光を放つ丸い入り口が見えた。なぜか動きのぎこちない足を懸命に動かし、入口の奥へと辿りつく。

そこは広く、美しい場所だった。岩に草や木々が生え、澄んだ色の湖の中には魚が泳いでいる。壁や天井には苔の他にも色とりどりの宝石が散りばめられ、夜空の星々のように洞窟を照らしていた。

最も驚愕したのはその奥、湖の向こうの小さな島に、白金の狼が眠っている。狼の眠る土の上では、より一層の草木が生い茂っていた。


するとその湖のそばで、二人の人影が背中を向けていることに気が付く。

顔を見ずとも、彼らが誰なのかはすぐに解った。ヒロアキとカリンだ。


よかった……二人とも、ちゃんといたんだ。


なぜかそんなことを考えながら、二人に声を掛けようとするが、その声は小さく震えている。ここに来るまで、二人の様子はどうにもおかしかった。全く知らないはずのこの異世界で、その住民すら知らないだろう《生命の神巣》にたどり着いたくらいに。そんな違和感に、首を傾げていると、


―――《解放せよ(リリース)


二人の声が重なって、そんな祝詞が聞こえた後。煮えたぎるマグマのように揺らめく煉獄のようなオーラの奔流が、二人を包み込んだ。ついで二人は寄り添いあって手を翳し、手のひらを白狼に向ける。


―――《死を届けよ(コンシニアレ モルテ)


瞬間、二人の手から射出された漆黒の奔流が、白狼目掛けて殺到した。


―――ギ、アアアアアア!!


耳の奥に、そんな声が響く。なぜ、二人はあのきれいな狼を攻撃しているのか、全くわからなかった。何事かと聞こうとしても、足が、動かない。代わりに、二人が止まらないこともなんとなくわかった。その口に、以前とは似ても似つかない邪悪な笑みを浮かべていたから。


二人は間髪入れず、次々と攻撃を繰り出す。


―――《死を届けよ(コンシニアレ モルテ)》《死を届けよ(コンシニアレ モルテ)》《死を届けよ(コンシニアレ モルテ)》!!


二人の出した漆黒の闇は、白狼を弱らせると同時に周囲の木々を枯らしていた。二人が祝詞を上げるたび、周囲はどす黒い闇に包まれている。白狼は、休む間もなく接近する闇の奔流を跳躍しては掻い潜り、回避行動を取り続けていた。しかし、それでもやはりいくらかは被弾してしまう。


―――なぜ、反撃しないのだろう、と俺は疑問に思った。白狼の身体能力は驚異的で、湖を飛び越えて二人にその凶牙を振るう事だって出来るはずだ。なのに、白狼は回避行動しかとらない。

……もしかして、俺たちを、殺したくないのか……?


そう考えているうちに、白狼は致命的な攻撃を幾つも受け、やがて動きを止めた。


「……まだ生きているわね……」

「ああ、確実に息の根を止めないとな……」


ブツブツと呟きながら、ヒロアキとカリンは手を翳す。白狼の呼吸は弱弱しく、今にも死んでしまいそうだった。

白狼が、こちらを見る。


―――助けなければ。


そう思った瞬間、俺の体は動いていた。助走をつけ、大きく跳躍する。以前とは考えられない力が出た。飛び上がった俺の身体はふわりと浮かび上がり、白狼の島へと着地する。目の前では、漆黒の奔流が殺到していた。俺は天を仰ぐように両手を掲げ、叫ぶ。


「―――《死よ 守護せよプロテギュランスモルテ》!」


目の前で展開される漆黒の障壁。それは、ヒロアキやカリンと同じ力。その使い方を、何故か俺は知っていた。

殺到する奔流には到底受け切れないほどの力が込められていたが、障壁に角度をつけていなすように逸らす。漆黒の奔流が後方へ飛び、背後の壁を破壊する。白狼を見ると、俺の視界は捻じ曲がるように歪み、白狼は姿を消していた。


―――良かった、逃げられたみたいだ。


と、ほっとしていると、


「おい、イチル! これはどういうつもりだ」

「どういうつもりだ、じゃねえよ! お前らおかしいよ! 何で、この狼をそんなに目の敵にするんだ! こいつが何をしたってわけでもないのに。そもそも、ここに来る必要なんてなかっただろ!」


ヒロアキの不機嫌な言葉に、俺は気が付けば、違和感を吐き出すように返していた。すると、神妙な顔つきになるヒロアキを差し置いて、カリンは前に出てこう言う。


「あなた、頭がおかしいんじゃないの? 創生神イデアールを殺すこと。それが、私たち眷属に充てられた“使命”でしょう?」

「お前ら……何を、言ってるんだ……?」


喉が掠れ、呆然とした声を漏らす。やはり、何かがおかしい。それを認識した瞬間、洞窟やヒロアキやカリンも空気に溶けるように消え、周囲が暗闇に包まれる。これまでの全てを忘れたように、俺はその空間を歩いていた。


ふと、立ち止まると、なぜか、恐怖が押し寄せた。


もう嫌だ。これ以上は見たくない。思い出したくない。いやだいやだ嫌だ嫌だ……。

硬質的な床にうずくまり、両手で耳を塞ぎ、目を固く瞑る。しかし、記憶と言う光景は、鮮明に次の光景を映し出した。


俺が立っていたのは、深淵の闇。顔を上げると、純白のドレスの少女が、微笑を浮かべて立っていた。その少女の前で、カリンとヒロアキは跪いている。声を上げようとしたが、真空空間にいるように声は響かない。故に、疑問は心の中のみで渦巻いた。


―――え、どういうことだ……? 創生神イデアールってのはその少女で、カリンはそいつを殺すって……


その答えは、すぐに解った。少女の姿が、変わっていく。


純白のドレスは、漆黒のドレスに。

純白のベールは、顔を覆い隠す闇の瘴気に。

神々しい白剣は、虚無の刃に。


そして、優しくて、おおらかで、凛とした微笑は……この世の悪を混ぜて数倍に増幅したような、邪悪な哄笑に。


初めまして(・・・・・)、天川イチル。我は「死」を司る神……暗黒神アルマ・マユ」


そうして少女……暗黒神アルマ・マユはそう答えた。

俺は直感する。あの深淵の塊。あれは『力』をもたらすモノと同時に誘惑だったのだと。飲み込まれれば、こいつの······暗黒神の“眷属”と化す、罠だったのだと。


「我の“眷属化”を免れる人間など珍しい。……が、珍しいというだけで価値は一文にもならぬ。ヒロアキ、カリン」

「「はっ」」


暗黒神の呼び声に二人は頷き、その手に『死』の瘴気を纏って近づいてくる。

やめてくれ、二人とも、こんなことやめてくれ!

必死に懇願しても、二人はむしろ楽しげな、それでいて恍惚とした顔つきで迫ってくる。


「こんなことでアルマ様のお役に立てるなんて素晴らしいわね!」

「ああ。だが、これは俺たちの不始末が起こしたことだ。すぐに処理するぞ」


やめろ、やめろ!

俺は両手で髪の毛をむしり取りながら、絶叫した。

友達に殺される。しかも、なんの感慨も抱かれずに、むしろ喜ばれて俺は殺される。こんな最悪な死に方があるものか。


死の障壁を展開しようと手を伸ばすが、上げた顎をヒロアキに蹴り抜かれる。もんどりうって俺は数メートルも転がった。震える腕に力を入れて立ち上がろうとするが、途中力が抜けて床に這いつくばる。

それでも手を伸ばし、指で床をつかんで必死に逃げようとする。こんな終わり方なんて嫌だ。絶対に、嫌だ。その一心で、指を床に突き立て続ける。爪が剥がれ、血が飛び散るが構わず進む。


しかし、ヒロアキたちの手は、こちらに翳されていて。

もうだめか、と指から力を抜く。もう何も見たくはない、と俺は目をきつく閉じた。


瞬間、世界が色を取り戻す。


ブォンという、煙をかき消すような音。緑色の光。

恐る恐る目を開けると、漆黒の奔流は掻き消えていた。そして、俺を生命力(・・・)に満ち溢れた緑光が優しく包み込んでくれている。


ヒロアキやカリン、そして暗黒神すら驚きの視線を向けていた。いつの間にか、俺を守るように前に立った一人の少女に。


美しい少女だった。純白のドレスに、腰の白剣。

同じく純白のベールに薄く覆い隠され、微笑を浮かべた顔は優しげで、おおらかで、凛としている。剣を吊り下げているのを含めても、初々しい花嫁のようなその姿は、この深淵の空間にたった一つ輝いている。


この少女を一言で表すならば、この世の救いのような、希望の光だった。


「やはり来たか……創生神(・・・)!!」


暗黒神が声を上げる。その顔は、歓喜に満ちていた。創生神は決然とした表情で、暗黒神に答える。


「死んだ魂のルートを改変し、何も知らない異世界人を“眷属化”した暴挙、決して許されてよいことではありません。あなたはここで、私が倒します!」

「やれるものならやってみるが好いぞ! じゃが、ここは我の空間。どこまでやれるか、見物じゃなあ!」


瞬間、創生神から放たれた緑色の光と暗黒神から放たれた漆黒の奔流が衝突した。

空を翔ける竜のように移動する生命力と、地面を這いずるように移動する漆黒は衝突したのち台風のように荒れ狂う。

いつの間にか指の血が止まっていることに気付き、俺はゆっくりと立ち上がった。

少女は、こちらに顔を向け、にっこりとほほ笑む。


―――覚えてますか? あの白い狼。あれ、私なんですよ。

―――あの時は、ありがとうございました。私を守ろうとしてくれて。


その笑顔を見て、俺は何も言えなかった。心の中で壊れかけていた大切な何かが、少女の笑顔で少しだけ治ったような気がした。


―――ん?


ふと、あることに気が付いた。緑色の光が、徐々に漆黒に押し込まれているのだ。俺が話しかけたのが悪かったのか、と口を閉じかけたその時、暗黒神は狂気に満ちた笑い声をあげた。


「あはははは!! 無様だな、創生神! 我の眷属に受けたダメージも回復しておらんだろうに、我の神格を用いて作り上げたこの固有の結界を超えるのに一体どれほどの力を使った! 『生命』を司る神と『死』を司る神が殺しあえることを考えれば、無謀としか言いようがないの! さあぁぁぁ、このままではお主は死んでしまうぞ?」

「ぐぅっ……!」


一層強まった圧力に、倒れ込みそうになった少女の背中を必死に支える。少しずつではあるが、漆黒の奔流は着実に押し寄せていた。遅かれ早かれ、このままでは負けてしまうだろう。“死”の力は知っていた。“生命”を侵し、苦しめ、停止させる邪なるモノ。それでも、少女の顔は凛としていて動揺は伺えない。


―――俺はいいから、見捨ててくれ!


と、ヒロイックに言えたのならどれ程良かっただろう。

自己犠牲の精神、そんなものが俺のなかに欠片でもあったのなら、言えたのかもしれない。

しかし、俺が持っていたのは矮小な自己中心的精神で―――高尚な心を持っていたのは、その少女の方だった。

俺が不安に身を委ねていると、視点を暗黒神に固定したまま、少女はこちらに語り掛けた。


―――頼み?

―――今から、私は自分の神格を消費して、彼女を止めます。その間に、あなたは私を連れて、別の異世界へ転移してください。

―――消費? 犠牲の間違いだろう! なんで、俺のためにそんな……

―――これが……『最善』なんです。これしか……方法はない。


口を開こうとして、また飲み込む。答えは速やかで、揺るぎなかった。


―――わかった。


少女は頷き、右手を翳す。


―――《神格を帰すインディエトロディオ》!!


少女の右手から、これまでとは比べ物にならないほどのとてつもない生命の奔流が湧き上がった。緑色のベールの向こう側の暗黒神が、驚愕の表情を浮かべたのがわかる。勢いを増した光は漆黒を押し返し、暗黒神目掛けて激突した。


―――今のうちです!


少女が差し出した手を強く握る。瞬間、視界は真っ白に包まれた。


◆ ◆ ◆


そうして、創生神は暗黒神に負けてしまった。

言ってしまえば、逃げたのだ。でも、俺は彼女を恨んではいない。だって、目の前で、こんなにか細い息を上げながら、弱弱しく寝そべっているのだから。


新しい世界は、巨大な木の下で始まった。

色とりどりの精霊が浮遊し、空中に天然のライトが浮かんでいる。


―――力、使い果たしちゃいました。もう……ダメです。


生命神が力を取り戻すには、生命の脈動するエネルギーが必要になる。要するに、寄生する人間が必要となるのだ。その手を握りしめ、俺は一つの約束を彼女と交わした。


―――俺を、使ってくれ。


そう言われて彼女は……笑っていた。緑色のオーブと化し、俺の体内へと入り込んだのを確認した後。俺は、怒りに身を震わせていた。

奴らだ。日本で俺たちを殺した男、そして、暗黒神がヒロアキやカリンを狂わせた。そして、俺が、俺の浅ましさが、前のヒロアキたちを殺したんだ。


助けてくれた創生神への恩には報いたい。そして、奴らを……


「殺したい」


そうして俺は、新世界への旅立ちへと、足を踏み入れる。


ザッ、ザッ、ザッ、ザッ……


脚が草を踏みつける音だけが響く。そして。

いつの間にか、周囲の光景が一変していた。足元が短い草から、尖った岩肌へと変わっている。

それだけではない。顔を上げると、そこは草原ではなく洞窟の中だった。後ろから聞こえた唸り声になぜかビクッと身を震わせて、息を切らせて必死に走る。


「はぁ、はぁ、はぁ······!」


必死に、同時に慎重に走る。

少しでも物音がすれば、そこから反対の方角に走り始める。僅かばかりの影が見えようものなら、隠れながら音を立てないように慎重に歩く。


不味い·····不味い、不味い! このままだと······()()が来る!


それから必死に逃げながらも、俺は、俺を狙う何かが忍び寄ってくるのを確実に感じていた。

そして、それはすぐに訪れる。


「······え·····行き止まり?」


行く手を遮る大きな岩壁。慌てて踵を返そうとしたが、もう遅かった。


「グルルル······」

「あ、あ、あぁ······」


3つの尾を持つ、黒い狼。それが4匹、逃げ腰の俺を嗤うかのように牙を見せている。瞳に絶望の光を灯しながら、俺は尻餅をついた。


―――嫌だ、死にたくない。死にたくない、やめて、やめ―――


それが最期だった。


「ぐっ!?あ、あぁあ!?」

―――洞窟内に木霊する、咀嚼の音。


狼は一斉に飛びかかり、その肉に、骨にかぶりついたのだ。体は、引き千切られて次々と喰われていく。


「アア!?ギ、アアアアアアア!?」


上げた断末魔は洞窟内に響き渡り、血肉の匂いに誘われた狼を呼ぶ。『あ』の声も出ないうちに、俺の身体は欠けていった。


「……ん?」


続いて、景色は変わった。

気が付くと体から刃が生えている。

目の前には、醜く表情を歪めた大男。


―――誰だ。こいつは。


いや、違う。知っている。こいつを知っている。彼は、甲斐甲斐しく俺の世話を焼いてくれた冒険者。なのに、なんで俺は彼に……?


「っ、ご、ぼぉ!?」


大男が胸に突き立った刃を思い切り捻ると、口から勢いよく血が吹き出た。遠ざかる意識、遠ざかる視界。にやついた男の嫌らしい視線と、内臓を掻き回したくなるような痛みだけが鮮明に意識を留めている。


「―――すまねえな」


すまない? すまない? そう話す男の顔は、とても謝っているようには思えない。


「ぁんで······んな、せつ、に······」

―――なんで、あんなに親切にしてくれたのに。


「世の中にはな? 騙すって言葉があるんだよ。でだ。誰かを騙す奴は、誰かを信じる奴より得をする。そういう世の中になってんだよ」


スルリ、と気味が悪いほど簡単に刃が抜ける。突如訪れた鋭い痛み。それを皮切りに、胸からは決壊したダムのように一気に血が吹き出した。


勢いのままに、ゆっくりと前に倒れる。地面に広がる血を無感情に眺めながら、俺の意識は遠ざかっていく。


なんだ。()()()

そんな冷静な思考とは別に、()の俺の意識は悲鳴を上げた。


創生神を体に宿した俺は、ある世界で死亡した瞬間、別の世界に転生する。

そうして、時間がたつごとに、「生」を繰り返すごとに、創生神は力を取り戻すことができるのだ。しかし、それは地獄だった。ファンタジーの王道展開とは似ても似つかぬ結末。優れた能力も、適性も、チートも持たない俺は、ある世界に来てはすぐに死亡する。


―――ある時は獣のエサとなって。

―――ある時は裏切られて。

―――ある時は、病に侵され内側から食われて。


暗黒神の眷属としての力は、創生神の憑依により反発して弱まっている。そして、頼みの創生神の“治癒”もしくは“再生”能力も創生神が力を取り戻していないがゆえに働かない。


何度も死んで、やがてそれが59回(・・)を超えるころには、俺の精神は崩壊していた。


―――あハッ、ハハッ、アハハハハハハ!!


そうして、60回目の死亡を迎えたその時。

俺は、記憶を失ったんだ。


そうして俺は、今の世界に転生した。


◆ ◆ ◆


ゆっくりと目を開ける。

正方形の小さな真っ白の空間の真ん中で、もう一人の俺が穏やかな微笑を向けていた。


「思い出した?」

「……ああ。全部……全部……」


掠れた声を漏らしながら、俺はもう一人の俺を抱きしめた。

こいつは、俺の記憶だ。俺が一度、取り落とした大事なもの。数日の間とはいえ、忘れられるのは拷問としか言えなかったはずだ。それでも、忘れなかったのはきっと、俺が残した悔いが大きすぎたという事だろう。


「60回目。60回目だ。その時に、キミは次元の狭間に記憶を置き忘れた。でも、キミはこうして帰ってきた。それは、キミの中に残ってた、“肉体”の記憶のおかげだよ。

何度も殺された。何度も食われた。何度も裏切られた。その痛みの全てを、キミの身体は覚えていたんだ。

あの“奈落”は、キミの空白を埋めるための辻褄合わせ。

―――おはよう、俺。そして、お帰り」


俺の両目から流れた熱く透明な雫が頬を濡らす。

互いに抱きしめあいながら、俺は自分の顔を懸命に覗き込んだ。


「ああ、ただいま。()


瞬間、もう一人の俺が、白い光となって俺に流れ込む。

それに呼応するように、もう一人の俺の姿が、透けていく。


「······ああ、言い忘れた。僕たちの“眷族化”は、まだ解けていない。弱体化しているとは言え、力を取り戻しつつある創生神に呼応して、その力は高まりつつある」

「······うん。分かっている」


あのとき一度、俺は暗黒神の眷族としての力を失った。

結果的に、俺は多くの災難に抗えずに何度も身を滅ぼした。


「キミが今使える暗黒神の力はたった一つ。つまり、」


―――『“死”の対消滅による肉体を滅ぼすほどの身体強化』。


“死”とは、この世に存在するあらゆる物質の正反対に位置するエネルギーだ。

あらゆる物質には当然自分の肉体も含まれるため、その反発によって、俺は肉体の限界を超越した動きを発揮することが出来、加えて相手に“死”の概念を打ち込むことで自分の耐久を遥かに超えた敵の装甲も貫くことが出来る。


だが、それは諸刃の刃だ。


相手に“死”の概念を打ち込むということは、同時に自分にも反動として“死”の概念が打ち込まれていると言うこと。


相手を殴れば殴り返される。叩き潰せば叩き潰される。


暗黒神の眷族としての力を十分に引き出していればそのような代償も払う必要はないが、やっとその力の一端を引き出せる程度の俺には願うべくもない。


だが、それでも戦うことは出来る。


「分かってはいるだろうけど、創生神の力が強まって能力が発現しつつある」

「“超再生”······だな」

「······うん。これからの人生、キミは死ねない。暗黒神の眷族としての力と、創生神をその身に宿した陰と陽の存在······それがキミだ。キミが力を振るうには、体を壊しながら戦わなければならない」


俺は頷いた。


「覚悟はできている」


それを聞いたもう一人の俺は、消えかかった顔で微笑する。

それはとても······安心した表情だった。

もう一人の俺はそれっきり何も言わず、ゆっくりと、空気に溶けて消えていった。

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