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勝負をするにあたって双子は此処ではない場所を指定した。疑問に思って尋ねれば双子は「校内は遊んでいい場所じゃない」と答えたのだ。どうやら双子にも何かしらのルールに縛られているようであった。それならば……、と巡士考太は考えた結果。
「体育館は使えるか?」
と、提示。すると双子はすんなりと頷いて答えてくれた。
「うん、体育館は遊べるよ」
「じゃあ、そこにしよう」
衝突も無くお互いに了承し合い、対戦場は体育館となった。徐々に冷たくなる彼女を置いて行くのが忍びない物の、自分の身体では彼女の身体を持っていくのはどうにも無理である事は明白であった。巡士考太は最後として眠る夕日シホに近づくと「行ってくる」と告げた。
体育館の鍵を職員室から拝借し、一階へ降りて行く。そして体育館へと繋がる通路を伝い、巡士考太は体育館へと入って行った。
入ると同時に電気が自動的に付いた。まるで出迎えるような光景に目を細めながら、一歩一歩と体育館の中央へと歩いていく。
立ち止まるや否や、双子が「「始めよっか!」」と嬉しそうに言い放つ。それに巡士考太も肯定するように頷く。その受け入れる姿勢に好印象を抱いたのか、花開いたような顔をする。頬を紅色に染めて、心の底から嬉しそうに笑う。
「じゃあ、もう一度ルールを説明するね」
双子の片割れが再度ルールの説明をする律義な行動を取る。もしかしたら、それも双子の中でのルールなのかもしれない。
①なわとびは二本使用、大なわでの場合は一本を輪のように使う。
②鬼は必ず二人必要。
③不可能な『なわ』の張り方は禁止。
④なわとびを潜り抜けなかったらゲームは終了。
⑤鬼が歌を唄っている場合はプレイヤーは後ろを向いている。
⑥また鬼が歌い終わったら、プレイヤーは上中下と三択を選ぶまで後ろを向いている。
⑦三択に応えたら前を向くことが出来る。
⑧どんなに無理でも、プレイヤー自身が指定したことは実行しないといけない。
⑨鬼にはプレイヤーを三ゲームさせる権利がある。
⑩ルールはゲーム進行時ごとに追加される。
変わる事のない説明に安堵しながら、巡士考太はクルリッと背を向けた。双子は手に持っている『なわ』を握りしめて歌を唄い出す。
「いーろーはーに、ほーへーと!」
楽し気な双子の歌を耳にしながら、巡士考太はヒュンヒュン、という『なわ』の音を聞き逃さぬように聞いていた。
歌は後半へとなる。
「うーえか、しーたか、まーんなかか?」
全ての音が歌が終わると同時に終わる。巡士考太は数秒だけ答えを悩むものの、「下」と選択する。振り返れば、真ん中が狭い状態の『=』型が出来ていた。巡士考太は答えた通りの場所を難なく潜り抜けてクリアする。二戦目が静かに始まる。
歌が始まり、巡士考太は『なわ』の音を聞く。そして歌が終わると同時に、彼は答えた。
「真ん中」
そうして振り返れば、今度は『なわ』を踏んだりして歪な『×』型があった。しかし真ん中を選んだ巡士考太にとって真ん中は問題なくクリアされた。此処までは良い、順調である。しかし次だ。
運命の三戦目が始まる。




