あなたの喜び、わたしの幸せ
着いたところは軽音部の演奏場だった。前方では部活の仲間なのか今演奏してる人達の友達なのかとても楽しそうに盛り上がってる。
今やってるグループの人達はロックを演奏しているらしい。曲はしらないけど楽しい。ここで時間を潰して帰ろう。
そう思っていたら最後の曲だったらしく片づけをしているがまだ何グループか残っているらしい。
次のグループが準備を始めたら見終えた人々は出ていく壁の方が空いたのでそこによりかかってスマホをいじりながらでもまっていよう。
10分くらい経っただろうか、チューニングが終わりムードが出来上がっていく。
僕もそんなキャラではないがワクワクしてきた。
1!2!1234!
ドラムがそう言い演奏が始まる某アニメのopで僕も好きな曲だ。会場のボルテージと共に僕のテンションも上がっていく。
あのボーカルの人、歌が上手いし歌っている姿はかっこいい。あれ...この気持ちなんだろう、初めてだ。
物凄くドキドキする。これは珍しくテンションが上がっているせいなのだろうかそれとも…
そんなことを考えていたら1曲目が終わってしまった。だがトークタイムらしくスポットが当たっていてよく顔が見える。
改めて見てみると歌っているときとは違い笑顔がかわいい。そして会場の様子を見てみるとみんな手を振っていたりして人気者らしい。こりゃ彼氏がいない方がおかしいか…そう思わざるおえない。僕のひとめぼれから始まった初恋もすぐに終わってしまうのか、そう思うと悲しいな。
だから最後までしっかり見て記憶に留めておこう。
楽しい時間はなぜこんなにも早く終わってしまうのか…ドラマで主役の言っていた言葉の意味とその時の気持ちがよくわかる。
今日という日は僕の中で大切な日になる、そう確信していたら突然
「隣空いてる?」
突然過ぎて気がつかなかったが目の前に人がいr……ってさっきのかわいいボーカルの娘ではないか!
「誰か友達と来ているのかな?」
あっやばい返答しなきゃ、でも突然過ぎて頭がまっしろに…!
「あっ空いてるのでどうぞ!」
「ありがとー♪」
なんとか返答は出来たようだ。そしてこんなことにお礼を言うなんてどんだけいい子なんだ。
服はそのまま短めのスカートにTシャツだがいい匂いがする制汗スプレーでも使ったんだろう。
初恋の相手が真横にってなんでだ!?今は友達と話していて楽しそう。もう僕の存在は気にも留めていないだろう。
そんなことを考えていたら次のグループが始まった。みんなが前方のステージを見ている。
そしてふと思ったパンツを見たい。相手は真横に居て周りはみんなあっちを見ている、絶好のチャンスではないか。
スマホを起動して~っと、写真だと音でバレるから動画でっと。
性欲は決して強くない方ではあるがこれが恋の力なんだろうな。
そんなこんなで演奏が終わりそうなので撮影をやめる。
バレた時のことを考えたら怖いので一目散に会場から飛び出す。
しかし突然誰かに腕を捕まれた、そして引っ張られ人の少ない方へ連れていかれる。ああバレたのか……
そう思っていたら立ち止まったので顔を上げるそしたらボーカルの娘とその友達が居た。
二人でなにやら話している。状況を説明しているらしい。
これで確実に嫌われ、初恋も完全に終わりだな……そう考えていたら
「あっち行って!」
語気強く友達の方に空き教室に入るよう促された。
取り調べってやつかと思っていると友達の方は入ってこずボーカルの娘だけ入ってきてドアを閉めた。困惑しているとまず
「わたし朝空奏、二年生よ」
と自己紹介し始めた。そして本当にしたのか、なぜしたのかと聞かれたのでありのままに伝えた。もちろんひとめぼれしたことも。なんて言われるのか怖かったが返事を待った。なにかを考えているのだろうか間が長く感じる。
「そんな風に思ってくれてたのか~でも盗撮はダメだよっ!わたしじゃなかったら警察行きだったと思うよ。とりあえず時間があればもう少しお話ししていい?」
そんなのもちろんイエスだ。なぜ天は罰ではなくご褒美を与える。申し訳ないではないか。そんな風に考えていると奏は語りだす。
「わたしね、よくマイペースだねって言われるの。でも軽音部に出会えて歌っている時だけは別人になってる感じがするの。そしてわたしの歌とみんなの演奏で聴きに来てくれた人達が盛り上がってくれたり喜んでくれると嬉しいんだ!で、みんなよかったよとかまた聴かせてねとか色々と声を掛けてくれるのそれがとてもよかったって思わせてくれるんだ」
僕はこんなにいい子になんてことをしてしまったんだ…そう後悔をしまくってる。
「そしてね!今日初めて歌ってるところがかっこいいとかそこに惚れたって言ってもらえて今までで1番嬉しかった。初めて聴いたの心も動かせるんだって教えてもらえた!ありがとう!」
とうとうお礼まで言われてしまった。そこで申し訳なさが限界に達したようで僕は泣いてしまった。
「あれれなんで泣くの!?ほら涙を拭いてね」
「あの、ほんとにすいませんでした…そんなに優しくされると申し訳なくて…ほんとにすいませんでした」
「いいのいいの早く泣き止んでね~。それでね、その告白されたの初めてでなんて言えばいいのかわからないんだけど、お互いのことよく知らないからお友達からでもいい?」
なにを言っているんだこの人は。自分のパンツを盗撮した人に友達からって…もちろんokするに決まっているではないか。
「いいですがこんな僕と友達になってもらっていいんですか?」
「もちろん!じゃあ連絡先を交換しようかっ」
この笑顔やっぱりかわいいな。なんでこんなにかわいくてかっこよくていい人に告白をした人がいないのだろうか…もしかしたら好きになってもみんな告白は出来なかったのではないだろうか。僕も諦めてたしこんな状況でなければ伝えていなかったしな。
連絡先を交換し今日はそのまま帰った。友達の方には終始睨まれながら門を出たがそんなのが気にならないくらい奏の笑顔は眩しかった。




