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 翌日はバイトが休みだったので、一日中部屋の中で過ごしていた。

私は友達から借りた進○の巨人全20巻 (完結はしてない)に夢中になっていた。


「リヴ○イ兵長やっば! めちゃくちゃ強いじゃん!」


 内容は女形の巨人をリヴ○イ兵長が切り刻む場面。

仲間がみんなやられ、太刀打ちできない空気の中、一気に形勢が逆転する山場のシーンである。

私は漫画を進める手が止まらず、何かを忘れていることさえ気づかず、その日を終えた。





 今日はバイトだ。

いつものように店に向かうと、更衣室で水元さんに声をかけられた。


「あ、昨日彼氏さんが店に来てあなたのこと探してたわよ。 連絡取ってないの?」


 彼氏?


「私に彼氏なんていませんよ? 人違いじゃないですか?」


 すると、水元さんは複雑な表情を浮かべた。


「……それならはっきり言った方がいいよ。 ほら、一回だけでも向こうは勘違いして付き合ってる気分でいるのかも知れないし」


 ……え?

私、そんな過ちは犯してませんけど。

ま、まさか!


「もしかして、色白の優男でした?」


「そうそう、覇気がないというか……」


 絶対クドーだ。

完全に約束を忘れてたわ……





 開店5分後、早速クドーがやって来た。


「何で約束を破ったんだ! ずっと待っていたのに!」


 いつになく厳しい剣幕でまくし立ててくる。

謝罪はしたいけど、ちょっとここで長話は迷惑だ。

私は小声でクドーに伝えた。


「見れば分かるでしょ? 今バイト中だから、少し待ってて」


 この前みたくクドーを昼まで待たせ、店の裏で話をする。


「君は何を考えているんだ? 君たちにとって、地球の存亡は重要じゃないのか!?」


 そりゃ大事とは思うけど、乗り気じゃないし…… どうせなら私をその気にさせて欲しい。


「ねぇ、私も一応女性なんだからさ、そんな無理矢理じゃなくて、もっとムードを大事にしなさいよ。 あなたの国だってそういうのあるでしょ?」


「……」


 何難しい顔してんのよ。


「私をエスコートできるようになったら、また連絡してね。 それまでは協力しないから」


 私は踵を返して、店に戻って行った。

クドーは難しい顔のまま、こちらを睨んでいた。


 



 

そう簡単には付き合えません

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