都心へ
「僕は星から星へと旅をしているんだけど、次の惑星まで行くのにかなり時間がかかる。 退屈なんだ、とても」
「退屈って、今すぐ旅立とうと思ったらできるわけ?」
「できるよ」
私は思いっきりずっこけた。
深刻そうな顔して説明しないで欲しい。
「そこで、君にも協力してもらいたい。 この星で何か楽しいものはない?」
「時間つぶしならゲームとかかな?」
「そのゲームってのはどういうやつだい? このスマホのトレースの機能があれば、カメラで撮った対象物をこの空間内限定で再現できるんだけど」
それってすごくない?
「それだったら、街に出てみる? 電車で1時間くらいかかるけど」
「構わない。 案内して欲しい」
こうして、私たちは都心に向かうことにした。
夕方までに帰れば問題ないだろう。
駅前の改札にやって来た。
キップを購入し、改札をくぐって都心行きの電車を待つ。
ここから隣の駅に移動し、急行に乗り換えて都心に向かう。
「ねえ、お金はどうしたの?」
私は電車の中で疑問の一つを聞いてみた。
「宇宙にも換金所があって、宇宙共通の通貨と地球の通貨を交換できる所があるんだ。 あと地球人の着てる服を売ってる場所もあるよ」
……嘘みたいな話しだ。
都心に到着した。
私の住んでる駅前の1万倍くらい人口密度が高いんじゃないかな。
「ここなら何でもあるよ。 カラオケ、ボーリング、映画館、家電屋に行けばゲームも置いてあったかな。 てか、ご飯食べに行かない? 腹が減ったら戦争には勝てないっていうし」
何か違う気がするけど。
「いいよ、そしたら君の好きな料理屋にでも連れてってくれ。 お金なら僕が出すから」
若者の集うレストランに到着。
注文を頼んだ。
「後で抹茶アイス頼んでいい?」
「いいよ」
「世の中にこんなおいしい物があるなんて……」
抹茶アイスを食べながら、私は舞い上がっていた。
楽しい物を見つける、などという目的なんて無視しよう。
私は私の欲望を叶えるべく、行動を開始した。