訓練開始!
ロシアンブルーを追って、宇宙船まで向かう。
中に入るとクドーが待っていた。
「来たね。 じゃあ、これからのプランを説明していくよ」
クドーはスマホを操作し、ホワイトボードを空間内に再現した。
マジックでスケジュールを書き込んでいく。
「君のバイトのない日にトレーニングを組み込もう。 いつが休み?」
「火、木、日が休みだけど、一体私に何をさせる気?」
再度クドーがスマホを操作する。
空間内に現れたのは、バッティングマシンだ。
……ちょっと待って。
退屈しのぎを探す続き?
「この装置が打ち出す球を、この槍で弾き返すんだ」
クドーは空間の脇に立てかけてあった槍を取って渡してきた。
形状的には剣2本を上下別々にしてつなげたような感じた。
「巨人兵の槍を君が持てるサイズに作り変えて、出力も0、0001パーセントまで落とした。 そのままの威力じゃ地球が半壊してしまうからね」
「ちょ、そんな危ないものなら厳重に管理しときなさいよ!」
「この空間内なら暴発しても平気さ。 じゃあ早速、トレーニングを開始しよう」
今、私は槍を構えてバッティングマシンと相対している。
「じゃあ行くよ」
球が装填され、ウイイン、と球を送り出す棒がゆっくり回転する。
ズバアアアン! ともの凄いスピードで球が発射された。
「ワンストライクだね」
「ちょっとタイム! 一体何キロ出てるのよ!?」
「手始めに350キロに設定している。 目が慣れてきたら400、450と吊り上げていくけど」
バカなのか?
無理に決まってるじゃない!
「早すぎよ! 銃弾でも打ち返せっての?」
「相手は時間減速装置で僕らとは違う時間軸の中を移動してくるんだ。 体感時間はそれくらい早いと思うよ」
なになになに???
「時間減速装置だ。 例えば時速3キロで歩くAとBがいる。 Bに時間減速装置を持たせて、2分の1の時間軸で移動できるようにした場合、1時間後、Aは3キロ進めるが、Bは6キロ進むことになる」
ん???
余計分からないけど……
要するにザ○ールドってことでいいかしら。
しばらく続けるも、槍はかすりさえしない。
「はあ、この槍扱いにくい上に、球が速すぎるわよ……」
無慈悲に球が送り出される。
2秒遅れて私のスイングが空を切る。
感覚的に2秒早く振らなければ球は当たらないということか。
ヒュン!
ズバアアアン!
今度は少し早かったようだ。
「バントなら当てられるかも知れないけど……」
「当てられるだけでも攻撃になるよ」
え?
「そうなの?」
「やってみれば分かるよ」
私はバンドの構えをした。
そして、球の軌道上に槍を置く。
バチイイイイン!
球が送り出され槍に命中、そのまま球は消滅した。
「何なのこれ! こっわ!」
「なるほど、その手があったか……」




