出会い
「あっちぃ~」
私こと、杏は片田舎にすむ高校生である。
夏休みに入り、何一つ生産的なことをせずに過ごしていた。
すでに1週間が経過し、カレンダーを見ては、あと残り23日か、まだ平気だな、とか思いながら過ごしていたら、とうとう母親に言われた。
「あんた、宿題かバイトか、どっちかしないと怒るわよ」
これで口うるさい母親がいなければ、夏休みは最高なのに……
宿題かバイト……
どっちも面倒だが、宿題は友達のを丸写しすればいい。
「分かったよ、バイトのチラシみして」
家に送られてくる求人広告に目を通す。
夏休み限定、短期募集のバイトが多々のっている。
その中に、目を惹くものが一つあった。
「おっ、スタシの短期バイトだ」
それは、スターシップスという、世界的有名コーヒーチェーン店で、ようやくうちの駅前にも出来たばかりだった。
「母さん、これオシャレじゃない? これに応募するよ」
こうして、スタシの求人に応募することとなった。
瞬く間に採用が決まり、今日はバイトの初日だ。
さすが全国的に人気な店で、客足は途絶えない。
特に学生が多く、季節限定商品が良く売れる。
「マンゴーオレンジクリームアイスジェリーフラペチーノ」
「マンペチ入りましたー」
家でのんびり過ごしていた時間が恋しくなるほど、目くるめく早さで時間が過ぎていく。
ピークの時間が過ぎ、ようやく少し余裕が出てきた。
そんな中、不思議なことを聞く客が現れた。
「ちょっと種類が多すぎて分からないんですけど、このタイプの船に合うガソリンはどれですか?」
見た目は20代くらいの男性。
しかし、ここはガソリンスタンドではない。
更に、見せられた写真には銀色の円盤が写っていた。
「……」
からかわれているのか?
こういう時どう接客すればいいのか教わっていない。
店長を呼ぼうとも思ったが、こんなことでいちいち呼ばれる方も迷惑だろう。
「お客さま、ここはコーヒーショップなので、お探しのものは見つからないと思います」
「えっ、店の名前がスターシップスなのに? 紛らわしい名前だなぁ……」
そう言って男は去って行った。
何がしたかったのだろうか……
導入はとある海外ドラマのパクりですw