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エクス:リミッター  作者: シゲ作
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第一章 旅立ち 第3部 準備と会敵

用意した朝食をのんびりと食べながらラースとの最後の時を思い出していたルースだが、早めに準備だけはしておくか、と思考を切り替え手早く残りの朝食を平らげ、荷物をまとめる為に寝室へと移動する。


「んー……これとこれはいる。…こっちは…いらないな、あとはー……。」


水と食料、そして簡単な救急道具を鞄へとドンドン詰め込んでいき、ルースは壁に掛けてあった祖父から渡された自らの愛刀【黒爪】を手に取る。


鞘と柄、さらには刀身までもが黒一色で統一された業物で、

祖父が晩年振るう事はなかったが、数多の戦場で【戦神】とともに名を馳せた名刀である。


その刀を腰から下げ、用意した鞄を背負い


「よし!準備は万端!!」


が、そのまま部屋からは出ず、棚の上に置いてある祖父の位牌へと目線を移し、喋りかける。


「……じっちゃん。行ってくる!帰ってくるのは……、多分学園卒業してからじゃないときっつい仕置きしに起きてきそうだな…」


と、あの祖父ならあり得るかもと苦笑いを浮かべた後部屋から出る。


そして玄関のドアを開け見慣れた、樹々が鬱蒼と生い茂る森の中に立つと


「さて!とりあえず近くの村まで行ってそこから馬車に乗って~~って感じかな?」


ルースが修行の総仕上げとして暮らしていた森から近くの村まではおよそ2日かかる。

そこから馬車を乗り継ぎ、学園であるドーレルがある王国中央都市までは約2週間程である。


用意した荷物は多く見積もっても3日分なので途中の村や街で補給をしつつ向かう予定だ。

いざとなれば『軽く』走る事で馬車以上の速度で移動する事のできるルースがなぜ馬車での移動をするかと言えば。


「ま、編入試験のタイミングまではまだ時間あるしのんびり行こう」


という具合に、急ぐよりもせっかくなので中央都市までの旅を満喫しようと決めていたからである。



森を歩く事、数時間


自身の身長程もある草を慣れた手つきでかき分けながら、サクサクと村がある方角へと突き進んで行くルース。


その時


「…うん?なんだ?……血の匂い?」


突然漂い始めた匂いを鼻で嗅ぐと、この森で暮らし始めてからすっかり嗅ぎ慣れた鉄の様な匂いがルースの鼻を刺激した。


「この森に人なんて入って来ないだろうから、おそらく魔物だと思うけど……念の為確認しに行くか。」


数秒、立ち止まってどうするか迷ったが仮に人が魔物に襲われていた場合も可能性としては少なからずあると判断し、進路を匂いの元へと変更し進み出した。


草をかき分けながら進む内、それなりに拓けた場所に出たルースは目の前の広がる光景を見て


(やっぱ魔物だったか……)


辺りには、シャドウウルフと呼ばれる狼の死体が3体分散乱していた。


シャドウウルフは体長こそ、普通の野生の狼となんら変わりがないが全身を覆う体毛が黒く、獲物を狙う際のスピードが『それ』とは違い格段に早い。

さらに、決して単体ではなく複数体で常に行動している為、2年前ルースが始めてこの森を訪れた時は軽く手こずらされた相手だ。

今でこそ相手ではないが、当時は厄介な速さだったなーと考えていると、そこに一体の魔物がこちらを見据えながら現れた。


(あれは?……マーリーアントか?なるほど、シャドウウルフ達を殺ったのはあいつか。)


ルースの視線の先には、体長3mはある巨大なアリがこちらを見ながら強靭なアゴを動かしていた。


(んー……どーすっかなー?ってもあいつに見つかったって事は多分……)


ルースがそんな風に考えていると


「キシャァァァァ!!!」


自身の最大の武器である強靭なアゴを動かし、新しい獲物を見つけて喜んでいる様な雄叫びを上げながらマーリーアントがルース目がけて突進してきた。


(お!やっぱりな!見境ねぇーからなこのクソアリ!!)


動く物全てに対し、捕食の欲求が働くマーリーアントだ、このまま自分を見逃すはずが無いと考えていたルースは素早く腰にさしている愛刀【黒爪】を抜き臨戦態勢に入る!


「もう少しで昼飯だしな、その前に軽く運動といくか!!」


突進してくるマーリーアントに向かってルースも右足で地面を蹴り、驚異的な速度で接近していく



ギィン!!!


すれ違い様に刀を振り抜きマーリーアントの足を斬りつけるが、いつもと違う手応えに思わず口をひらく


「硬ってぇ!!なんだ?!こいつ!」


普段ならば自身をこれだけ加速させた状態で振り抜けば今までのマーリーアントなら楽に斬り裂けたはずなのにこの手応え……


「こいつ……?もしかして、魔獣のマーリーアントか?」



〈魔獣〉


〈魔物〉とは『魔族』と呼ばれる、人族や亜人族と敵対する者の総称である中の最下級の生物である。

順番に〈魔物〉〈魔獣〉〈魔人〉と、知性と魔力を高い水準で持つ序列があり基本的に〈魔物〉は魔力を一切持たない。

しかし、ごく稀に〈魔物〉の中にも魔力を持ち始め〈魔獣〉へと進化を遂げる種もいる。


斬りつけた外殻の硬さから、体内の魔力を外殻の強化へと使用しているのでは?と目の前の〈魔獣〉マーリーアントを直視しながら考察していく

本来であれば〈魔獣クラス〉の魔族は単体撃破出来る物ではなく複数体、いわゆるパーティーを組んで初めて撃退・討伐できる様な生物なのだ……が。


「なるほど、それならこっちもちょっと力入れるか!」


右手に持った愛刀に向けて自身の内側にある力を流し込んでいくルース、すると一瞬刀が光ったと思った次の瞬間には光る前と何ら変わらない様に見える愛刀の姿があった。


「ま、どうやらなりたての〈魔獣〉みたいだしな、こんなもんでいいだろ」


マーリーアントとの距離はおよそ5m程、しかしルースは刀を上段に構え、一気に振り抜く!!


「クェーサー流滅刀術 序の型 閃!!」


〈飛ぶ斬撃〉まさしくその通りの形をした魔力の塊が雄叫びを上げはじめていたマーリーアントへ向かって飛んでいき


「キシャァ…ガボッ!!!」


マーリーアントが開いていた口を皮切りに見事に全身まで両断され、その場にただの死体となって崩れていく。


「うっし!!終わり!!さてー、どっかで飯にしようかな。」


ルースは、振り下ろした刀を腰に差した鞘にしまい、適当に座れる場所を探すべく歩き出すのだった。

ようやくちょっとした戦闘がかけました!

まだまだ戦闘描写がうまく書けませんので何かご指摘あればよろしくお願いします。

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