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エクス:リミッター  作者: シゲ作
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第一章 旅立ち 第2部 回想

キッチンにて、一通りのモノを作り終えたルースはのんびりと朝食を取りながら考え事をしていた。


「ふぅー…あれからもう2年か

割と早くこの日が来たな」



◇2年前◇


陸の大半を海で囲まれた島国、通称アルサイド王国

その国の西端に位置する小さな村がルースの生まれ故郷であるライン村である。

そこで彼は実の祖父であるラース=クェーサーと共に生活していた。

そう……この日までは。



「……ルース…。」

「……ん?なんだ?じっちゃん?」


祖父が寝たきりになってわずか1年、産まれた時から両親ではなく祖父であるラースに育てられたルースは今、祖父が最期に残そうとしている言葉を聞いていた。


「……今まですまんな、

まさかこんなに早く自分の最期がくるとはのう」


「いや、早くってもじっちゃんの年考えたらむしろ全然遅い方だと思うけど……。」


ルースの祖父である、ラースは元気であれば今年の冬には100歳に届こうかという年齢である。


「ふっ!この【戦神】のラースと呼ばれたワシだぞ? たかだか100歳前で逝くとはワシは思っておらなんだわ……」


「たかだかって………。」



相変わらずの豪傑発言にルースは本当に死にかけてるのか?と思うくらいであった。

しかし、産まれた時から【戦神】としてのラースを見てきたルースにとっては今まさに病の末期に晒されているこの状態でも普段と変わらない豪傑ぶりが祖父であるラースなのだと理解できている。



「それよりもルース……お前には色々と修行を課してきたがワシが寝とる間の修行は全てこなしたか?」


「あぁ、去年言われた通りに1年分のメニューは全部こなしたよ」


「…そうか。ならば次はワシからの最初で最後の試練じゃな」


「最後って…じっちゃん体動かせないじゃん。」


「ふん!体なんぞ動かさなくてもお前の最後の試練くらいはできるわい!」


(マジかよ?!)


今まで散々な修行(という名の最早苦行)を産まれてからこれまでほぼ毎日欠かさず課してきた祖父の言葉に若干の戦慄を抱くルース。


「とは言ってもな、別に今すぐ!というわけではないぞ」


「???」


「今日からお前が15になるまでの2年間、ワシが若い頃修行しておった場所がある。そこで自分の力だけで過ごせ。」


「じっちゃんが若い頃修行してた場所って………。」


(この筋肉隆々デタラメ無茶苦茶なじっちゃんが?!どこの魔境だよ!!)


などと、口には出せないがものすごく嫌な予感しかしない場所へ行けと言われている自分に明日はあるのだろうかと本気で心配していると。



「そこで過ごす事が試練ではないぞ?その2年は今までの修行の総仕上げみたいなものじゃ。」


「??。……じゃあ、じっちゃんの試練ってのは?」


そんな魔境へ行けと言われてまだ何かあるのか!と内心ツッコミたくなるルースだったがそこは言っても余計な火の粉が降りかかると思い、自粛する。


「そこで2年を過ごした後にここへ行け、それがワシからの試練じゃ」


ルースはベッドの下からラースが取り出した紙を見て隅々まで目を通す。そこには……。


「…エクス使い養成練鍛学園ドーレル??」


「そうじゃ。」


学園??

え?試練って学校なの?!

あまりに予想外の展開に一時思考が混乱するも、次の瞬間には自らの疑問を投げかけていた。


「じっちゃん?試練ってのが学校ってのは一体どういう……??」


今までの修行でルースは目の前にいる祖父が全く意味のない事はさせない、ということを自身の身をもって知っていた。

だが、さすがにこの試練の内容だけは全くわからない。


そんな事を思っていると…。


「お前、学園という言葉でこの試練が温いと考えておらんか?だとしたら、お前はまずここでは生き残れん。」


今までの少し弱々しくなっていた気配が嘘の様にはっきりと感じられ、ラースを中心にビリビリと空気が震える。


「この学園はな、この世界アースランド全ての国々からエクス使いとして才能があるものだけを入学させ、鍛え、戦わせ、己が唯一のエクスを磨く場所でもある。つまり、この学園は近い将来巣立つ猛者達の研鑽の場となっておる。」



ラースのその言葉を聞いた瞬間ルースは自らの体に電流が走る様な感覚を覚えた。


「わかるか?この世界全ての……だぞ?そんな学園に放り込もうと言うのだ、これが試練以外の何と思う?ルースよ」


……確かに。

そんな才能の塊みたいな奴らがひしめく場所で己の力を鍛え、また時に戦えと言うのだ生半可な力と覚悟では潰されてしまうのがオチだ。とルースは思った。


「どうする?ルース?このワシ【戦神のラース】からの最初で最後の試練じゃ、……受けてみるか??」


寝たきりの人間とは思えないような獰猛な顔つきでルースを見るラース。

そして、そのルースが出した結論は……


「……いいぜ!じっちゃん!じっちゃんからの……いや、【戦神のラース】からの最後の試練だ!ここで受けなきゃ【戦神】の孫は名乗れないしな!!」


「……くくくっ!よくぞ言った!それでこそワシの孫じゃ!存分に鍛え、存分に戦え!!そして、次なる【戦神】を名乗るに相応しい実力をつけ、生き残ってこい!!」


「あぁ!!」


その日

数多の戦場を駆け、敵を戦慄させ続けた戦意豪傑な【戦神】の息が引き取るまでこの祖父と孫の儚くも長い思い出話しは続いた。





ようやく投稿できました。

まだルースの無双は出せませんでしたσ(^_^;)


次こそは必ず!!

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