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隣に鬼。  作者: 橙音柚子
鬼が婿入り?
5/5

ご。

嗚呼、最悪__。


顔面神経症になりそう……。いつものことだとしても今日は一層つらい。


「姫様、今日もご機嫌麗しく。」


「あぁ、八代。そのような世辞はいらないわ。」


にこり、牽制の意味も込めて笑う。早くどっか行けよ、この………!

目の前にはにこやかに笑みを浮かべながら権力のあるおい………ご老人がいらっしゃいます。ええ、もう隠居していただいても大いにかまわないのですが。


「八代、貴方はただ挨拶しにきたのではないでしょう?」


目上のものにする態度ではないわ。

安易にそう諭すと御無礼を……と頭を垂れるがどうせ何も思っていないのだから仕方がない。

チラチラと雪柳の方を見て態度で紹介しろと言っていて鬱陶しい。ふぅ、と息を吐いて。

どうせなら、伯父にも火の粉をふりかけてやる……!


「丁度いい、他の者も気になっているようだし。」


各々で話をしておきながらこちらに視線を浴びせる奴らには鬱陶しいこと甚だしい。

少しだけ、姿勢を正して。皆に聞こえるような声を。


「こいつは、長が連れてきたもので今日から私の眷属として屋敷に住まうもの、いい?“私”が赦したの。勝手な振る舞いは許さないわ」


皆、良くしてやって。

最後に付け加えて皆を見渡すと全てが手を突いて私たちの方に向いて頭を下げている。まぁ、これがカタチだけのモノだとしても。


「さて、宴を続けて。」


からん、と目の前に置かれたコップを鳴らして。その瞬間ざわざわと先程と同じような空間に包まれる。


上座に座っているから皆がよく見える。見えたくもないけれど……。それにしても急な召集なのによく集まったな、と舌を巻く。端から数えても普段この家には出入りしていない人までいて誰かの策略かと疑いを受けてしまう。

宴なんて、勢力を誇示するためだけの催しで誰しも本当に楽しんでなんかないのに。でも、今日はまだマシかな。新年とか酷かったからなー。


「……蒼。食べないのか?」


一人物思いに耽っていると横から雪柳が私の全く減っていないお膳を見て心配そうに聞いてくる。うん、なんだこいつ。会ったばっかのそして、元は敵対同士だった相手の心配って……笑える。

それでも、なんとなく嫌な気はしない。


「宴では食べないようにしてるのよ」


「宴なのにか?」


「色々あるのよ。」


自嘲気味にふっと笑って。彼も何か察したらしくそれ以上は聞いてこなかった。

宴の席で食事に手を付けるのは申し訳程度くらいで作ってくれてるひとには悪いけれどあとで残り物を処理しているから許して欲しい。宴は獲物を狩る絶好の好機だから狙っているものはたくさんいるだろう。そんな奴らに隙なんて見せてやらない。

にこやかに微笑みながらも臨戦態勢をとっている私に不用意に近付いてはこないだろうけど。


ほとんど飲まず食わずでにこやかにしてるのって本当に意味なく疲れる。そんな中で終わった宴をこれからどうさぼるかを考えながら。優雅に酒を飲んでいた伯父に思いっきり何かを投げ飛ばしたくなったことは言うまでもない。




かくして、雪柳のお披露目は終わったけれど叔父さんが雪柳をみて切なげに微笑んだのは見間違い___





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