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異世界大陸統一記  作者: クロキダンカー
2章王国内乱の章
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疑念と幼稚な策と煙

今日は25日ですね。確かただの25日なんですよね?

 “お嬢、考え直してください。ラノスが此方と手を組んだところで何の得が有るのです?それに奴は策略家です。この手を組むこと自体が策の可能性が有ります”


 “将軍、もう決めたのです。今すぐに出陣の準備と編成を組むのです”


 “陛下、お考え直しを。今この王都には食料をはじめとした様々な物が不足しています。この状態では民は生活が出来なくなります。出陣はせず、王都の物資などを立てなおすべきです”


 “マリオ卿、あなたも反対なのですね?”


 “はい。内乱を終わらせるのは速いに越した事はありませんが、まずは王都の民を救う手を打ち準備を整えるべきです”


 “恐れながら陛下、発言してもよろしいでしょうか”


 “ジータ、今この部屋には私を含めこの4人しか居ません。許可を求めず発言なさい”


 “はっ。将軍閣下とマリオ卿は今攻めるべきではないと言いますが、我等には援軍にして10万の兵が加わりその数14万にまでになりました。それに対する敵は8万まで数を落とし、その中のラノス卿が裏切る様に私が仕向けたのです。この状況において攻めないのは、あり得ません”


 “ジータ、そう言うが食料はどうする?王都にあった食料は敵がこの地に居た時に使い果たし、今も10万という軍勢が来た事で限界に近づいている。それに敵地に攻め込むには川を越えなければならない。どうやって川を越えるつもりだ?”


 “将軍閣下、食料など民より徴収すればよいのです。川など筏を作り渡れば問題ありません”


 “現実を見て発言しろ。王都からベリスク城まで日数にして5日の道のり。その間の食料などこの王都に存在せん。更に、筏で川などを渡ってみろ、狙い撃ちにされるぞ”


 “そうじゃぞジータ。少し焦り過ぎじゃ。もっと現状を踏まえねばならん”


 “では、お聞きしますが。この案に変わる策はあるのですか?”


 “それを今まで考えておった。多分もう少しで策が出る”


 “という事は現状では策はなしという事ですね”


 “将軍、マリオ卿、決めました。今日より3日後に王都を出陣しベリスク城に向かいなさい。兵は11万。ただし将軍と近衛騎士団長は王都に残り守備に着くのです。派遣する軍の総大将はレオル団長、副将にジータとします。以上です”

********************************************


 「・・・・・・・クソ!」


 そう呟いたミリアは慌てて立ちあがり、扉に向かった。


 「待て!!何処に行く?」


 「決まってるだろ!!陛下に考えを変えていただく様にお願いしに行く!!これ以上民を苦しめたくない」


 顔を赤くしながら叫ぶミリアは悲痛な表情を浮かべていた。


 「今すぐはダメだ。俺達が聞いていたのが女王にばれる。この部屋に将軍と伯爵が戻って来るのを待つんだ」


 「だが、民が・・・・」


 そう言って俺の制止を聞かずに扉を開こうとした。


 (クソったれ。時間を稼ぐためには仕方ないか)


 ミリアが扉に手を掛けると同時に魔法で扉の外と異空間とをつなぐ。そして、何も知らずに扉を開けミリアが異空間に行ったのを確認した後、俺も異空間へと入っていった。


 「・・・ここは、確か初めて会った日に連れてこられた部屋?」


 「・・そうだ、この空間は俺が初めて会った日に連れてきた異空間だ」


 1人先に着いていたミリアの呟きに後から異空間に入った俺が答えた。ミリアは驚き後ろを振り返る。


 「貴様!!ここから出せ!!」


 初めて会った時と同じ感じだが、今回は女王が居ない。


 「落ち着け。何故あんたが女王に部屋から出されたか分かったよ。民についての考え方が違うからだな」


 「な・・・おかしいか?民を第一に考える貴族は?・・まぁ、冷酷で残忍な性格の貴様には民の苦しみや民を労わる心は無いだろうがな」


 「決めつけんじゃねーよ」


 「口では何とでも言えるわ!!貴様には虐げられる者の気持ちなど分からんだろ?理不尽な暴力や力に屈した事など無いだろ?何と言っても古代魔法の使い手だものな!!」


 ミリアの口調がだんだんとヒートアップしてゆく。


 「今や失われし古代魔法を使い、人を串刺しにする様な罠を作る男には理解できんだろ?気に入らなければその力を使えば良いのだからな!!」


 「あんたには分かるのか?」


 「分かる。母が妾だからというだけで家の者から奴隷扱いをされ、その時の気分で殴られ。使用人や家来にも相手をされず、今の地位を得ても騎士団内では私を下民扱いをされる。そんな環境など経験してきていない貴様に、敵国で拾われただけの貴様に分かるはずが無い!!!!!!!!」


 ひとしきり怒鳴り、最後の頃は泣き叫んだミリアはその場に崩れ落ちた。


 「とんだ苦労人だね。けど、泣き叫んだ後に寝るなんて赤ん坊かよ」


 ハハっと笑った後、異空間に寝ているミリアを残しジジイの部屋に戻った。


 「うを!!・・・アオイ、頼むから驚かせるな」


 異空間からいきなり現れた俺にジジイはとんでもない声を出して驚いた。そして、その声に反応した伯爵がテーブルの上に置いておいた地図から顔を上げた。


 「アオイ、何処に行っておったかと思えば異空間じゃな。それからブレイダ-、変な声を出すな」


 「しょうがないだろ。お前と違って慣れてない」


 伯爵にジジイが反論するが伯爵は完全スル―をしている。


 「アオイ、お主の事じゃから聞いておったじゃろ?」


 「聞いてたよ。ミリアに頼まれてあいつにも聞かせたんだけど、その後が大変だった」


 ジジイは伯爵にスル―されて少しいじけてるが、それを今度は俺がスル―する。このくらいでめげる程ジジイの心は脆くない。


 「そうじゃろな。彼女の生い立ちを考えればそうなるじゃろ」


 伯爵はミリアの生い立ちや考えを知っていたらしくウンウン頷いている。


 「そんなことよりどうする?食料はどうにかなる見込みが立ってきたが策が決まらん」


 復活したジジイが話や雰囲気考えないで突っ込んできた。


 「しかも、指揮官の組み合わせが最悪と来たぞ。レオルは指揮経験ゼロ、ジータは実戦経験ゼロ」


 「待った。ジータの実戦感覚ゼロはおかしいくない?」


 ジジイはゼロというがおかしい。イニエスタ城で城攻めが行われ、戦闘が起こったのだからゼロで無いはずだ。


 「いや、ブレイダ-の言ってる事に間違いは無いぞ。アオイはほとんど城に居らなかったから知らんじゃろうが先の戦に近衛騎士団は参戦しておらん。連中は女王を守ると言い城の奥に居ったからの」


 城に居た全員が戦闘していたと思っていた俺に伯爵から衝撃的な事実が告げられた。


 「ま、それは良いとして。指揮官の話だが、多分現場で対立するだろう」


 さっきのお返しの様に、俺が「マジか」と驚いている事を完ぺきにスル―してジジイは言うが、これは正直当たると思う。元から騎士団同士の仲は良くないのだから。


 「そこで、何か策は無いか?」


 「無い事は無いけど、その前に兵糧どうするの?」


 幾つか思いついたがどれも兵糧次第の策ばかりだ。


 「王都付近の城に食料の徴収を掛ける。軍は王都から一度補給のためバラバラに進軍させ、日時を決めてある場所に集合させてから川の方に進軍させようと思ってる」


 ジジイの説明に伯爵も同意をしている。


 「分かった。策はある」


 そう言い伯爵とジジイと少し話し合い、翌日王都を出発した。

 そして3日後、11万の軍勢が王都より出陣した。





~王子派~

 『王都よりベリスク城へ11万の兵が出立』

 この予想外の報告がベリスク城に入って来たのは出陣の翌日だった。しかし、知らせが来た日の内にベリスク城から川に向かい7万5千の兵が出立した。しかも、予想外の出陣のはずなのに慌てた様子は無い。


 「まったくもって予想外でしたな」


 「そうですな。まさかこの様な幼稚な策にはまるとは予想外でしたな」


 こんな内容の会話が兵の間でも将の間でも話されていた。

 彼らにとってこの『ラノス将軍が裏切る』という言葉を信じて出陣して来る事は予想していなかった。この将軍の性格や気性を考えれば誰でも気付くような策は、先の戦で敗走の原因となったベリモル・ガリがジータに対して仕掛けた物だ。

 そもそも王子側は出来るだけ早くこの戦を片づけたい考え、如何にして敵をおびき出し、川で攻撃を仕掛けるかという一点に焦点を絞り策を考えたのだが、誰も献上出来る様な策は思い浮かばなかった。そんな中、唯一献上されたのが前回の失点を挽回したい彼が考えたこの策であった。そして『上手くいかない事を覚悟し、何もやらないよりは良い』と判断した上層部が実行を許可した所、見事に敵が釣れたのだ。

 その為、王子派の将や兵の間には慌てや不安は無く、一部の者など敵はたいしたことないと油断までしていた。しかし、この将兵のなかでも何人かは不審に思う者もいた。その筆頭はやはりこの人だった。


 「将軍、またですか?」


 「うむ。先の戦では一本道での罠を使い兵を損なわずにこちらに打撃を与え、食料地の攻撃を仕掛けた者が私の裏切りが策だと疑わないはずが無い。しかも、敵について届く報告はどれもこちらに有利になる物ばかり。怪しいと思わんか?」


 ラノス将軍が言う有利になる物というのは、指揮官の話だ。出陣を知らせる報告を皮切りに、敵の規模や指揮官などの情報が入ってきている。指揮官は王国騎士団団長のレオル、副将に近衛騎士団王女護衛のジータ。当然彼らの指揮経験や戦闘経験などの情報は王子側も分かっている。それを承知で敵はこの2人に指揮を命じたとなれば、阿呆としか思えない。


 「ですが将軍、敵が攻めてくるとしたらこの城の東側から川を渡って来るしかないのです。西から川を越えるとなると遠回りになってしまう為、食料の少ない敵が採るはずが有りません。現に敵は王都を東に進軍し南下し川を渡ると思われる行動をしています。何かあるとすれば川を渡る時ではないでしょうか?」


 近くに居る側近兼弟子が答えるがやはり納得しない様子だ。


 「こうは考えられんか?この城に攻め込んでくる為行動している敵は囮で、別働隊が王都より西から川を渡り、そこから我らの背後に回り込み、本拠の城を攻撃する」


 将軍が告げた策に周りに居た者たちが氷ついた。もし、そんな策を採られた場合、自分達の家族や家を失ってしまうからだ。皆今回の遠征の為にそれぞれ本拠には最低限の兵士か置いていないのだ。なぜなら、このベリスク城が王都より一番近い王子派の城で、皆の本拠は王都から見ればこの城の背後にあるようにしか見えない。その為この城に駐屯しておけば敵はこの城に来るはずという考えを持っていた。


 「ですが将軍、その策は成りません。王都から西に進軍し我らの背後から攻撃しようとしても、背後に回り込む為の道は険しく、城を攻める様な大軍では無理です。それに、その経路を進んだ場合日数がかかりすぎます。王都より東に進みこの城に辿り着くのに4日かかりますが、その迂回路の場合は一番近い道を使っても城まで8日はかかります。何かあっても直ぐに救援できる体制をとれば十分かと」


 将軍の策を聞いて慌てだした周りだが、1人の側近が策を否定しその根拠にも納得した為、騒ぎは沈んでいった。




 ベリスク城の近くにモーリス城という城があった。ベリスク城からは西に進み1日の距離と近く、ベリスク城の支城の役割を果たす為に建てられたなだらかな傾斜の丘の上に建つ城だ。四方を塀に囲まれていて、門も鉄の城門が4か所ある。そして、この城に物凄い勢いで煙が近づきつつあった。


 「申し上げます。凄い煙が近づいてきます」


 モーリス城の城代であるランケルにそんな報告が上がったのは、ベリスク城に王都よりの出陣の報告が来た翌日の早朝だった。


 「なに?具体的に言え。煙の正体は何だ?」


 「分かりません。本当に煙が動いている様にしか見えないのです。ただ、もうすぐ城の門前になり煙が立たなくなるのでわかr「申し上げます」・・」


 そう言葉を遮る形で1人の兵が慌てて入って来た。


 「どうした?何をそんなに慌てている」


 「兵がやってきました!!」


 「兵?」


 ランケルには理解が出来なかった。何故伝令の兵がやって来ただけでそんなに慌てるのか。


 「慌てる事はあるまい。その兵を連れてまいれ」


 「もう、来てます」


 そう兵が告げるのとほぼ同時にものすごい音が城門の方から聞こえた後に人の叫び声や武器の擦れる音が聞こえ出した。


 「・・・煙の正体は・・敵でした」

筆者は今日特別なことは何もありません。

べ、別に寂しくなんかないんだからね。

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