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異世界大陸統一記  作者: クロキダンカー
2章王国内乱の章
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不毛な軍議以上に時間の無駄はない

 「なんでこうなったのじゃ?」


 外務卿マリオ伯爵は、怒鳴りあいと中傷合戦の場となった会議室で呟いた。だが出てくるのは後悔の念ばかり。今日までの7日間の間に散々挙兵の可能性について問われた、始めはきちんと確認していたが途中から嫌になり、確認を疎かにしていた。きちんと確認していれば、この事態も事前に知ることが出来たのに・・。


 「・・・そうじゃ、アオイ。今日奴は城に居る・・・」


 そう思い会議室を抜け出して自分の執務室に走り始めた。






 「あー、暇だ・・・」


 俺は外務卿執務室の椅子に座りながら天井を見上げてる。


 (どれくらいの時間がたったんだろ?時計ないから不便だな・・・)


 今は朝議から軍議に代わっていたが盗聴はしていない。


 (あー、軍議ってきいてテンションあがって机に屋敷から持ってきた紙とか広げてたのがバカみたいに思えてきた)


 こんな事を考えてると、廊下を走る足音が聞こえてきた。


 「アオイ・・・すまんが来てくれ」


 足音の主は自分の仕事部屋の扉を開け、入って来るなりそう言ってきた。





 「で、状況はどうなってるの?」


 「敵の総数は15万。『王国騎士団』2万・四家の騎士団3万・貴族の兵10万じゃ」


 「こっちは?」


 「『王国騎士団』4万・『近衛騎士団』1万・貴族の兵2万の7万じゃ」


 「だから言ったじゃん!!挙兵に気を付けなきゃダメだって」


 「本当にすまん。まさかこれ程の数になるとは思わなかったのじゃ」


 俺は伯爵と一緒に軍議の行われている会議室に向かい移動しながら話していた。急いで走っているため口調が屋敷での会話のようになってしまっている。

 会議室の砂時計によると軍議が始まって約3時間が経っているらしい。


 「しかし、なぜこの事態が想定できたのじゃ?」


 「この事態って?」


 「王子派の挙兵と騎士団の対立の激化じゃ。挙兵は始めの知らせで2万の軍勢が宰相領に向かったと聞き、次の知らせで挙兵したと聞くまで分からなかったし、騎士団の対立も軍議を開き初めて激化している事が分かったのじゃ・・・」


 伯爵が不思議そうな顔をしている。


 「騎士団の対立は直ぐにわかるよ。何ってたって伯爵の家のお手伝いさんたちからの情報なんだから」


 伯爵は信じられないという目で俺を見てくる。


 「あくまで噂話だったんだけどね。ちょうど王が倒れた辺りから、騎士団同士が町で激突する事が多く起きてるって言ってた」


 「挙兵の方はどうしてじゃ?」


 「そっちは、ある程度しか想定してなかったよ。ただ、色々な事を考えてた内の1つだっただけだよ」


 「あの部屋じゃ」


 そう伯爵がいう部屋からは罵声と中傷の声が廊下に居ても分かるくらいに漏れていた。


 「・・・この部屋は、防音の対策をした方が良いと思うよ」


 「・・・わしもそう思ったところじゃ」


 混沌としてに何も決まっていない軍議が行われている部屋に俺と伯爵は入っていった。




 王子派挙兵に対する軍議は、始まって3時間たっても1つの議題で揉めていた。それはどちらが指揮権を持つかということだ。そもそも、この国の軍は2つの騎士団と貴族の軍により外国から領土を守り、また増やしてきた。そしてこの2つの騎士団は完ぺきに役割が決まっている。

 近衛騎士団は王族の警護と王宮の守り、王国騎士団は外国との戦闘。

 完ぺきに役割が別れている他に、近衛騎士団は血や家柄を大切にするのに対して、王国騎士団は完全実力主義をとっている。考え方も違うためそもそもそんなに仲が良くない。そんな2つの騎士団に追い打ちをかけるように、この1カ月の間に度々衝突が町で起こったため対立が激化した。

 そして、それぞれプライドや誇りを主張するため、めんどくさい事この上ない。

 

 「なんで俺らがお前らの下に付かなくちゃいけね―んだよ!!」


 「貴様らの様な輩は我々の下について当然だろうが」


 「何言ってんだよ!?今まで一度も戦を経験した事のないボンボンが」


 「口を慎め!!そもそも今回の目的は陛下とこの城をお守りする事だ。役割で言ったら我我が指揮をすべきだ」



 (こんな感じで3時間もいい合っているんだから、もう呆れて何にも言えない・・・)


 俺と伯爵の入場に気づきもせず、ずっと罵倒しあっている連中に呆れかえる。


 「伯爵、一旦陛下から休憩を入れるように言ってもらわないと、どうにもならないぞ」


 「分かった。陛下もお疲れの様じゃからちょうど良いじゃろ」


 俺の提案を受け入れてくれた伯爵が陛下の元に行き、要件を伝えた。

 伯爵の提案を受けた女王が休憩を宣言し、一旦不毛な軍議は幕を閉じた。


 (こんなんで勝てるのか?) 


 俺は途轍もない不安を覚えた。


 「伯爵。今までどうやって軍は指揮官とか決めてたの?」


 「今までは王が軍部卿に命じ、軍部卿が決めておったのじゃが、肝心の軍部卿は四家じゃから今は首都に居らん」


 「今回の挙兵した軍はこっちに攻め込むためにもう進軍とか開始したの?」


 「いや、まだのようじゃ。挙兵したと云うだけで進軍したとの報告は来ておらんが時間の問題じゃろう」


 幾つか伯爵に質問をした後、中央のテーブルに置かれた地図と駒を見ながら考える。


 (兵数はこっちの倍の兵士がいるわけだけど、必ずしも一枚岩じゃないだろうし・・・。どうしようか。変に長引かせるのも良くないだろうし、もし敵が全軍でこの城を包囲してきたとしたら勝てるか?この城は平城だ。山は近くに無く、在るのは平原と川。城壁はそれなりにあるけど本丸までの門が多いとは言えないし、仮に籠城しても援軍の見込みはないし、敵は内部を知り尽くしてるから籠城は無理か。それに、こちら側の貴族の兵はあてにならない。領土が近ければ良いけど、遠かったりする場合は来るだけでも大変だし、自領も護らないといけないからな。そうなると、戦力は近衛の1万と王国の4万のみ。敵も似たような理由や出兵したくない者もいるだろうから、王国の2万と四家の騎士団3万、そしてこの四家は必ずしも連携して来るとは限らないから微妙だな・・)


 「伯爵。まず自軍の指揮官より策を決めた方がいいかもね」


 「変にやればまた先と同じになるしのう。まず、女王に意見を求めてみるか」


 伯爵と2人で女王の元に行くと2人の騎士が護衛として立っていた。

 

 (ミリアだ。苦手なんだよな。・・・うん?もう1人のイケメンの方は誰だ?)


 俺たちに気づいた護衛2人は女王の前に立つ、ここまでは良かったんだが男の方がいきなり剣を俺の首に突き付けてきた。


 「貴様、何者だ」


 「アオイ・エドガワだ。怪しいものではない」


 「そうじゃ、彼はわしの連れじゃ。剣を下しても良いと思うが」


 男の問いに俺が答え、伯爵が剣を下すように言ってくれた。


 「まだわからん、貴様何処の出身だ?」


 伯爵の言葉を無視し更に聞いてくる。この質問に俺はどうしようと伯爵の方を見る。


 「なぜ、直ぐに言えん!!」


 男は更に剣を突き付けてくる。


 「異世界からやってきた」


 しょうがないので正直に答える事にした。伯爵もしょうがないと云う顔をしている。


 「異世界!?なら貴様がアスガラ王国よりきた能無しか」


 剣を俺の首に突き付けたまま、目があのクソ王国の奴らと同じような目になった。


 (ち、こいつもか)


 心の中で仕打ちをした。属性を持ってないだけで劣ってると判断するクソの発想。


 「いい加減にしたらどうじゃ。陛下の御前であるのに無礼であろうが」


 伯爵のはじめて聞く怒りのこもった声がした。この声にミリアが反応し、剣を収めるように命じやっと剣がおれののど元から消えた。だが、その顔には俺への軽蔑と怒りと何らかの感情の表情があった。


 「陛下。陛下にお尋ねしたき事が有り、参上しました」


 伯爵が陛下に話しかける。


 「なんですか?マリオ卿」


 「は。陛下は今回の挙兵についいていかがお考えなのでしょうか」


 「とても残念に思いますが、戦うしかないのでしょう」


 以外にも交戦について賛成的意見が返ってきた。てっきり、戦いたくないと云うのだと思っていたからだ。


 「つきましては今回の戦いにおける策を練る為に軍議をまた行わなくてはなりません。そこで陛下には、軍議再開の時に策の案を出すようにご提案いただきたいのです」


 「分かりました」


 「ありがとうございます」


 女王に頼み事をした後、俺と伯爵はまた会議室に戻った。

 しばらくし、女王の号令と提案の元再び軍議が始まった。

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