第1章 part2
「ってうおぉっ!?なんで早く起こしてくれないんだっ!?」
「そ、蒼麻……あんたケンカ売ってんの?起こしたわよ、それも16回!なのにあんたは「あと五分」とか「もう少し待ってくれ」だの起きようとしなかったじゃない」
「う、嘘だろ……全然記憶にない……」
眠い目をこすりながら軽く伸びをする。固くなった筋肉が軽くほぐされて気持ちが良い。
「知らなくて当然じゃない。今私が作った嘘なんだから」
「おいっ!?なんだよその嘘はっ!?」
「でも起きたでしょ?」
「……」
「門で待っててあげるから早く来なさいよね。ったく……早くだかんね」
と、何やらぶつぶつ言いながら教室を去って行った。相変わらずだな、と思いながら鞄の中に教科書などを詰め込む。
その時、そんな何気ない動作の時に朧気に夢の記憶が戻ってきた感じがした。大事な何かを夢の中で見つけた、言われた、そんな気がしないでもない。
鞄に入れ終わった後、眼を閉じ、腕を組み椅子に身を預けながら少し考えてみる。……いや、そんな憶測はいくら立てたところで意味はない……か。
なんて頭の中で考えていると遠くで鴉が鳴いた。
「っと、早く行かねぇと」