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第1章 part1 ~きっかけ~
☆第1章(題名未定)☆
「ちょっと蒼麻?蒼麻っ!?」
「あー?」
目を開けると如月蒼麻の前に一人の女の子が机に手を置き、顔を目の前に持ってきていた。
その表情から見るに、どうやらご立腹のようだ。
「えーっと……なんだ?恋雪?」
椎名恋雪
黒髪で肩くらいまでのショートカット気味の髪の持ち主でいつも右髪だけを耳にかけている。大きな瞳が印象的で、その奥は正直少し怖い感情が見え隠れする。性格はところどころ強気な部分がアリ、悪い表現をすれば扱いが難しい。それでも蒼麻と恋雪は小学、中学と同じで家も近所、いわゆる腐れ縁ってやつだ。
そんな恋雪は蒼麻の発言に驚いたのかよろよろと一、二歩下がる動作を見せ、それでも腕を組みながら、
「なんだ?じゃないわよ。ホームルーム、終わったのよ。どんだけ寝てんだっ!?」
そう言われて蒼麻は改めて教室を見渡す。
音のない教室、辺りはシーンと静まり返り、今いるのは蒼麻と恋雪だけ。耳を澄ましてみるとグラウンドの方からは運動部が掛け声と同時に来る大会へ向けて練習をしている。