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記す者のことば

作者: Marron
掲載日:2026/02/04

彼女のことを思い出したせいか、夢に見た。


彼女と私は最後に行ったひまわり畑の中にいる。

その日は雲ひとつない青空で、

太陽が真上にから私たちを照らしている。


周りには誰もいないのに、

彼女は宝石化している眼を隠すように

深く帽子をかぶり、サングラスをしている。


取ったら?って聞いても頑なに外してくれない。

宝石化したと噂が立ってからひどい言葉をかけられるようになったんだから仕方のないことではあるが、この場所でくらい気にせず楽しんでほしかった。


あの日と同じように、たくさんのひまわりに囲まれて幸せそうな顔をする彼女。


あの日と同じように、二人でひまわりで作られた迷路を歩く。


でも、あの日と違うのはいつまで経っても抜けられないこと。


進んでも進んでも行き止まりだ。

だけど、彼女は楽しそうに笑っている。

不思議なもんだ。



あまりにも楽しそうにしてるから

また連れてこようと思って現実を思い出す。

もう、一緒に来れないことを。

会えないことを。


そんなことを考えていたら迷路を抜けた。


太陽が沈み始めている。


記念に写真を撮ることにした。

ひまわりと夕日を背景に。

せっかくだからと言って、彼女の帽子とサングラスを外させた。

久しぶりに外で見る彼女の眼は、夕焼けが反射してきらきらしている。


まるで本物の宝石のように。


本当にきれいだった。

それ以上の言葉は出ない。


ここでなら現実の私が言えなかったことも、

言えるような気がした。


この言葉が呪いになるんじゃないかと怯えてた。

でも、そんなことを気にせずに言えばよかったと何度も後悔した。


現実の今の彼女にこの言葉を伝えても

違う意味になってしまう。


それにもう私の言葉は彼女の耳には届かない。


彼女の名前を呼び、少しずつ宝石化していく眼をまっすぐ見つめた。


彼女がびっくりしたのが分かる。


あの日の後悔を置いていくために。

ずっと言いたかった言葉。


「きれいな眼だね」


彼女はいつもの満面の笑みで答えてくれた。

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