21 閑話 ハンスの会えない「誰か」2
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青き竜は嬉しかった。翠の竜が生まれたのだ。
生まれたばかりの彼は竜のかたちをとれなかった。
青き竜は心配で、翠の竜の周りをぐるぐる回って世話をした。
土遊びを喜んだので、ほかの竜や狼とそれで遊んであげた。
しばらくすると飽きて、翠の竜は小さき者となって遊ぶようになった。
楽しそうだったので、竜たちも次々小さき者になることにしたようだ。
青き竜が寂しくてぼんやりしていると、小さき者になった竜たちは卵が欲しいという。
青き竜は快くたくさん作ってあげた。
やがて待ち疲れた青き竜も、小さき者になってみた。
しばらくすると、竜だった者が次々欠片になった。
青き竜だった者がそれを集めて葬ると、薄い翠の光になった。
それを見て、青き竜だった者は翠の竜に会いたくなった。
見つけた、と思った瞬間、青き竜だった者も欠片になってしまった。
翠の竜は、その欠片を集め、薄い翠の光の側に置くと、またどこかへ去った。
青き竜だった者の欠片は、小さなものは幾つか風に吹かれてどこかへいってしまった。
子が卵から生まれないと熱心に祈りを捧げ、卵を持ってきた夫婦がいた。
不憫だったのだろうか、薄い翠の光は卵に吸い込まれていった。
薄い翠の光を宿す竜人と青き竜だった者の小さな欠片を宿す竜人が婚姻式を挙げている。
残っていた青き竜だった者の欠片が無数の光の珠となり、ふたりに降り注ぐ。
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ハンスというポートを出て、薄い翡翠色のエネルギー体に譲ったポートに入る。
このポートの警戒は厳重でやっと入れた。
このポートには、竜が小さき者に溶け込んでできた者の欠片が入っているようだ。
欠片の記憶を探る。
なるほど、薄い翡翠色のエネルギー体は、竜が小さき者に溶け込んでできた者の欠片の集合体のようだ。
必ずしも、ワタクシと同じ存在というわけではないらしい。
だが解らない。ワタクシの邪魔をしないかどうかは。
この水球を可能な限り小さき者で満たさなければならない、ワタクシの。
あぁ、そうだ、この小さな陸地から末裔たちを出してもいいな。
もう末裔たちも随分竜の力が薄まった。小さき者より少し力が多いだけだ。
まだ幼かったワタクシは短絡に過ぎたかもしれない。あの禁書は酷い。
とにかくしばらくこの小さな陸地は観察する必要がある。
この古びたポートをもう少し使おう。




