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転生した子供部屋悪役令嬢は、悠々快適溺愛ライフを満喫したい!〜二つの王冠の子〜  作者: 木風


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第9話「初めての刺繡と贈り物」②

「……こんなんで良かったら、何枚でも作るから、ドンドン使ってよ」


必死に誤魔化すように言うと、エドの手がそっと頬に伸びてきた。

触れられる直前……


コンコンコンッ


ノックの音にビクリと肩が跳ね、伸ばされた手が物寂しげに引っ込む。


「殿下……」

「コンラート。まだ一時間には早いだろ?」

「ユリオス殿が急な面会を求めています」

「……!すまない、少し出る……」


兄の名前が出た瞬間、エドの顔が険しく曇った。

外交官のユリオスが急な面会なんて、それだけで良くない知らせだと告げているようなもの。


年越しの祈りの時……兄がエドに耳打ちしていたことが脳裏によみがえる。


『 帝国の皇太子が病に臥せっていると情報が入った』


胸の奥で、嫌な予感が鈍く広がった。

扉を挟んで兄と話すエドの横顔が見えないのが、かえって不安を煽る。


やがて戻ってきた彼の瞳は、いつになく重かった。


「リエル……すまない。至急ユリオスと公爵閣下と共に王宮に戻らなければならない」

「あ……うん。私のことは気にしないで」

「コンラート、アリエルを頼む」


あまりに急な展開に、頭が追いつかない。

しかも残されたのはエドの側近コンラート。彼のことはエドの乳兄弟で忠実な臣下という情報しかなく、ほとんど言葉を交わしたこともない。

正直、不安しかないんだけど……!


「アリエル様、少しご説明させてもらってもよろしいでしょうか?」

「あ、はい!お願いします!」


深く一礼した彼の声は落ち着いていて、少しだけ胸が和らいだ。


「帝国と我がアストリア王国は、同盟国なのはご存じですよね?」

「はい……」

「緊張感を孕んだ同盟関係ではありましたが、王妃殿下と后妃殿下がアストリア国に降嫁されたことで、表向きは友好関係となったのが現状です」


王妃と后妃が、帝国の人……!?


「帝国には第一皇位継承権を持つ皇太子がいました。ですが……」


短く間を置いた後、コンラートの声は低く響く。


「昨年末から体調不良の噂があり……先ほど薨去されたと」

「薨去って……」


その言葉の重みが胸に落ちた瞬間、背筋を冷たいものが走った。

皇位継承者が亡くなったということは、帝国の玉座が揺らぐということ。

それがどれほど大きな波を生むのか、想像するだけで息が詰まりそうになる。


エド……大丈夫だろうか。

あの曇った横顔が、脳裏に焼き付いて離れなかった。


「それがアストリア国にどういった影響があるんでしょうか……?」

「今、そのことで王宮で緊急の対応を話し合われているかと存じます」


胸の奥で、正体の分からない不安がじわじわと広がる。


「コンラート様、ご説明ありがとうございます……」


礼を言いながらも、歯がゆさが募る。

私は報告を待つしかないのだ。立場も力もなく、ただ祈ることしかできない。


「私は大丈夫ですので、コンラート様も王宮にお戻りください」

「お心遣い、感謝いたします」


深く敬意を込めて頭を下げ、部屋を出ようとした彼を、思わず呼び止めた。


「あの!エド……殿下の力になっていただけますか?」

「……もちろんです」


改めて言う必要なんてないのかもしれない。

けれど、その言葉だけが、今の私にとって唯一の支えになった。

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よろしくお願いします( *・ㅅ・)*_ _))ペコ

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