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転生した子供部屋悪役令嬢は、悠々快適溺愛ライフを満喫したい!〜二つの王冠の子〜  作者: 木風


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第4話「星のように並ぶドレスたち」②

何度目のお妃教育だろうか。

気が付けば、王宮でのお妃教育のお昼は必ずエドが同席するようになり、週に一度は王妃も顔を見せるのが恒例になっていた。


「そういえば……今日は王宮までの道中、街並みがやけに鮮やかだった気がする」

「そろそろ聖夜市の季節だからね」


この国でも、クリスマスマーケットのような催しがあるらしい。

屋台や音楽隊が並び、この時期ならではの装飾で街全体が華やかになるのだとか。


「懐かしいわ~。エドが生まれる前、陛下と二人でこっそり抜け出したのよね」

「……は?父上が!?初耳です」

「ふふ、初めて話したもの。王様だって、たまには庶民に混ざって屋台でホットワインを飲みたくなるのよ」


王妃と笑い合うエドの表情は、王太子としてでもなく、私に向ける顔とも少し違っていた。

ほんの一瞬、年齢相応の青年に戻ったように見えて……その姿に、つい私も笑ってしまう。


でも、クリスマスか。

前世では連日の仕事に追われて、街並みを楽しむ余裕なんてほとんどなかった。

せいぜい、小児科の子どもたちが寂しくないように、同僚や看護師と一緒にお菓子を配ったくらい。

あれはあれで楽しかったけど……今とは全然違う。


そういえば、この前仕立てた聖夜祭のドレス。

また深夜まで続くパーティがあるんだろうな。

ほんと、貴族のパリピ具合は半端ない。


王宮へ向かう道中は、日を追うごとにどんどん華やかさを増し、

王宮に『ドナドナ』される憂鬱な気分を、ほんの少しだけ和らげてくれた。


「お嬢様、旦那様と奥様方がお待ちですので、そろそろお着換えを」


……ん?あれ?今日は予定なんて無かったはず……しかも昼から?

まだ寝起きの頭で状況が飲み込めない。

部屋の暖炉は侍女が既に火を入れてくれているけど、布団から出た直後の寒さには勝てず、エドからもらったストールを手放せないまま立ち上がる。


あっという間に髪をまとめられ、簡易的なドレスに着替えさせられる。

フルドレスじゃなかったことに、心の底から安堵した。

着る服でその日の予定を察せるようになった自分。だいぶこの世界に馴染んできたのかもしれない。


「お支度が整いましたので、食堂にご案内いたしますね」


食堂?……珍しい。

昼食は大抵それぞれ予定が入っていて、私もお妃教育に駆り出されることが多い。家族全員で揃うなんて滅多にないのに。


案内された食堂は、こぢんまりとしていながらも不思議な温かさに包まれていた。

普段は別邸で過ごしている兄たちの姿まである。


「アリエル、お誕生日おめでとう」


え……?思いがけない母の言葉に、思わず目を丸くする。


「ほら言っただろ?アリエルは絶対忘れてるって」

「お妃教育、そんなにキツいのか?」

「殿下に今度、文句言っとかないとな」


兄たちがからかうように笑っていると、ガブランの奥さんが小さな男の子を連れて入ってきた。

前に見たときは抱っこされてばかりだったヴィクトルが、もうヨチヨチと歩いている。

子どもの成長って、本当に早い。


「さぁ、ヴィコ。アリエル嬢にプレゼントをお渡しして」

「ありぇ、どーじょ」


小さな手に握られていたのは、可愛らしいリボンの髪飾り。

しゃがんで目線を合わせると、一生懸命に髪に飾ろうとしてくれる姿が愛おしくて、思わず抱きしめる。

キャッキャと笑う声が堪らなく可愛い!


「ヴィクトル、大きくなったね!ありがと!!大切にするよ」

「今年がアリエル嬢と過ごせる最後のお誕生日なんて、なんだか寂しいですわね……」


ふと視線を向けると、父が既に食卓についていて……どこか不機嫌そうにも見える。

不思議に思っていると、母がそっと耳打ちしてきた。


「お父様ね、寂しくて泣くのをずっと我慢してるのよ」

「ぷっ……そんな大げさな」


この世界にはバースデーソングも、誕生日ケーキも無い。

それでも家族総出でお祝いされる誕生日は、胸の奥まで沁みていく。

最後に両親と誕生日を祝ったのはいつだったろう。

気づけば前世では1年以上も帰省せず、連絡もろくに取らず、そのまま……。


もう触れることのできない懐かしい両親の温もりを思い出しながら、今ここでの家族の優しさが心から嬉しかった。


楽師が奏でる旋律に包まれ、穏やかな空気の中で食事が進む。


「お嬢様、王太子殿下がいらっしゃいました」


え!?なんで!?

めちゃくちゃ家族水入らずなのに!!

ほんと、あいつは空気読めないところあるんだから……!


「アリエル、殿下をお待たせしないように」


父に促され、渋々エドが待つ自室へ。


「早く着きすぎたかな」

「どうしたんだよ?」


問いかけても、エドがアリエルの誕生日を知らないはずがない。

答えの代わりのように、ブラウンの厚手のコートを羽織らされる。


よく見れば、エド自身の服装も庶民服とまではいかないけれど、普段よりは質素で肩の力が抜けた装いだった。


「麗しのアリエル嬢を聖夜市にお連れしたいんだけど、どうかな?」

「え!?聖夜市に行けるの!?行きたい!!」

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よろしくお願いします( *・ㅅ・)*_ _))ペコ

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