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転生した子供部屋悪役令嬢は、悠々快適溺愛ライフを満喫したい!〜二つの王冠の子〜  作者: 木風


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第1話「逃げ道のない王宮のサロンへ」①

挿絵(By みてみん)

拝啓


日本で暮らすお母さんお父さん、お元気ですか?


29歳という若さで、お二人よりも先に死んでしまい、本当に親不孝をしてしまいました。

その節は、最後まで心配ばかりかけてごめんなさい。

そんな私、西村涼子は、なぜか異世界に転生してしまいました。

気がつけば、アストリア王国の公爵令嬢……アリエルという名の少女の体にすっぽり入り込んでいたのです。

しかも、ちょうど婚約を破棄された直後という、なかなかの修羅場なタイミングで。


『これで今度こそ、夢に見たダラダラ子ども部屋ライフが送れる!』と一瞬は思いました。

けれど、現実はそう甘くありません。どういうわけか王太子殿下に見初められ、なんやかんやで気づけば婚約まで話が進んでしまって……。


婚約からわずか一週間。今の私はというと……未来の義母が目の前にいて、優雅にニコニコしながらお茶を注いでくれています。←イマココ。

こんなシチュエーション、センター試験対策にも医師国家試験にも患者対応マニュアルにも、一切出てこなかった!それでも私はなんとか元気にやっています。

どうか、お母さんもお父さんも、心配しないでください。


敬具


……時を少し遡ること、約四時間前。


その日は珍しく予定が空っぽで、昨晩は夜更かしして大好きな本を読み漁り、寝たのは深夜二時過ぎ。

ぬくぬくと布団にくるまれ、ワンワンを抱いて夢の世界を漂っていたところに、侍女が慌てふためいて駆け込んできた。


「お嬢様!!大変です!!」

「……大変って、なぁに?今日はオフだって言ったでしょ~」


季節は冬の入り口。布団の隙間から肩に忍び込む冷気に震えつつ、私はワンワンをぎゅっと抱きしめ、さらに深く潜り込む。


「あと一時間だけ寝かせて……」

「そ、それどころではございません!王宮から、王妃殿下直々のお手紙が!」


王宮?王妃殿下?

……それってつまり、エドのお母さん!?


一気に眠気が吹き飛び、侍女から封書を受け取る。

結婚式の招待状と見紛うほど上質な厚紙の封筒に、赤い蜜蝋で封がされていた。思わず指が震える。


表には「クローバー公爵令嬢 アリエル・C・ラバー様」と、達筆な文字。

どう見ても私宛て。逃げ道なし。


赤い蜜蝋が、赤紙にしか見えないのは気のせいじゃない。

いやだ、絶対にろくでもない!これで今日のダラダラプランは完全に崩壊だ。


覚悟を決めて封を割ると、パキッと音を立てて蜜蝋が砕けた。

そーっと広げて薄目で読み進める。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

クローバー公爵家

アリエル・C・ラバー様


ご機嫌麗しくお過ごしでしょうか。


今朝ふと思い立ちまして、本日午後にささやかな茶会を開きたく存じます。

招待するのはあなたお一人。気兼ねなくお話ができればと願っております。


どうぞ正装などはなさらず、軽やかなお召し物でお越しくださいませ。

急なご案内ではありますが、ご都合がつきましたらぜひお越しくださいませ。


王妃殿下 エレオノール

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

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よろしくお願いします( *・ㅅ・)*_ _))ペコ

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