カスは過去の傷が疼く
イジメダメゼッタイ
魔導書で得た能力をまたしても偶然で知ることが出来た小次郎であったが、獲得した能力で遊ぶことに熱中していた
「ふぃー、結構出来ることがわかったな」
俺は自分でも習得が早いと思うほどの時間で能力の把握を行うことが出来ていた
しかし流石に疲れていたので、娯楽にいこうと考えていた
「女の桃源郷へとさぁ行くぞ!」
どこぞのヒーローのようにかっこよく決めてその場所へと転移していった
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「げへへへへ。やっぱり温泉いいのぉ!」
小次郎はまたしても温泉に来ていた
そして、検証が終わった能力を早速ここで使っている最中であった
本当にカスである
「やっぱり、一度行ったことのある場所には転移出来るみたいだな」
そう俺は以前とまったく同じ温泉へと転移するころが出来ていた
「しかし透明のまま転移出来るということは、複数の能力を重ねがけして使用しても、使えることが確認出来たぜ」
今の俺は透明、転移、付与の3種類の能力を同時発動している
え?透明と転移はわかるが、付与は何に使っているかって?
ああ、少し語弊があったな。透明と転移はその場で発動しているが、付与は事前におもちゃの指輪にかけておいたのだ
おもちゃの指輪にかけた付与は消音。俺から発生する音の全てを鳴らなくさせる効果がある
例えば、俺が大声で叫んでも誰も気づかないし、足音をドタバタさせてもわからない
「…あれ?何かすげぇ泥棒とかに使えそうな能力ばかりじゃね?」
透明人間で見えなくし、転移能力で行ったところにはノータイムで行ける。そして付与の能力で消音などの便利なアイテムを作り放題
泥棒というより国家転覆も出来そうだな。いやーこんな能力が犯罪者に奪われなくて良かったぜ
俺が有効活用するから、みんなも安心して暮らしていてくれよな!
現在進行形で犯罪を犯している小次郎だったが、本当にお前が言うなという言葉を返してやりたいくらいである
「ふぅ、しかし平日の朝方というのもあって、あまり若い人がいねぇなぁ」
周りを見渡しても、どう見てもおばさんやお婆さんがほとんどである
たまに妙齢の女性がいるだけで、何か損をしていた小次郎だったが、何かを発見したのかうん?と既視感を憶えていた
「うん?うーん。うん、うん、うーん?」
しばらく悩んでいた小次郎だったが、あ!っと何かを思い出したように大声で叫んでいた
「あのとき透明が解けていた俺を指差していた女児の親って俺に嘘告していったクラスのギャルじゃねえか!」
そう幼稚園児くらいの女児であったが、俺に人生最大の恐怖を与えていったのは高校のクラスで陰キャで友達もおらずに隅っこでライトノベルを読んでいた俺に嘘の告白をして笑いものにしていった女の子供だったのだ
「髪も黒くなっているし、化粧も薄くなっているから全然気付かなかったぜ」
当時は陰キャの俺にも話かけてくれるタイプのオタクに優しいギャルだと、密かに恋心を持っていたのだが、その優しさは俺が嘘告白でOKするまでの布石だったようであの女にはすでに校内でも有名な不良が彼氏としていたのだ
それを知らずに校舎裏で告白されて舞い上がってOKした瞬間に大勢の仲間を引き連れた不良集団が、俺を囲んで笑いものにしていったのだ
あれから俺は高校で告白されたときの顔が気持ち悪いとして、その時の動画を拡散されるなど惨めな思いをしながら毎日を過ごしていったのだ
「ぐぎぎ!あれから俺が大学に進学しても動画が出回っていたせいで、どれだけ苦労したことか!」
俺は嘘告女を見ながらそう叫ぶ
何か復讐してやりたいが急に言われても思いつかない
しかも現在の奴は子供も連れている
親に何かあったらあの子が路頭に迷ってしまうかもしれない
「ふん、命拾いしたな」
そう言って、何だか今日はもう覗きをする気分じゃなかったので、そこまま転移で家へと帰っていった
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あれから帰っても何もやる気が起きなくなって、ネットでオンラインゲームをしていたが、それで気が紛れたのか夜には次の異世界探索のための準備をしていた
「どのバッグにしようかなぁ。うーん、よし!君に決めた!」
俺は腰に回すタイプのポーチ型バッグを手に取った
そしてそのバッグにある効果を付与する
「時間制限なし、時間停止、広さは体育館くらいっと」
そう俺が作っていたのは、四次○ポケットである
これさえあれば、あんなに思いバッグやエコバッグにひいひい言いながら、物を持っていく必要もなくなり、手軽に異世界行けるようになるだろう
「さて、懐中電灯よし、トンカチよし、非常食よし、飲み物よし、その他もろもろよし!」
点検を終えた後は、明日は朝から出るということで、早めに寝ることにした
「おやすみー」
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「さて、やってきました異世界!」
石壁を通って例の絵画の隠し扉から財宝部屋を見ながら言う
今の俺は消音の指輪をしているので大きい音や声を出しても気づかれずに行動出来る
ギルドっぽいところでは苦戦したが、今の俺はあの初老の男に捕まらない自信がある
そんなことを考えながら、財宝部屋にいる兵士たちを見て転移する
「ふっ、今の俺は以前の俺じゃあないぜ」
厳戒態勢の兵士たち見ながら俺は強者感を出しながらカッコつけていた
あれから数日経っているのにまだ厳戒態勢を敷いているということは、俺がギルドっぽいところで魔導書を盗んだことは伝わっているのだろう
そうじゃなきゃ、兵士だって暇じゃないんだから、ずっと財宝部屋に人員を割いているのはコスパが悪い
「最初は2人だけだったのに、ずいぶんと増えたよね」
お疲れさんと言いながら外へと転移する
転移した場所は、城と街との間の道中だ。早く人目がないところに行きたいと思っていたので、俺が行ったことがあるところで当てはまるのはここくらいだったのだ
そうして誰も近くにいないことを確認した俺は、拡張収納されたポーチから乗り物を取り出す
「タララタッタラー、スーパーカブぅ」
知っているものは若い人だと少ないんじゃないだろうか
かつて、スクーターなどが発売される前に最先端の乗り物として日本を席巻したものだ
当時は画期的な乗り物として、便利かつ燃費がいいということで売れに売れまくったものだ
あれから数十年。普通だったら壊れているものが多いと若い人は思うかもしれないが、スーパーカブの技術はヤバいのだ
まず滅多に壊れない。もちろん破損とかすると壊れるが、ずっと乗り回しても元気で動くのだ
そして、耐用年数がバグっている。俺のじいちゃんの代から乗っていても、いまだに現役で長距離を走行出来るくらい使えてしまうのである
ね?馬鹿げているくらいに性能いいでしょ?
ただ、昔の乗り物というところもあって、スピードはあまりでない
俺は、家の倉庫の奥で眠っていたこいつが使えることを知っていた
免許を取り立てのころに使っていたことがあったのだ
スーパーカブの燃費は1リットル入れただけでも半端ない距離を走行出来るので、その燃費の良さもこいつを選んだ一因である
そんなスーパーカブにまたがりながら、もう一つポーチからあるものを取り出す
「タララタッタラー、折り鶴ぅ」
取り出したのは折り紙で折った鶴である。今回はこの折り紙に付与をして道案内をしてもらうのである
なぜ、折り紙に道案内をしてもらうかと言うと、今回の目的は俺に適合しなかったピンクの魔導書の適合者を探すためのものである
本当は折り紙の飛行機とかでもよかったんだが、折り鶴のほうが鳥っぽくて異世界の人もそんな気にしないかと思ったからだ
俺は手に持ったものなら透明に出来るが、俺の手を離れてしまうと、普通に見えてしまうという欠点がある
だから、いつでも破棄できるように折り紙を材料にしたっていうところもある
そして、ピンクの魔導書だが、俺が伊達眼鏡で何の魔導書か確認したところ、能力が聖女というものだった
確かにこれじゃあ、俺に適合しないのも当たり前だろう
聖女ってことは、女性にしかなれないってことだ。俺がなれる道理はないだろう
いや、俺のマイサンを切り落とせばいけるのか?
怖いのでそんなことしないが
まぁ、今回の目的は魔導書の適合者を見つけることと、適合した者を何とか俺の味方にするということだ
聖女というと、絶対に回復とか何か神聖なことが出来るだろうから、絶対に味方に引き入れたい
言葉はいまだに何言っているかわからないが、助けたりすれば何とかなるだろう
「さて、折り鶴君。俺の未来の安寧のために聖女を探してくれよ!じゃあレッツゴー!」
普通助けたからといって、感謝されるかはわからないのだが、そんなことは頭にもない小次郎であった
イジメはやられた方にとっては一生傷になるものです。安易な気持ちで他人を貶める行為はやめましょうよ




