カスは休憩する
チート
小次郎が起きたのは夕方になってからだった
「ふぁぁぁ」
大きなあくびをして伸びをするが、そこで自分のお腹が減っているのがわかった
飯を食べようかと考えた小次郎だったが、自分の体がなんか臭いような気がして、まずはシャワーを浴びてからにしようと考える
「フンフンフフーン♪」
大して上手くない鼻歌を歌いながらシャワーを終えると、リビングに行き、帰ってきていたのという顔をしている親からご飯をもらい部屋に持っていった
そうして、数日ぶりにネットを開き、オンラインでゲームを開始する
ご飯を食べながらいつものバトルロイヤルの銃撃戦ゲームを起動すると、チャットでこの前小次郎にスナイパーショットを決めたユーザーがまた煽りの文章が来た
[あれ?ニートさん久しぶりっすねぇw最近見ないんでやっと定職に就けたのかと思いましたよw]
「…」
そんなチャット小次郎の額に青筋が浮かび上がるが、今の小次郎は以前の小次郎ではない
「いえいえちょっとやることがあって忙しかっただけですよ笑またいい試合しましょうねっと」
普段だったら絶対に書かないようなチャットの内容に、お前誰だよと言いたくなるような感想が出てきそうだが、そんなことは相手には関係ない
事実、チャット相手は驚いていた。今までの小次郎のチャットの内容は相手を煽るか怒させるかのどちらかだった
そんな小次郎の返信の内容はまさかのいい人っぽい感じで、寒気すらしていた
[どうしたんすか?ID乗っ取られました?エロサイトでも見てウイルス入れられましたかw]
「っち。こいつもしつけぇな、よし、ここまできたら善人ムーブで通すか」
[そうですね、そうなったら僕も困っちゃいますよ笑そちらも気をつけてくださいね]
[マジで何かやってんすか?薬は止めたほうがいいっすよ]
[薬じゃないですよ。行き詰まっていた仕事が順調にいったので機嫌がいいんですよ]
[へぇそうなんすか。てっきり実家に寄生していて、普段は親を使用人のように使って、兄弟からは毛嫌いされている友達のいない太ったアラサー男かと思っていましたよw]
「こいつ俺のこと把握しすぎだろ」
チャットの内容が押し入れに穴を開ける前の俺を正確に表していて、気持ち悪いくらいだった
[そんな人がいるんですね笑それよりも今日も対戦お願いします]
「ちょっと強引に話を反らしちゃったか?」
俺の懸念も杞憂に終わり、相手からよろしくという内容の返信がきた
「意外と善人ムーブっていいのかもな」
小次郎は今までの相手を煽るスタイルから善人ムーブをかましながらも、相手の上にいるという空気感を出すほうが自分にとっていい結果になることを知った
ならば、実力でもレスバでも無敵だろうとどうでもいいことで悦に浸る小次郎であった
ーーーー
今日夕方に起きてから朝方までオンラインネットゲームをしていた小次郎だったが、流石に疲れたのでチャットで善人ムーブのお疲れ様でしたという文字を残し、電源を切ることにした
「あー目痛ぇ」
俺は目と目の間を揉みながら、椅子の上でだらけていると、扉からノックの音がした
「朝ごはん持ってきたから、ここに置いておくね」
どうやら親が朝ごはんを扉の前に置いておいてくれたようだった
ドアを開けておにぎりと卵焼きが乗ったお皿を持ってパソコンの前に座ると、スマホで動画を見ながら食べていく
そして朝ごはんを食べ終わり、食後のお茶を飲んでいるとふいに姿見が目に入った
そういえば、この姿見で初めて自分が透明になれることを知ったんだったよなぁと思い出していた
「どうせなら、異世界名物のステータスを見れる能力とかあったらよかったのになぁ」
自分に都合の良い妄想を垂れ流していると、姿見に文字が書き込まれた
「は?」
ゴシゴシ
「やっぱある」
お茶を置いて、姿見に近づくとはっきりと文字が見え、そこにはこのような情報が書かれていた
ーーーー
粕谷 小次郎
30歳
力7
攻撃5
防御6
速さ3
運9
魔力3
固有能力
透明
適合
転移
付与
称号
世界を渡る者
ーーーー
「ステータスやないかい!」
まさしくステータスだった。そしてまた姿見を見たら能力がわかってしまった
でもこれは好都合、自分のステータスが見えれば自分が何が出来るか分かる
情報は武器だという言葉にここまで共感したことはなかった
さて、某RPGにありそうな数値に固有能力と称号
数値は高いのか低いのかわからない。次に固有能力だが思った通りの透明に適合、転移、付与があった
透明はいいとして、適合ってなんだ?
「適合は魔導書から能力を得られるかどうかとか?…いや、適合を得る前から魔導書で透明になる能力を得ていたな。ってことは違うな」
じゃあ、適合ってなんだ?何かに選ばれるってことか?でも魔導書は違うしなぁ
「ああ!もうわからん!」
適合は置いておいて、転移と付与だ。転移はわかる。言ってしまえば、どこで○ドアのドアがないバージョンだろう。後で要検証だな。
そして付与、こっちが俺の本命だ。ステータスでも見れたらいいなぁと姿見を見たら急に文字が出てきたのだ
これはもう付与の能力が関係しているに違いないと俺は考えた
時間制限があったのか、姿見に映っていたステータスはいつの間にか消えていた
今度は姿見でなく、昔100均で買った伊達眼鏡に向かって付与をかけてみる
そして伊達眼鏡をかけて姿見を見てみるともう一度ステータスが浮かび上がってきた
しかし今回の表示方法は姿見ではなく、伊達眼鏡を通して目の前にウインドウがあるように見えている
姿見から視線を外してみてもステータスは見えているので、付与というのは何かに概念を定着させるというものではないだろうか
それを確認するように、伊達眼鏡を外した俺はコインにゴムの概念を付与して曲がるようにしたり、ダーツの矢に必中の概念を付与して必ずブルに刺さるようにしたりと遊んでいた
この能力は応用の幅が凄まじいので極めればすごいことになると考えて、しっかり実験していこうと思った
「固有能力の確認はここまでで一旦いいだろう。それよりも称号に世界を渡る者ってことはやっぱりあの世界は異世界だったってことか」
うすうす勘づいていたが、異世界ってマジであるんだなぁとしか感想が出てこない小次郎であった
しゅごい




