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怪盗K  作者: Yuyu
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カスは帰る

ただいまぁ!

小次郎が街に留まって夜が明けた


ギルドが厳戒態勢をかけてから小次郎はずっとカルロたちギルド側や街の兵士たちに探されていたが、一向に見つかることはなかった


それからも怪しい場所や街の近辺まで捜索の手が伸びていたが、小次郎が見つかることはなかった


街総出で指名手配されていた当の盗人こと小次郎は、すでにドルトムンド公爵邸へ戻っていた


あれから金がありそうな商店や犯罪が蔓延ってそうなところに忍びこんだ小次郎はもう一冊だけ魔導書を発見して、街を後にしたのだった


「(ふふふ、頑張って遠出した甲斐があったぜ)」


そう思いながら、背中に背負っている鞄の重さに笑顔で公爵邸の例の財宝部屋に向かう


小次郎の中では魔導書≫財宝≫よくわからないガラクタ≫の順番で価値が決まっていた


まだ、ガラクタの価値がわからないが、透明になる能力のような力が手に入る魔導書は断トツで価値があったのだ


ガラクタの利用方法を何とか探し出して使えるようになりたいし、財宝も何とか捌く方法を確保したいと考えていると、例の財宝部屋に辿りついていた


相変わらず兵士たちが大勢いるが、出入りも頻繁にしていて、警戒しているように見えるが、逆にその出入りが小次郎にここを脱出させることに繋がるということには夢にも思わないだろう


ちょうど入っていった兵士後に続いて財宝部屋に入ると、部屋の前にいる兵士たちよりもさらに多くの人数が警備をしていてびっくした


壁際に隊列を組むように、警備していて透明状態でなければ即御用になりそうであった


絵画の扉の隠し扉までに兵士たちがいて、そこまで行くのにどうやっても兵士に隠し扉が開くところが見つかってしまうという難点があり、どうやって壁際から兵士たちを引き剥がし、なおかつ隠し扉に入る際に見つからないようにすればいいか


だが、こんなこともあろうかとという言葉が出そうなくらいアイテムを持ってきていた小次郎だ


今回も脱出アイテム火を吹く


「(タララタッタラー♪花火セット〜)」


小次郎が取り出したのは、去年姉家族が実家に来たときに持ってきたもので、買いすぎたせいで余りまくっていたものが実家で放置されていたものだ


その中からネズミ花火と煙がめっちゃ出る花火を取り出して火を付ける


まず最初にネズミ花火に火を付けて透明状態をネズミ花火だけ解除する


「hsybs!?」


「hっds!?」


「sfgっhっっjんb!?」


ネズミ花火が突然出てきたことに兵士たちは騒ぎ立てるが、上官らしき年配の男が一喝するとフォーメーションを組みだした


だが、それは小次郎にとっては好都合


小次郎の目的は兵士たちを隠し扉から遠ざけることだ


兵士たちから壁際から離れてくれるならば、脱出もそれだけ容易になる


兵士たちが壁際から離れたと同時に俺は駆け出す


走り出した際に鳴る足音が兵士たちにも聞こえたのか、より一層警戒されるが、そのときにはもう煙が出る花火が作動していた


モクモクと煙が出てきて、一分もすると部屋中が煙でいっぱいになった


今回は煙出る花火を5個用意していたので、思った以上に煙がすごくなってしまった


兵士たちもゴホゴホしているが、俺もゴホゴホしている


自分にもダメージを受けていて、早くドアを開けて煙を逃がせよと兵士たちに思ったが、隊長らしき男は侵入者を逃がす気がないのか一向にドアを開ける様子がない


それならそれで結構。煙で見えないのなら俺も安全に絵画の隠し扉から脱出出来る


「(ミッションコンプリート!)」


そう心の中で言いながら隠し扉に入っていった


隠し扉の向こう側でまだギャーギャー言っているが、俺はもう終わったことだと思い足早に自分の部屋に繋がる穴に向かうのであった


ーーーー


「ただいまっと」


そう言って、穴を本棚で塞ぎながら、荷物を置いていく


「ふぅ、ちかれたー」


俺はベッドにダイブしながら眠そうな顔でスマホを見る


スマホを見ると、今は朝の8時だった


住宅街から学校へ向かうのか子どもたちの元気な声も聞こえてくる


朝からうるせぇなぁと思いながら眠気に負けそうになるが、俺は先にやるべきことがあると思いバッグを手に取る


「さてさて、今回はどんな能力が手に入るのかな?」


バッグから取り出した魔導書4冊を見て俺はニヤニヤしながら呟く


透明になる能力を得た魔導書は色が灰色のものだったが、今回は青、緑、黒、ピンクとまったく色が違う


俺はまず青色から順番に手にとっていこうと考えて魔導書を開いていく


「やっぱり白紙なんだ…」


そう言いつつも、最後までページを捲っていく


そして最後のページを見終わった後は前回と同じくらいの光が出てきた


だが、事前にわかっていた俺は目を閉じていたのでダメージはなかった


そして光が収まると魔導書は消えていた


「ふふふ、さて今度の能力はなんだろな?」


そう言って力を込めてみるが何の現象も特に起こらない


「あれ?」


それから何度も、それこそ手を突き出しハアー!とかダー!とか声を出したり、ポーズをとって発動しようと念を込めてみたりと試行錯誤してみたが、何の変化もなかった


しょうがなく次の魔導書を取っていくと光が出てきて魔導書が消えるという現象までは出来るのだが、色々と試してみても何の現象も起きない


「はぁ、あんなに命がけで魔導書取ってきたのに無意味だったのかよー?」


そう言いつつ手元の魔導書に目を移す


なんとこのピンクの魔導書だけは、開けなかったのだ


今までの4冊は全部開けたのに、この最後のピンクの魔導書だけは開くことさえ出来なかったのだ


他の魔導書は簡単に開けた分、疑問が強かったが、もしかしたら魔導書を開けるには何か必要なのでないかと考える


確かにこんな強力な能力が手に入るのならば、権力者ならばとっくに使っているはずだ


しかも、あんなに厳重に管理されていて、しかも盗られたあとに執拗に追いかけてくるということは、適合者が現れるまで待っていたということだろうか


なおかつその適合者は自分たちに都合の良い人物を探していたのではないだろうか


そう考えていた小次郎だったが、その考えは概ね合っていた


この魔導書は世界に限られた個数しかなく、ほとんどは国やギルド、余程の金持ちしか持っていない超激レアの品物だった


たまに先祖代々のものとして、密かに持っている者もいるがそんなのは極少数だ


魔導書は魔導書が選んだ適合者にしか開くことしか出来なくなっていて、その確率は百万人に一人という半端ない確率なのだ


言ってしまえば、その確率の中で4冊も適合している小次郎がおかしいのだが、当の本人はそんなことは知らないので、ピンクの魔導書が開かなくて残念だなぁとしか考えていなかった


ちなみに魔導書の種類にもよるが、使いこなす適合者がいればたった一人で戦況を変えてしまうほどの力を魔導書は持っているのだ


「あーもういいや。今日はもう寝よ」


そう言って小次郎はまたベッドにダイブして眠りにつくのだった

ただいまぁ!

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