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怪盗K  作者: Yuyu
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カスは秘密組織と会う

「あれってオークってやつ?」


「は、はい。私がいた世界で村を荒らすことで有名な魔物なんですが、こちらでも魔物っているんですね…」


俺の質問にジュリアは答えてくれるが、他にも的外れなことを言ってくる


「いやいやいや!あんなもん地球にいるわけないだろうがっ!」


思わず叫んでしまったが、現代日本においてオークが出るなんて聞いたこともない


最近異世界に行ったばかりだが、そこでもオークなどの魔物が出たところは見ていない


そうこうしているうちに、オークがこちらに気づいたようで、雄叫びをあげながら人間ではありえないような速度で走ってくる


「グルガァァッァァァァァ!!!」


「うぉっ!?はえぇぇぇぇ!!!」


透明になっているのになぜかこちらを認識出来ているのか、一直線に俺とジュリアに向かって突撃してきた


咄嗟に転移でオークと反対方向に逃げたので、怪我は避けられたがオークがまたこちらを認識したのか、また突撃してくる


「くっそ!なんでこいつ俺達もいる場所わかんだよっ!?」


そう俺が思わず口にだすと、ジュリアが助言をくれた


「小次郎様!オークは鼻がいいと言われています!なので私たちの匂いを追って突撃してきたんだと思います」


「っつ、なるほど!それなら!」


俺は付与能力で俺たちの匂いを公園の遊具やベンチなどそこら中につけていく


「グ、グア?」


思った通り、オークは俺達の居場所が増えたと思って鼻を何度もひくひくさせている


そうして、オークが混乱している間に少し離れたところにあった大きめの石を取りに行き、貫通という概念を付与する


「おらっ!」


俺が投げた石はそんなに早くない速度なのに、オークに当たった途端、その心臓付近を貫通していった


「ブホッ!?」


最後に悲鳴をあげたオークはそのまま前乗りに倒れていった


「ふぅ、終わったぁ〜」


「お疲れ様でした小次郎様」


急な襲撃に一度は驚いたが、落ち着いて対処してしまえば案外簡単に倒すことが出来た


ジュリアと2人で弛緩した空気になっていると、いきなり背後から声が聞こえてきた


「あの〜すみませんが多分そこに誰かいらっしゃいますよね」


いきなり聞こえた声に背筋が伸び上がったが、慌てて後ろを振り向くとそこにはスーツを着た中年の無精髭のおっさんがいた


「…」


しかし、俺達が無言でいると、無精髭のおっさんはあれ?いないのかな?などと男がやってもかわいくないオロオロ姿で何回もすみませんと声をかけてくる


数分しても俺達が無言でいると、なぜか名刺を出してきた


そこには、日本妖魔対策課補助官九十九明と所属先とおっさんの名前らしきものが書かれていた


それを見て、俺は透明化を解いていた


「あ、やっぱりいたんですね!」


よかった~と言いながらこちらに近づいてくる九十九明と思われるおっさんだが、そこで止まってもらうよう言うと素直に立ち止まった


「九十九さんでいいのかな?俺は粕谷と言いますが、色々と話を聞かせていただいてもよろしいですか?」


「ええ、もちろんです。何でも聞いてください」


ニコニコとこちらを警戒させないようにしているのか、不審な動きはない


「では、まずあなたは何者ですか?」


「私は日本妖魔対策課の補助官をしております九十九明と申します」


「日本妖魔対策課とはなんですか?」


「日本妖魔対策課とは、先ほどあなたが倒された怪物のような化け物を討伐する組織です。私はそこで補助官をしています」


「あの化け物はなんなんですか?」


「あの公衆便所に開いている穴がわかりますか?どこに繋がっているかわからないんですが、あの穴から突然化け物、私たちは妖魔と呼称していますが、その妖魔が出るようになったんです。記録によるとだいたい1000年前からのことですね」


「せっ!?」


俺が驚いたことに気分を良くしたのか、さらに饒舌になるおっさん


「はい、1000年前です。そこから私たち日本妖魔対策課は日本国から独立した機関として日々戦っています」


「国も知っているということですか?」


「ええ、独立しているとはいえ、こんな怪物が街にいたら混乱するでしょう?まぁ独立と言っていても、国も手綱は引いておきたいらしく、資金はバンバン出されていますけど」


ほら、使途不明金ってよく国会であるじゃないですかとおっさんは続ける


「それで、私たち日本妖魔対策課としては、粕谷さんに本部までご同行いただけないかとお聞きしたいのですが。あ、ご質問はまだありましたか?」


「いえ、大丈夫です。なぜ俺がその本部とやらに行かなくてはならないのですか?」


そんな怪しいところなんて絶対なんかあるにきまってんだろ


「あはは、そうですよね。でも妖魔を討伐出来る人って少ないんですよ。そんな人材が在野にいれば勧誘するのも私たち補助官の仕事の一つなんです」


「もし断ると言えばどうなりますか?」


「あ~そうですね、あまりお勧めしません」


「それはなぜ?」


「だって、四六時中監視なんてつかれたくないでしょう?」


なるほど。国とも繋がる機関ってことは、俺の情報なんて筒抜けだろうな


「ふぅ、わかりました。ついていきます」


「それはよかったです」


ニコニコと笑顔を崩さないこのおっさんを殴りたくなってきた


「あ、妖魔から出た妖魔石を取ってから行きましょうか」


振り返ると、オークがいたところには石だけが転がっていて、オークに姿はどこにもなかった


「(小次郎様、これはおかしいです)」


九十九のおっさんに秘密にしているジュリアが言ってくる


「(なんだ?)」


「(はい、私のいた世界では魔物を倒してもそのまま残ります。その妖魔石?以外全部消えるということはありませんでした)」


ふむ?地球と異世界で何が違うのだろうか?


…考えても、わからないので先送りにする


回収した妖魔石というのをもらったあと、おっさんの乗ってきた黒色の高そうな車に同乗して、本部とやらに向かう


横目に見た公衆便所の穴はいつの間にか消えていた


ーーーー


「着きましたよ」


そこは都心からの少し離れた工場が立ち並んだところだった


「え?こんなところにあるんですか?」


怪しすぎる。普通ビルとか武家屋敷みたいなところなんじゃないの?


「そう思われますよね。ここの工場はフェイクなんです。表向きは放射線物質の工場となっていますが、本当は日本妖魔対策課の本部になっているんですよ」


そう言われてみて、確かに一般人はこんな危なさそうな場所には目も向けないか


工場の中に入っていくおっさんに続いて、俺たちも入っていった

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