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怪盗K  作者: Yuyu
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カスは救世主になる

聖女の魔導書の適合者が目の前いるが、衰弱しきっていて途方に暮れていた


目の前の女性は何かわかってなさそうな顔をしてこちらを見ている


なんだ?と思っていると、ああそういえば透明のままだったと思い出して、透明を解いて言葉を発する


「話せる?」


透明を解いた瞬間、女性はこちらを変なものを見るような目で見てくる


まぁ、それもそうだろう。急に変な服の男が瞬間移動のように現れたのだからそりゃびっくりするだろう


だが、彼女は動けないので顔でしか反応するしかない


「あー、俺の言葉わかるか?」


俺の問いに彼女は何を言っているんだろうって顔で見てくる


「そうだよな、こっちの言葉がわからないのに相手もわかるはずないよな」


ため息をつきながらどうしようか悩んでいると彼女が口をパクパクしながら、何かを伝えようとしてきているが、身体が弱りきっていて言葉にならない


言葉も伝わらない、ジェスチャーも難しい、衰弱しきっていて何も出来ないでいる


せめて言葉が伝わればと思っていると、ピコンと擬音が出そうなくらい閃きが出てきた


「付与で翻訳出来るアイテム作ればいいじゃん!」


なんて頭がいいんだと思いながら、ポーチの中に何か付与出来そうなものないか探していると、昔アニメのキャラクターに憧れて買ったシルバーアクセサリーが見つかった


それに俺の言葉が翻訳出来るように能力を付与して、彼女の指に嵌める


「あー、俺の言っていること伝わっているか?」


俺の問いかけに彼女の目が少し見開いて軽く頷いてくれた


俺は彼女の様子に安堵して、状況を伝える


魔導書のこと、適合者のこと、その適合者が彼女だということ、条件を飲むなら助けて魔導書の能力を身に着けてもらうという内容を早足に教える


彼女は真剣な目で俺を見ながら、条件はなんだと言うように先を促す


「条件は俺に対して、どんなことがあっても従うということだ」


その条件に彼女は一瞬迷うような素振りを見せたが、すぐに頷いてくれた


俺は素直に良かったと思った


俺は女性が苦手だ。こちらをイジメてくるのに、自分は強者の影に隠れているところが大っきらいなのだ


高校のときの嘘告もそうだった。罰ゲームで俺に嘘告して、いざバラすときには、仲間を連れて俺が逆らえないようにする


それが原因で俺は女性というよりかは、人と関わるのが苦手になっていった


ネットごしなら、相手の顔を見ないで会話ができるから虚勢を張れる


だが、目の前に人がいると動悸が早くなるし、こいつも俺を心の中では見下しているんじゃないかと考えてしまう


そんな俺に透明という能力が最初に手に入ったのは皮肉だと思った


考えてみれば、俺が手に入れた能力は直接他人と接触しなくてもいいものばかりだ


もしかすると、魔導書の適合者というのは、その能力に見合った生活というか人生を送ってきた者の中で選ばられるのではないか


同じような生活を送ってきた者は多くいるだろうが、その中で選ばれる基準はわからないが、見合った生活というところは合っているのでないだろうか


ならば、聖女の魔導書に適合した彼女はどんな生活をしていればなれるのだろうか


俺なんかよりも濃い人生を送ってきたのではないだろうか


けど俺はそこにつけ込む


絶対の契約で彼女を縛り俺から離れなくさせる


俺が思った通りの彼女ならば許してくれるだろう


相手の好意を利用して、俺にとって得になるようにする。卑劣で下劣で最悪な者がする行為だ


だが、生まれて30年!世の中の酸いも甘いも噛み分けた俺こと粕谷小次郎。カスでなきゃ実家で親の脛をかじってない


このことを知った人は俺を糞溜めよりも汚いもので見るかもしれないが、家族や近所の人に蔑んだ目で見られることに慣れている俺にはノーダメージだぜ☆


さて、話は逸れたが、彼女は同意の意を示していた


ならば早速行動に移す


彼女を支えながら、魔導書を手に持たせる


そうして、彼女の手に俺の手を重ねて1ページずつ捲っていくのを手伝っていく


最後の1ページをめくり終わった後は、俺と同じように彼女が光って魔導書が砂のように消えていった


光がやんだ後、俺は驚愕した。彼女のガリガリだった身体がふっくらしていて、栄養なんてなさそうだった髪もサラサラのボリュームたっぷりのものに変わっていた


そして、そこにはスタイル抜群のハリウッド顔負けの超美人がいた


「(えぇ、こんな美人なのに性格も良いって、それなんてギャルゲー?)」


ーーーー


名前 ジュリア


年齢 27歳


力3

攻撃5

防御2

速さ3

運1


固有能力ギフト

聖女


称号

不運の聖女


ーーーー


「…いや、運低っく!」


思わずステータス見て突っ込んでしまった


運が1なんてどんだけ人生で不運なことを経験していてきたんだろうと考えた


それよりも、彼女の変化だ。魔導書を開いた後に多分全盛期なのかその状態に変わってしまった


魔導書というのはここまで効力を発揮するものなのだろうか


例えば、治癒の魔導書を使った適合者は、そのとき病気を患っていたとしても、回復してしまうのだろうか


これはもっと魔導書がないと検証出来ないだろう


っと、そうこうしているうちに彼女が驚きから帰ってきて、こちらなにか話かけてきている


「fydんdvdhkdk?」


うん、何言っているかわからん


「タララタッタラー♪翻訳指輪〜その2」


「…」


なんかスベったみたいで恥ずかしい


「ゔ、ゔうん。あー、俺に何か話してみてくれ」


翻訳指輪を嵌めて彼女にこの世界の言葉で話すよう言う


「あ、えっとはい。私の言葉が伝わっていますか?」


「お!わかるわかる。じゃあ、自己紹介から始めよう。俺の名前は小次郎だ」


「あ、はい。私の名前はジュリアと言います」


「おうよろしく。早速だけどさっき俺が言ったこと覚えているよね?はい、じゃあこれに名前書いてね」


「あ、え?」


秘技、相手に考えさせないで勢いで契約書にハンコを押させる


訪問販売員がよくやっている手だ。取り敢えず、前に説明したよねと言外に言って、相手に自分が悪かったのかなと思わせてハンコを押させるのだ


その手法で付与の能力で作成した契約書に名前を書かせる


契約書の内容は簡単だ。俺のやることに絶対従うというものだ


大雑把に説明したが、本当はもっと細かく書いてある


よくある契約者はこんな細かい文字まで見ないよねという手法だ


さあ書け。今すぐ書いて俺の従順な駒になるのだ


俺が悪役のような手段を取っていると彼女、ジュリアは疑うこともせずにスラスラと契約書に自分の名前を書いていく


「…そんな簡単に書いちゃっていいの?」


「?はい、小次郎様は私を助けてくれました。ならば従うのは当然です」


グサッ


カスな俺にもダメージが刺さった


「もっと人を疑うことを覚えようぜ」


そう言ってしまうくらいジュリアという女は善人なのだろう


こりゃあ聖女にもなるわ


「えっと、確かに私は人生の中で騙され、罪を押し付けられて、最終的には寝たきりになっていました。ですが、あなたという慈悲が最後にあったのです。良いことをすれば必ずあとから自分に帰ってくるのです。ならばあなたを疑う意味などありません」


「じゃあ俺の童貞もらってくれよ」


「はえ?」


つい勢いで言ってしまったが、案外いけそうなのでお願いしてみた


「俺に従うんだろ?ならいいじゃねーか」


「…わかりました。娼婦の身になってしまった私ですが、こんな私でよろしければお相手させていただきます」


「マジか」


「えっと、そのマジ?です」


このときの俺は澄ましていた顔をしていたが、心の中では狂喜乱舞していた


「(うっひょおおおおおおぉぉぉぉ!!!童貞卒業だあああああああぁ!)」


「ゔゔん、さて、これからどうしたいと聞きたいところだが、まずは着替えよう」


うん、ずっと着ていたのか臭い


日々の汚れに排泄物らしきもの跡もある


持ってきていた着替えの中で何とか着れそうな服を渡す


「うーん、だいぶ大きいな」


渡した服、ジャージはジュリアにとってぶかぶかであったが、何とか着れた


そして、着れたところでこれからのことについて話す


「俺はこれからジュリア渡した魔導書を探していく。だが、まずは故郷に帰ってからになるがジュリアも最後までついてきてくれるな?」


「もちろんです。私の命はあなたに拾ってもらったものです。ならばどこまででもお供いたします」


言ったな?今どこまでもついて行くって言ったよな?


じゃあ、ついてきてもらおうか。


地球まで


小次郎は言質はとったとばかりに悪い顔をしていた


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