第八話 本日二度目の
「話が逸れたけど、魔力に耐性がないと魔法が扱えない。そして、人の中に魔石を作ることで、その人自身の魔力で魔法が扱えるようになる。つまり、一人前として認められるんだよ」
東雲さん、あくびしてる…班長の威厳が全然ない人だな。
「身体に魔石を作るのは、向こうの世界では、魔力が少ない人が、魔法を扱えるようにする処置の1つだ」
今すぐに全ての話を信じることは難しい。
だが、この人達が嘘を言っているようにも思えなかった。
まあ、この話の真偽は、これからここで働けば分かることだし。
「ご説明いただき、ありがとうございます。全ての話を信じることは、今は難しいですが、理解はできました。これからよろしくお願いします」
「はっ!今この話を聞いただけで、全て信じます!って言われた方が心配になるわ。変な壺買わされるんじゃねーかってな」
猪狩さん、余計な一言多い。こちらがカチンと来るような一言しか言わない!
内心ムッとしたが、もう大人だし、顔には出さない。
「じゃあ、今日から魔法の練習頑張って」
「全力で取り組みます」
微笑を浮かべた東雲さんは班長室へと入っていった。
猪狩さんは、東雲さんが班長室に消えると同時に立ってスタスタと歩き始めた。
「何ぼさっとしてる。さっさと訓練所で鍛錬始めるぞ」
「は、はい」
猪狩さんに連れられてきたのは、奥の部屋に来ていた。
さっきのオフィスの何倍もの大きさの部屋だが、ほとんど物は置いていない。
ここが訓練所、なのだろうか?
「まずは魔力を感じるところからだな」
ん、と両手を差し出される。
「えと、あの…」
手を握れば良いのだろうか?
恐る恐る手を差し出すと、強引に手を握られた。
「ちょっ「集中しろ」」
強引すぎだろ、と思いつつ目を瞑って、手先の方に集中してみる。
何だろう。血の巡りとは別に、何か温かいものが流れている感じがする。その瞬間、身体の中心に別の温かいものがあるのを感じた。
それは、最初はポカポカ温かいだけだったが、どんどん熱くなってきたような…
熱い。痛い。熱い。痛い、痛い。
「うっ」
あまりの痛さに膝から崩れ落ちた。
「ちょっ、何が」
猪狩さんが慌てているが、そんなことを気にする余裕はない。
自分の身体に何が起こっているのか分からない。
でも、最初はお腹全体が温かったのが、どんどん熱く、痛くなるにつれて、一点に集中していく感覚がある。
「おい、しっかりしろ。おい」
肩を揺さぶられるが、頭が痛みでぼんやりして返事ができない。
もう我慢できない、と思った瞬間、痛みがすぅーと消えていった。
だが、限界だった私は、また気絶してしまった。
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