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第六話 説明されても納得はできない

猪狩さんは、私の様子を全く気にすることなく、話を続けた。

「何年前だっけ?40年?50年?そんくらい前に、俺たちの世界は、全く別の世界と時空が歪んで繋がった。そん時に、今までこの世界にはいなかった、魔物が大量に放たれたんだよ」


別の世界?時空が歪む?全く意味が分からないが、話に口を挟むと、めっちゃ怒って怖そうのでやめておく。


「魔物は、魔石を持った生き物だ。んで魔石は、魔物の体内にある魔力の結晶。もし放置すれば、一定時間が経つと空気中に溶ける」


…いや、「さあ、これで分かっただろ」みたいな顔をされても。


分からないことが多すぎる。

「相変わらず、猪狩くんは説明が雑すぎるよ」


私達の様子を見ていたらしい東雲さんが、話を補足してくれた。

「当時の記録によると、43年前、突如として時空に穴が開いたんだ。その中から見たこともないような生き物が次々に溢れてきたらしいよ」


その後の話をまとめると、魔物は銃など、この世界の武器が一切通用しなかった。

そのため、時空の穴が開いた場所の周り一体を封鎖し、隔離処置を行うしかできなかったらしい。


しばらくすると、向こうの世界の人がこちらにやって来て、魔物を全て倒してくれた。

これで一件落着かに見えた。


しかし、今度は世界各地で魔物が発生するようになってしまったのだ。


向こうの世界の人によると、どうやら魔物を長時間放置しすぎたことで、魔物が魔力を生成し、魔力が溜まりやすいエリアに魔力だまりを作るようになったらしい。


魔力だまりとは、魔力が濃いエリアのことで、そこから魔物は発生するんだそう。魔物は、植物や動物を食べて魔力を生成できるらしい。それを空気中に放出したり、自身の魔石に溜め込むのだ。


ちなみに、向こう側の世界は、魔力を使った魔法が当たり前に使えるらしい。

というのも、どこでも魔力が充満しているのだとか。それを身体に取り込むことで、適性のある人は魔法が使えるようになる。取り込める魔力量は人それぞれらしい。


魔力というのは、異世界の一種のエネルギーなのだろう。魔石は魔道具という家電製品の異世界バージョンの動力源らしいし。


さらに、穴が開いた原因は分からないが、当時向こう側の世界ではスタンピードが起こっていた。その戦場のど真ん中に時空の穴が生じたため、大量の魔物がこちらになだれこんできたらしい。


それ以来、時空の穴は塞がっていない。

そのため、穴のところはどちら側も警備が配置され、今では定期的に会合を開いているんだとか。こちらが回収した魔石を、向こうの世界に送ったり、魔物の対処法を教えてもらっているらしい。


「魔物が魔力を生成するから、この43年間、イタチごっこを続けているんだよ。でも、やめた途端、今までの秩序は崩壊し、この世界は魔物が溢れる世界になる。それを阻止するために俺たちがいるんだ」

「そうは言っても、魔力濃度は、年々上がっているんだけどね」


説明は理解できる。だが、納得できるかは別物だ。

現実の世界が、そんな風になっていたなんて、そう易々とは信じられない。


「質問良いですか?」

「どうぞ」

猪狩さんはめんどくさそうな顔してたけど、東雲さんが了承してくれた。


「今の話だけ聞くと、魔力ってめちゃくちゃ良いエネルギー源に思えるんですけど、どうしてこの世界から無くそうとしているんですか?」

「あ、うん。それはね」

私の質問に、東雲さんは言い淀んでしまった。


「魔力が人体に無害だなんて、一言も言ってないぞ」

東雲さんに変わって、猪狩さんが口を開いたのだった。

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