第四話 キャパオーバーです
今日から朝7時に投稿していきます!
よろしくお願いします!!
突然、扉を叩く音が聞こえた。
「班長、入ってもよろしいでしょうか」
声的に、鳳条さんだろう。どっちの鳳条さんかは分からないけど。
「大丈夫だよー。入ってー」
東雲さん、変な口調に戻ってる。
「失礼します」
入ってきたのは、服装的に鳳条希夢さんの方だった。
手には、犬とか猫が入る大きさのケージがある。透明じゃないから中に何がいるのかは分からない。
「話だけだと信じてもらえないかと思って、この間生け捕りにしたスライムを持ってきました」
…スライム、だと。小さい頃に遊んだおもちゃ、ではないんだろうな。
生け捕り、ってさっき言ってたよね。スライムって生き物?
「ありがとうー。助かるよー」
東雲さんはケージを受け取ると、テーブルの上に置いた。
「スライムは、殺傷能力低いから大丈夫だと思うけど、一応気をつけてね」
「ちょ、ちょっと待って」
私の制止も虚しく、東雲さんはケージを開けた。
「…っ!!」
中から出てきたのは、水色で半透明の、本当にスライムのようなものだった。
ただ、私が知っているものと違う点は、このスライムは動いているのだ。
動き自体は遅いが、確実にケージから出ようとしている。なにこのぬるぬるしてそうな生き物は。
しかも、目とか鼻とか口とかが全く見当たらない。
今まで見てきた、どんな生き物の姿ともかけ離れた姿をしていた。
「このような魔物が、私達の討伐対象よ」
なにこれ、なにこれ、何これ。
頭はもうパニックだ。
「「「あっ…」」」
恐怖で動けずにいると、そのスライムはテーブルに到達した。
と思った瞬間、テーブルがシューと言いながら煙を上げ始めたのだ。
「班長!このテーブル、対魔物用じゃなかったんですか?」
「忘れてたー」
2人は呑気に会話しているが、それどころじゃない。
机溶かせるとか、やばい生き物すぎる。
あまりの恐怖で、言葉が出てこない。
私の目の前で、いったい何が起こっているの。
私の様子に気づいた鳳条さんが、私の元に駆け寄って肩に手を置いてくれた。
「臥龍岡さんが怖がっていますし、テーブルも溶かしてしまったので、もういいですよね」
「頼んだー」
鳳条さんが、片手を向けると、スライムが一瞬にして燃え上がった。
「人間の手から、火が…」
呆然としていると、炎が消え水色の石がカラン、と音を立てて机の上に出現した。
「実際に見てくれてー、分かったかなー。これが私達の仕事だよー…臥龍岡くん?」
「臥龍岡さん!?」
目の前が真っ暗になり、遠くでどさっ、という音がしたように思う。
私は、キャパオーバーで気を失ってしまった。
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