第三十話 歓迎パーティー
しばらく投稿をお休みさせていただきます。
頑張って書いていますので、待っていただけたら嬉しいです!
猪狩さんに手を引かれながら、城の長い廊下を歩く。
今日は、私たちのパーティーで、この国の多くの貴族が参加しているらしい。私達も主役だから、王様と一緒に会場に入場する予定だ。
控室の近くまで来ると、パーティー会場の方から多くの人の話し声が聞こえる。ほとんどの人が入場していて、残すは私達と王様だけのようだ。
控室には、既に王様が到着しているらしい。
1国の王様を待たせる私達って…い、いや、やっぱり何もない。考えないでおこう、うん、そうしよう。
そんなことを考えているうちに、王様のいる控室の前までやって来た。扉にノックする寸前、猪狩さんがボソボソと呟いた。
「あー、イライラする。なんかストレス発散できることねぇかな」
ギョッとして猪狩さんの方を見るが、既に、爽やか男性のモードに切り替わっていて、「何か?」みたいな顔をしている。
いや、今の言葉、聞こえてましたからね!
だが、ここでそんな話をするわけにもいかないため、聞かなかったことにしておく。
そうして王様と合流して、パーティー会場へと向かうのだった。
♢♢♢
パッパラーとラッパに似たような楽器が鳴り、「国王陛下、並びに異世界の魔術師様方のご入場」と大声で響き渡る。
そうして、大勢の拍手と共に扉が開き、先に国王様、後から私達が入場した。
扉が閉まる頃に拍手は止み、全員が黙ってこちらを見上げている。
ゴホンと咳払いをすると、王様が話し出した。
「今年も、異世界の魔術師を迎えられたことを嬉しく思う。左がイガリ ユウヤ殿、右がナガオカ アンナ殿だ。皆盛大な拍手を」
一気に皆の視線がこっちに向き、思わずビクッとする。でも、「敵対心剥き出しです」みたいな感じじゃないから、少し安心した。
拍手の音が止むと、再び王様は話し出した。
「さて、皆も知っていると思うが、この20年ほど魔物達の活動が沈静化している。徐々にこの国の領土を拡大していたが、今回、異世界からの魔術師と共に、大幅な国土拡大を目指すこととなった」
貴族の人達が、ザワッと動揺したのがわかった。
だが、パーティーに参加している人達の顔は明るく、皆口々に「なんと喜ばしい」「ついに、ついにですね」と話している。
い、いや、私、そんな計画聞いてないんですけど…
猪狩さんの方を見てみたが、微笑を浮かべているだけで、どんな感情なのかさっぱり分からない。
面倒なことになったのかなぁ、と思っていると、突如カンカンと大きな鐘の音が響き渡ったのだった。