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第二十九話 準備

翌日、いつもよりふかふかのベットで目が覚める。


昨日あんなに寝たから、夜寝れないか心配だったけど…即寝落ちしてしまった。

ベットが良かったのかな?


今日から異世界での生活が始まるんだ。


仕事で来ているのだし、少しは気を引き締めよ。

そう決意した瞬間、コンコンと扉ノックされ、メイドさんが朝食をのせたワゴンを押しながら部屋へと入ってきた。


メイドさんは私が起きていると思っていなかったのか、少し驚いた表情になるが、すぐにニコリと笑みを浮かべた。流石プロ。

「おはようございます。ナガオカ様」

「おはようございます」


キリッとした顔で挨拶してみたけど、メイドさんは無反応だった。ちょっとショック。


テキパキと準備がされ、あっという間にテーブルの上に朝食が並んだ。

朝食はパンとフルーツのようだったので、調味料は特に何も使わずにそのまま頂く。


朝食を食べ終えるとすぐ、私はドレスに着替えはじめなければならなかった。


正直言って、今すぐ脱ぎたい。

腹部はコルセットでキツく締め付けられ、さっき食べた朝食やら内臓やらが、今にも口から飛び出そうだ。


それに、華美で繊細な刺繍がされたドレスは、色々と足元が隠れるほど長く、その分重い。

普段しない手袋もしたから、手にも違和感がある。


こんなのを日常的に着るなんて、絶対無理だ。


グッタリしている私に、メイドさん達はさらに化粧を施していく。髪も綺麗に結ってもらい、3時間後には別人のような姿が鏡に映し出されていた。


「とっても綺麗ですわ」

「ホウジョウ様は濃い色のドレスをよくお召しになっていましたが、ナガオカ様は淡い色のドレスがよくお似合いです」

メイドさん達は過剰に褒めてくれる。


いや、私の顔面偏差値を引き上げてくれたのは、メイドさん達だ。普段の私には、こういうドレスは似合わない。絶対ドレスに負ける。


「皆さんのお陰です。本当にありがとうございます」

「いえ、お礼には及びません」

互いに何度もお辞儀をしていると、コンコンと扉を叩く音がした。


メイドさんが扉を開けると、そこに立っていたのは猪狩さんだった。

「迎えにきた」

そう言って部屋の中に入ってきた猪狩さんに、メイドさん達が釘付けになっている。


うわー、顔が良いとどんな服でも似合うんだな。

羨ましい。だが、そんなことを言うのはなんだか癪なので言わない。


何も喋らない私に、猪狩さんは不審そうな顔になる。

「おい、緊張してるのか?」

「…いえ、大丈夫です」

なんでだろう。服装の話以外にも話せることは山程あるのに、言葉がうまく出てこない。


「もう時間だ。さっさと行くぞ」

「はい」

猪狩さんから差し出された手に、そっと手を重ねる。


「そのドレス、似合ってる」

ボソッと呟かれた言葉に、私は恥ずかしくなって思わず俯いてしまった。

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