第二話 目の前の景色が変わるってありえる?
今日はあと1話、17時に投稿予定です!
頑張ります!
よろしくお願いします!!
今日スーツなのにな、と思いながら、草が膝ほどまで生えている敷地へ足を踏み入れる。
だが、思っていたチクチクした感触はない。
不思議に思って下を見てみると、そこはコンクリートに変わったのだ。
え、何がどうなっているの…?
猪狩って人に聞こうとして、目線を上げたが、そこには驚きの光景が広がっていた。
今にも倒壊しそうなビルはどこにもなく、目の前には綺麗な建物が立っている。
「あの、これはどういうことですか」
パニックになりながら聞くと、彼はこちらを振り返らずに素っ気なく答えた。
「俺もよく分からん。2班のやつらが作った結界らしい」
…は?よく分からんって何?
こんな非現実的なこと起こってるのに、気にならないわけ?
やばい…本当にやばいところに就職したかもしれない。
「おい、早く来い」
「………はい」
父の顔を潰すわけにはいかない。私には、この怪しい施設の中に着いていく、という選択肢しかなかった。
玄関口から入ると、長い一本道があった。
扉は4つしかなく、それぞれ第一班から第四班までの札がかかっている。
「何ここ……あ、ちょっと」
呆然と立っていると、男はスタスタと進んでいく。
慌てて着いていくと、彼は第三班と書かれた扉の前で止まった。
「ここが俺たちの職場だ」
さっさと扉を開けろ、と言われたので、もう、どうにでもなれ、と思いながら思いっきり扉を開けた。
そこは数人分のデスクにパソコンが置いてある、普通のオフィスの光景だった。
でも人が誰もいない、と思った瞬間、パン、パンと破裂音が聞こえた。
「なに!」
驚いて目をギュッと瞑ると、数人の男女の笑い声が聞こえてきた。
「どっきり大成功ー」
恐る恐る目を開けると、そこには3人の人が立っていた。
破裂音はクラッカーの音だったらしい。
「ようこそ、第三班へー!私が班長の東雲だよー」
30代半ばくらいの男性だが…服の趣味が独特だ。この人がここのリーダーなのか…?
「こんにちは!鳳条希夢です」「鳳条苺花です」
めちゃくちゃ顔似てる…双子かな。
服取り替えられたら、どっちがどっちか分からなくなりそう。
職場って、もっとお堅いイメージだったから、少し面食らった。
「臥龍岡杏和です。どうぞ宜しくお願いいたします」
「うわ、かたー。堅すぎるよー。ねぇ、猪狩くん」
「…ふん」
東雲さんが私の後ろにいた男に話しかけるが、彼は顔を逸らした。
「猪狩は相変わらずだねー、まあいっかー。臥龍岡くん、今から業務の説明するねー」
いよいよだ。
私はゴクリ、と唾を飲み込んだ。
「はい、ここに座ってー」
「ありがとうございます、失礼します」
東雲さんに連れられて、班長室へと書かれた部屋に入る。
2人とも座ったが、東雲さんが何か喋ることはなく、テーブルをこつこつと指で叩いている。
「…あの」
何か言おうと口を開いたが、続きの言葉が見つからない。
私の声にこちらを向いた東雲さんは、ハッとして申し訳なさそうな顔になった。
「ごめんね。今までは経験者ばかりだったから、業務内容を話したことなんてなくてね。どう切り出したものかと思って。でも、こればかりは…」
さっきまでの、変に語尾を伸ばした喋り方じゃなくなってる。…意識するのはそこじゃないでしょ!
なんだろう。思わず拳を強く握る。
「臥龍岡くん、君は、異世界って信じる?」
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