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幕間 「ちょっと酷い会話」

Part壱


あなたは『バケモノ』と聞いて何を想像するだろうか。


怪物、妖怪や幽霊それともゾンビだろうか。


共通して言えるのは、物体であれ、獣であれ、人であれ、大元の実態に怪異の要素が含まれているという事だ。


わけの分からない、理解できない異形、それが『バケモノ』なのだ。


では、例えば外観は人間にしか見えない『バケモノ』はいないのだろうか。


…ほう、「そういうのは『バケモノ』とは言えない」と、あなたは言うのか。


うん、確かにそんな考えもある。


だがそれは確実に存在する。


なぜなら、私がそうだからだ。


…おや、私が嘘をついているとでも?


なに、証拠を見せろというのか。


難しいな、見た目は全く人間と変わらないので、証拠と言われても…


…ほら、こうして服を脱いで見せても、全く分からないだろう?


身体の作りも人間そのものだぞ、見せてやろう。


さあ肋骨を開いたぞ、胸骨から『観音開き』だ。どうだ肺や心臓はどう見ても人間そのものだろう?


次に腹部はこうして『冷蔵庫開き』だ。遠慮しないでよく見てくれ。


肝臓や胃腸など消化器官も、人間と寸分違わないだろう?


おや、どうしたのだ、顔色がひどく悪いぞ。まだ疑っているのかな?


ああ、そうか!


比較対象するものが無いと、同一とは判断などできないな。これは私が悪かった。


おわびにあなたの肋骨と腹部を開いてやろう。


…さあ、これではっきりと比べられる。


これで私が人間にしか見えない『バケモノ』なのだと、あなたも理解できた筈だ。


ん、どうした、返事がないが?



Part弐


あら何、それは、マフラーの押し売…、いえ訪問販売かしら?


え、「毛皮反対キャンペーン」?


ふん、「人間のエゴの為に、野生動物を狩るのは倫理的に間違っている…」、ふん、ふーん?


ふん、「毛皮の生産過程がいかに残酷か」、なるほど。


そうね、その通りよ。生きた獣の皮をはぐなんて残酷な事はあってはならないわっ!


人間になら、やったことあるけど…、え、ふふ、何でもないわ、こっちの話…


…ところでさあ、あなた、運命って信じる?


あら何を驚いているの、信じるのか、信じないのかって私が聞いているのよ。


…いや、だから、自然保護だの、命の尊さ、だの聞いてんじゃないっての、わかんない人ねーえ!


あららキョトンとしちゃって、もちろん私は運命を信じるわよ。だって…



…こら、心配したんだぞ、どこに行ってたのよ。


ああ、言わなくていいわ、どうせ油揚げをつまみに酒飲んで油断してたところを狩られた、とかでしょ。


ま、いいわ、さあ戻っていらっしゃいな。


シッポは九本ないと、私もなんだか落ち着かないから。


じゃあ、お話はこれで終わりでいいわね。


あ、あれ…?


あははっ…、マフラーをひったくる時、つい力を入れすぎたかしら、やっちゃったなあ。


だってー、あなたも悪いのよ、手に持ってるだけだったら腕一本くらいで済んだのに、首になんか巻いてたからさあ。


勢い余って、つい…、ごめんねー。


あ、そうそう、最後の台詞を決めなきゃ。


…あら、どうしたの、返事がないわよ?



さてと、連絡、連絡―


あ、あなたぁ、そう、あなたの愛する子ぎつねちゃんよ、チュッ


ごめーん、ちょっとした「処理」をお願いしたいんだけどぉー



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