エピローグ
『大工見つかった これからしばらく家の修理 夏には戻れる 土産は何が良いか?』
ハティからの伝書鳥魔道具[カカポート]が運んだ便りを受け取り、ニンマリしながら手紙を懐に蔵う。
ユリナが[雑貨屋 レミントン]でいつものように、お昼を過ぎてからお店を開けてお客様を迎える準備を整えるべく商品棚に今日の分のお菓子を並べていると、カランコロン♪ と店のドアベルが鳴った。
「いらっしゃいませ」
ユリナが目を向けると、そこには見覚えのある垂れ耳犬の獣人の少女が立っていた。
「このお店で、雇ってくれると聞いたので来ました!」
「レナ!」
懐かしい顔に、ユリナは駆け寄って、許可も取らずに抱きつきその頭を撫でさすった。
「よく来たね! 1人できたの!?」
「メイベル2号と!」
ユリナが扉の外を見ると、大きなグラニテシープが1匹「メェー!」と挨拶するように鳴いた。
そうか、来てしまったか。つまりそうゆう事なのか。
ユリナは「頑張ったね。よくやった」と、その小さな身体をキツく抱いた。
ユリナは、開いたばかりの店に鍵をかけ、扉にかけてある札を[close]に裏返すと、レナとメイベルを勝手口から招き入れて、リビングにメイベルのための乾草と水の入ったタライを置いて、敷物を用意すると、レナをお風呂場に連れていって、旅の汚れを優しく洗い流した。
レナをぬるま湯につけながら、頭を丁寧に洗って、大きなバスタオルで体を包み、水気をすっかりとって、垂れ耳の揺れる髪を温風で乾かすと、その場で作った新しいワンピースに着替えさせて、リビングのソファに座らせ、朝食のサンドイッチと、蜂蜜の入ったホットミルクを振る舞った。
「聞いて! おねえさん達がいなくなった後、すぐに剣とポーションどっちも取り上げられて、お父さんはあの女の怪我をあっという間に直しちゃったの!」
「あぁ、そうなの!」
レナは、勧められた軽食に花が咲いたように笑うと、そっと手にとったサンドイッチをモグモグと頬張って咀嚼した後、あ!と思い出したかのように顔を上げ、その後の事を話し出した。
ユリナは、その手もあったか。と、思った後、あからさまにホッとして見せて「それで良かったのよ」と、眉尻を下げてレナを撫でさすった。
結局あの母息子は村の地下牢に入れられ、王都から来た憲兵に連れて行かれ、その後は「犯罪奴隷に落とされて国外追放になるだろう」と、紹介した村長に謝られた。と、レナはプンスカしながら怒ってみせた。
「でも、お父さんには頭にきちゃって。もう知らないって、家を出ることにしたの! 勝手にすれば良いわって。私も勝手にさせてもらうからって」
「黙って出てきちゃった?」
「うぅん。宣言してきた! ちゃんと手紙も残してきたし、もう戻らないって」
「そっか」
「だから、私、もう行くところがないんです。おねえさんっ私をここで働かせてくださいっ何でもします!」
ユリナは、ニッコリ微笑んで「もちろん! 来てくれて嬉しいわ。これからよろしくね」と、新しい店員を歓迎した。




