辺境のランクを検証する。
「おつかれさま」
「おつかれさまです。あれ…… どうやったの?」
里山さんに聞かれたので、状況を解説する……
先ず、イナバの穴掘りど地中に潜伏スキルで潜み…… 冒険者達の接近時にダークゾーンを発動しながら飛び出して、襲撃中も闇魔法で相手の感覚ずらして恐怖心を煽った。
「相手からは…… 影に襲われた様に感じたんじゃないかな?」
「不意打ちでそれは…… レイスなどのアンデッドを疑いますね」
「後は…… 潜伏スキルでダークゾーンを発動したまま、イナバの掘った穴に消えると」
「それで、どうやったら此処に戻るの?」
「影移動のスキルを覚えまして……」
光魔法と闇魔法の複合魔法が影魔法だったんだよね…… 影魔法の中に、影の中を移動する方法の移動系魔法があったので…… 使って見ました。
「制約が厳しい方法で、グリズの影に移動したんですよ」
俺の様に普通の身体で影を移動するには、その影に抵抗が無い処にしか移動できない。
ラフディ達が俺の奴隷だったので、抵抗が無く影が大きかったグリズの影に移動したのだ。
「普通は、リッチとか悪魔や魔族の攻撃方法の様な気がするんですが……」
「その辺は…… 種族特性の問題なのかな? 俺は、敵の後ろは無理そうだけど」
「そこまで行くと…… ホラー映画のお化けやモンスターか、マンガやアニメの忍者みたいですね」
「なるほど、忍者か……」
俺は、織倉さんの言葉に可能性を感じた。
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「とりあえず、辺境付近に入ったし…… 情報を獲れなかったから、魔物の強さの検証をしようか?」
「魔物の強さですか?」
「辺境の魔物は、ランクが違うって話だからね」
俺達は、とりあえず魔物を探す事にして、街道を慎重に進む事にした。
「あるじ」「臭います…… 小人の臭いが……」
ラミィとラフディが人狩り小人を見付けた様だ。
「どの辺りだ?」
「あっち」「複数の…… 臭いがします」
「あれか? 小人にしては…… ちょっとでかいか?」
ライフルのスコープから見た小人は…… 一回り大きかった。
「園児から小学校高学年くらい…… に成長してますね……」
「ランとニィーナにラミィ…… 俺よりもちょっとでかいかな?」
確かに…… あのサイズの魔物が彷徨くならば…… 冒険者に脅威だろうな。
「魔物のランクが違うか…… あれが普通なら見習い冒険者は育ち辛いだろうな」
「採取の依頼もこなせそうに無いですね」
「さて、強さはどうかな?」
ライフルの狙いを付けて……
「弾丸精製……」
先ずは…… 普通の狙撃を撃ち込む。
バン! ドサ……
あれ? 一撃…… 倒しちゃった?
「主…… 小人は頭に穴が空いたら死ぬと思います」
不意打ちクリティカルが…… 急所的中したから…… 即死した様だ。
「ジョブ特性とスキルの重複効果の不幸な?事故だ…… 次は気を付ける」
「そうですか……」
「あら? 仲間を射たれたら出て来たぞ」
倒れた小人を見る様に、次々に小人達が現れる。
「あれは…… ヤバイな……」
「あの数…… 囲まれたら終わりますね」
1匹倒したら…… 次々に現れるって、まるでゴキ…… 1匹見たら、30匹はいるのか?
「距離があって良かったよな…… さて、射ち漏らしは頼むな」
「「「「「はい!」」」」」
「なるべく少なくで、お願いします」
「できれば…… 殲滅の方向で……」
「来るよ!」
俺達に気付いた小人達が…… 此方に走り出す!
その様子に、俺は近い奴から狙撃で頭を吹き飛ばすが…… 小人達の足は止まらない!
「こいつ等…… 止まらないな!」
真空レールガンモードに切り換えて、後方の奴ごと小人を吹き飛ばす!
「伯爵領の小人よりも固いかも?」
思ったよりも貫通しない真空レールガンモードの弾丸に、辺境の小人のランクを実感した。
「これは…… 真剣にLv上げしないとヤバイかもな!」
精製する弾丸の強度を上げて、さらに撃ち込む!
「よし、5匹貫通!」
轟音を上げて、小人5匹の胸に風穴を空けた一撃。
ギャアワ!?
その一撃の轟音に、小人達が怯んだ。
「ようやく気付いたか? でも…… 遅いんだよ」
小人達が逃げ始めたので、迎撃戦から狩りに変わる。
「普段狩るんだから、狩られる覚悟はできてるんだよな?」
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「やっぱり…… ちょっと固いですね」
倒した小人から魔石を取り出すラフディが、ナイフを突き立て言う。
「うん、固い」
その横で同じく魔石を剥ぎ取っていたグリズが頷く。
「耐久値が高いのか…… 武器の強化が必要だな」
「土魔法と風魔法だけじゃあ…… ダメですかね?」
「土魔法と風魔法の上って…… 何?」
織倉さんと里山さんは、銃の威力に不安を感じるらしい……
「金属魔法と爆裂魔法だろうけど…… 銃の強化はしない方が良いと思うよ」
急所に当たれば充分魔物を倒せるし、人の殺傷能力はかなり高いからな。
「本当の銃の様に爆発で金属を飛ばすには…… 銃の耐久値に不安がある…… 暴発も危険だしね」
爆裂魔法が暴発なんて…… 手や身体が吹き飛びそうだし……
「俺なら大丈夫だけど…… 他の…… ランとニィーナとラミィに織倉さんと里山さん…… ラフディとグリズも危険だぞ?」
「銃の強化は…… やめときます」
織倉さんの死の商人化は…… 止められた様だ。




