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魔物よりも面倒くせぇモンスター。


「危ないですよ」


「お前、獣人の男を2人連れた女を知らないか?」


「話を聞いてないのですか? 馬車の前に出たら危ないですよ」


「いいから答えろ!」


「どうどう」


飛び出した冒険者の大声に、昨日買った馬が荒ぶり始めたので、里山さんがなだめる。


「なれてない気性が荒い馬なので、近くで騒ぐと危ないですよ」


「チィ…… さっきの質問に答えろ」


「見ればわかるでしょう? 男は俺だけですよ」


後ろからも幌馬車を覗く気配がしたので、ニィーナ達に警戒させる。


「くそ…… 逃げられた」


「どうするよ?」


「邪魔なので避けて下さい」


「俺達も乗せろ」


「え?」


「俺達も乗せろって言っている」


織倉さんとラフディとグリズを探していた冒険者が…… 訳のわからない事を言い始めた。


「何故、乗せなければいけないのですか?」


「その2人…… 獣人だな」


「それが何か?」


「獣人は狙われる。だから、俺達が護衛してやる」


自分の意見が通って当然と言う感じの…… どや顔の冒険者。


「貴方達と一緒の方が危険に感じますので、嫌です」


「「「何!?」」」


「初対面の貴方達を信用する程、俺は人を信じていないし…… 後ろから馬車の中を覗く様な人達を…… どう思います?」


「やってる事が…… 盗人か盗賊っぽい」


「チィ…… だが、辺境付近の魔物は強いぞ。女子供連れて行ける訳が無い」


「そうだとして、信用できない人達を乗せる理由になりませんよ。その気ならば最初からギルドに依頼してます」


「うるさい! 俺達を乗せれば良いんだ!」


「実力もわからない冒険者を連れて行く余裕は無いので、さようなら」


門の近くで言い争っていたからか? 気付かれない様に冒険者達の後ろに回った兵士に挨拶する。


「すみません。冒険者が道を塞ぐのですが…… 街を出ても大丈夫ですか?」


「事情は、この男が馬車の前に出た処から聞いていた…… お前達はちょっと来てもらおう。君達は通って良いが…… 本当に大丈夫か?」


冒険者達を兵士が連れて行ってくれたが…… 俺達を見て、兵士達が心配そうな顔をした。


「魔物や危険を察知するスキル持ちなんで…… 魔物を避けながら進もうと思います」


「そうか…… 危険を感じたら、無理せずに戻って来る様に」


「はい、おつかれさまです」


「「「「おつかれさまです」」」」


みんなで挨拶すると……


「「気を付けてな!」」


門番の兵士達は、にこやかに手を振りながら送り出してくれた。


 ・

 ・

 ・


「そろそろ乗り換えるか?」


城壁が見えなくなる辺りまで離れたので、馬車から魔物車に乗り換える為に森に入る。


「おつかれさま、次の街前まで休んでね。金さん、次の街までよろしく」


里山さんが山小屋ルームの山から金さんを呼び、馬に顔会わせすると……


馬がちょっと驚いていたが、金さんはガウと一鳴きして挨拶したら、ヒンと返事を返していたので…… 大丈夫そうだ。


「大丈夫でしたか?」


魔物車と一緒に格納庫から出て、ラフディとグリズが聞いて来たので……


「いなくて正解。待ち伏せしてたぞ」


「え!? マジですか?」


丁度ベビールームから現れた織倉さんが、嫌そうな顔で聞き返すので……


「話が通じないタイプだった……」


「馬の前に立って、進路妨害するし……」


「馬車に乗せろって、いってました」


「わたしたちを見て、さわいでた」


「うん」


「あれは…… 相手しちゃあダメな奴だ」


「そんなにですか?」


「そんなにだった」


「ごめんなさい」


「今回は相手が悪すぎだったけど…… 次は気を付けてね」


頭を下げた織倉さんに注意して、魔物車の準備をする。


「あるじ!」


「来ちゃったか……」


ラミィの言葉にマップを確認すると…… 赤いマーカーが4つ……


「ちょっと…… 脅しておくか?」


 ・

 ・

 ・


「おい! 急げ!」


「なぁ…… 本当にやるのか?」


「今さら怖じ気付くなよ…… あの獣人の子供を見たろう?」


「獣人の奴隷…… 特に子供は高いからな」


「おうよ! あいつ等は価値がわかっていない…… 獣人の奴隷なんぞ、貴族と縁を持つのに売り付けてなんぼの存在だ。それを連れて旅だ? 襲われて当然なんだよ!」


「静かにしろ! そろそろ追い付くぞ」


身体に対して翼が小さい全長3メートル以上の鳥に乗って、俺達に絡んだ冒険者パーティが接近して来る。


「ああ言う鳥…… ゲームで見るな」


接近して来る冒険者パーティの姿を確認しながら…… 俺は、織倉さんに頼んでいた狐面ゴーグルを付ける。


「さあ…… 狩りの時間だ」


黒い特殊部隊の隊服に着替えた俺は…… 闇に潜った。


「先ずは…… 1人!」


先頭を走る冒険者の影から背後に回ると…… 側頭部にバールを叩き込む!


「があ!?」


不意打ちを受けた冒険者が鳥から叩き落ちると…… 俺は次の冒険者に風魔法を叩き付けた。


「ぐあ!?」


「2人……」


「この!?」


弓を構えた冒険者の乗る鳥の足元にイナバが穴を空けて、冒険者ごと鳥を倒れさせた。


「これで3人…… まだ殺るかい?」


「ヒイィィィ!」


最後の1人が恐れをなして、急ぎ鳥をUターンさせた。


「お~い! 仲間を忘れてるぞ!」


その言葉に戻って来るのを見て……


「おつかれ」


イナバを抱き上げた俺は…… 再び闇に潜った。



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