どうやら召喚者達はクズっぽいので、とりあえず逃げる方向で……
「なんだぁ~…… 召喚されたのにスキル無しか? チィ、使えないゴミめ!」
「うお!?」
俺を突き飛ばした騎士がまた、いきなり俺の襟首を掴んでは、投げ捨てる様に投げ飛ばした。
「あだ!!」
地面に転がる様にして強打を避けたが…… かなり痛い。
(いてぇ…… 隷属と聞いていたが、召喚者はかなりヤバイ奴の様だな…… はやく逃げた方が良さそうだけど…… スキル無しって、どういう事だ?)
水晶を触れた時、俺にはスキルが3つ表示されていたはずだったが……
(とりあえず…… ステータスを確認して見るか?)
水晶に触れた時を思いながら、心の中でステータスと唱えて見ると……
(おっ! ステータスが見えた)
水晶に触れた時と同じ様に、頭の中にガラス板が現れた。
《姓名 無し… 職業 プレイヤー…》
《ユニークスキル ゲームセレクト 浄回 吸収》
(姓名が無い? 転生したからか? スキルは…… あるじゃん! どうして無しって言ったんだよ? う~ん? ユニーク? ひょっとして…… ユニークスキルって表示されないのか?)
「け、剣聖だと!? ま、まさか…… 貴様が、いや、貴方様が勇者様ですかな?」
俺がステータスを確認いる間に周囲が騒がしくなったので、騒ぎの中心を見た……
(あれが勇者…… いや無理だろう)
そこには、見るからに運動不足の細身な青年がいた。
(剣聖って…… その腕、どう見ても剣を持ち上げられないよな? 持ち上げられない剣で、どう戦うだよ!!)
その後も次々に騒がしくなるが…… 上位魔法スキル持ちのマッチョに聖魔法スキル持ちのギャルなどの色物勇者パーティーができていた。
(うん、この勇者召喚は失敗だわ)
そして、召喚された全員のスキルを確認すると、上位スキル持ちとそれ以外に分けられて……
「貴様はここで充分だ」
俺は、薄暗い物置に蹴り飛ばされた。
「いつう…… 日本だったら通報されんぞ!」
蹴られた尻をさすりながら周囲を確認して……
「とりあえずは…… スキルの性能確認からだな」
人目が無さそうなので、あらためてステータスを確認する事にした。
(姓名の無しって…… 自分で名付けるしかないのかな? うん? 無しの後に何か……)
ステータスに表示された姓名の無しの後に小さく〝Lv1〟と表示されていた。
(小さ!? えっ、Lvって、この世界ってゲームの様にLvで強さが変わるの?)
あの運動不足剣聖がゴリマッチョになるのを想像したが……
(そういえば、スキルで職業を決め付けていたけど…… 俺のプレイヤーって何?)
よく見ると職業プレイヤーの後にも〝Lv1〟の表示がされていた。
(名前と職業、Lvに付いては考えても分からんから、スキルの検証をしよう! そういえば…… 3つの内2つは貰ったスキルだったはずだけど…… どれだ?)
俺は、3つのユニークスキルに首を傾げるのだった。