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見習いっ娘育成計画……


「移動手段と遠距離攻撃を手に入れたし…… そろそろあの娘の育成を始めるか」


伯爵の領都に着く前に…… 魔力過多に苦しむ見習いっ娘のLvを上げて、魔法スキルを覚えさせたい。


「理想としては生活魔法なんだけど…… ハンドガンの魔導具があれば、土魔法と風魔法を覚えると思う…… ジョブが何になるか?は、わからないけど」


そろそろ姫様の状態も戻りそうだし…… あの娘自身が魔力を使う事を覚えないとな。


「ふむ…… なら、双子とニィーナとラミィはあずかろう」


「お願いします」


「ミナ姫様の体調も良いし…… 双子は勿論、あの2人にも会いたがっていてな」


「それは良かった…… ニィーナ、ラミィ、姫様と仲良くね」


「「うん」」


「それじゃあ…… 行こうか?」


「は、はい」


メイドさんにニィーナとラミィをあずけて、見習いっ娘と魔物車に向かった。


 ・

 ・

 ・


「まぁ、せっかくだし…… 投擲スキルも覚えようか?」


「は、はい」


ひょこひょこと付いて来る見習いっ娘……


「ひょっとして…… 足、怪我してる?」


「え、あ…… 小さい時…… 怪我して……」


そう言えば…… 虐待されていたって言っていたな…… 俺に治せて事か?


「何処を怪我したの?」


「え、あ、このあたりです……」


見習いっ娘が左の太股の付け根…… 股関節の辺りを指で示す。


「小さい時にか……(赤ん坊の時に足を怪我したのか? 歩行に障害が出てるって事は…… 骨折でもして、骨が変形してしまったのか……)う~ん…… ちょっと触っても?」


「え、あの…… わかりました…… ど、どうぞ……」


手繰り上げたメイド服のスカートの中から、細い足が見えた。


「じゃあ…… 触るよ」


「は、はい…… ぅん……」


(やっぱりか……)


付け根から少し下の太股の骨が…… 少しボコっとしている。


どうやら骨折したのに、ちゃんと治療されなかった様だ。


「(試して見るか……)ちょっと舐めるよ」


「え、ひゃ…… ぅん…… はぁ……」


織倉さんの火傷を治した様に…… 見習いっ娘の太股を浄回しながら舐める。


「ちょっ!? な、何してるんですか!!!」


「は、ハレンチです!!!」


見習いっ娘の治療をしていたら、織倉さんと里山さんに引き剥がされた。


「いや…… あのですね……」


「この娘には…… そ、そうゆうのは、はやいので…… わ、私に!」


「そ、そうです! 私にして下さい!!」


「いやちょっ…… 治療していたんですが……」


「「え、治療……」」


「足が…… じんじん…… します……」


「大丈夫かい? ちょっと歩いてごらん」


見習いっ娘の手を引いて、足の動きを見ると……


「あれ…… 足が…… 何時もと違う……」


「どうやら治せたみたいだけど…… 何時もの歩き方が身に付いたから、逆に歩き辛いのかな…… しばらくは歩行訓練しようね?」


「は、はい……」


「今日は、弱い魔物を遠距離から攻撃しようね?」


急に足が治った違和感から不安になったのか? 少し落ち込んでるみたいだから、弱い魔物でLv上げする事にした。


「そう言えば…… 名前は? 俺の事は、ヨミって呼んでくれて良いから」


「よ、ヨミおにぃちゃん…… わ、わたしは…… らん…… 小町(こちょう) (らん)です……」


「胡蝶蘭? お花みたいな名前だね」


「そ、そんな事は…… おかあさんは…… おとうさんに〝いらん〟って…… 言われたから付けたって…… 言ってました」


「(いらん…… いらないって事かよ。 それを名前に…… 間違いなくクズだな!)ランちゃんって呼んで良い?」


「え、あ、あの…… ちゃんはいらないです……」


「じゃあ…… ラン、これからは一緒に冒険もしようね」


「冒険…… も?」


「うん、君は大丈夫…… 俺達と一緒だから」


「一緒…… 一緒にいてくれるの?」


「ああ、君が嫌じゃないのならね?」


「う、うぅん…… いやじゃない、わたしも…… わたしも、ヨミおにぃちゃんと冒険する!」


「よし、それじゃあ先ずは…… 投擲の石拾いだな」


「うん!」


ランと一緒に石を探す俺……


「良いな…… 私もそんなお兄ちゃんが欲しい……」


「小さい娘の面倒を見る少年…… 尊いわ…… やっぱり、小学校の先生の方が……」


その様子を見て、織倉さんと里山さんがちょっと変な感じになったけど…… 放置した。


「主を兄と…… グリズ」


「わかった。主の妹さんを守る」


ラフディとグリズは、ランの警護にやる気が出た様で良かった。


「じゃあ、始めるか?」


 ・

 ・

 ・


「お、ランのLvが上がった」


「ほんとに?」


俺達は、ランの安全の為に…… フィールドラットって言うネズミ系の弱い魔物を中心に探して狩った。


普通は魔石も小さ過ぎて素材にならないので、討伐依頼でも無いと無視する魔物だが……


数だけは多いので、スキルのLv上げには持って来いな魔物だ。


「本当だよ。投擲と土魔法に風魔法も覚えたみたいだ。自分のステータスで確認してご覧」


「うん! 本当だ…… えい!」


「お! すごいな…… エアランスか?」


「ヨミおにぃちゃん、ちがうの…… え~っとね…… え、エアボールなの」


「「「「え!?」」」」


「マジで?」


「うん」


戸惑い気味に頷くランが近くの太めな木に試したのは、下位や低級と言われる風魔法のエアボールで……


エアボールが当たった木は、中心に大きな穴を空けて倒れた……


その威力は、どう見ても……


中位や中級以上の…… 魔法と同等の威力でした。



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