移動手段を入手…… できるかな?
「おはよう……」
「おはよう…… ござい…… ます……」
別のベットで寝ていたのに…… 目覚めたらニィーナが抱き付いていたので、起こしながらベットから下りる。
「顔を拭いたら…… 隣を見て来てね」
「う~ん……」
ニィーナの顔を洗顔シートで拭き、隣の女部屋の様子を見に行かせると……
コンコン…… しばらくして、扉をノックする音がした。
「はい、おはようございます…… どうでしたか?」
扉を開けると…… ニィーナが里山さんとラミィを連れて来た。
「織倉さんはベビールームに? ラフディとグリズも呼ぶか…… うん? ラミィ、どうした?」
ラミィが袖を引っ張るので、しゃがんで目線を合わせると……
「よるに…… きのうのおじさんがきてた……」
「おじさん…… 冒険者ギルドにいた?」
「うん……」
「筋肉…… 最初に会った方?」
「たぶん……」
「(冒険者ギルドの解体士が何用だ? 俺達を探っていた…… 何故?)とりあえず…… ラフディとグリズを呼んで、宿を引き払い冒険者ギルドに行こうか?」
「はい」「「うん」」
俺は後の予定を告げると、プレハブタイプの格納庫にラフディとグリズを迎えに行った。
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「次は食事付きで宿泊して下さいね」
「ええ、できれば…… それでは次の機会に」
受付の女性に挨拶して、宿を後にした俺達は…… 冒険者ギルドに向かう。
「いらっしゃいませ。君達は…… お待ちして下りました」
イケメンさんが俺達に気付いて、案内する様に俺達を手招きして奥の部屋に……
「此処は?」
「Dランク以上が使える個室…… 指名依頼とかの依頼内容の機密保持などの為のね」
「魔物の買い取り内容を秘密にする為…… ですか?」
「それもだけど…… 君達、狙われてるよ」
さらりとイケメンさんは、重要な話題を言った。
「え、狙われてるんですか? 俺達」
「正確には…… 君がだね。顔を隠しているからか? 何処かの貴族か、それ以上の身分だと思われているよ。その歳の孤児にしては…… 作法と礼儀がおかしいからね」
「俺達のいた処は、平民でもこのくらいの作法と礼儀なんですけど……」
「顔を隠しているから、余計に目立ったんだろうね。商人ギルドでやり合ったんでしょ? 噂になってるよ」
「噂ですか?」
「ボンクラな3男が、子供の相手にもならなかったって…… 子供って、君の事だよね?」
「ボンクラな3男…… あの丁寧口調で人の話を聞かない人ですか? 奴隷を売れって五月蝿かった」
「たぶんそいつ。でも売らずにやり過ごしたんでしょ? 普通の商人なら伯爵が頭に浮かんで、奴隷を手放してるよ」
「なるほど…… 商人ギルドの人では無く、伯爵の3男に逆らったと思われたんですね?」
「うん、そう言う事。で、君達は今後どうする?」
「とりあえず…… 移動手段を手に入れて、旅に出ます」
「旅に? この街に定住しないの?」
「移動に便利だから冒険者になっただけで、この街で暮らすつもりは無いですね…… いろいろ物騒な感じですし」
「そうか…… ギルドの人間としては、君達の様な冒険者がいると、魔物の討伐とか楽になりそうなんだけど…… 残念です」
そう言ってイケメンさんは、テーブルに革袋を置く。
「これが、君達が討伐した魔物の料金です。破壊熊などのBランクよりのCランクの魔物もいたので、金貨30枚と銀貨60枚に銅貨が9枚です。買い物がしやすい様に銀貨を多めにしましたが…… よろしいでしょうか?」
「ありがとうございます。ところで…… 移動手段が買える場所を、知っていますか?」
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「けぇんな…… お前さん等に売る馬は…… ねえよ」
冒険者ギルドで紹介された馬車屋で…… そう言われた。
「馬は…… ですか?」
「そうだが……」
「なら、馬車を見せて下さい」
「馬車か…… 来な」
店主の案内で馬車の方に向かう……
「悪いな…… 今朝方、商人ギルドから馬を売るなってお達しが来てな……」
「なるほど…… ところで店主。この馬車は…… 馬以外でも引けますか?」
「馬以外だと?」
「ええ、実は……」
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「ど……」
「しっかりと、掴まっていて下さい」
「どうして……」
「逝きますよ」
「どうしてこうなったぁ~!!!?」
森の近くの草原で…… 俺が里山さんを背負う様にして、熊に跨がり激走する。
「里山さんのジョブが、【魔物使い】だった事を怨んで下さい」
「いっ、やぁぁぁぁぁ!!!?」
「はやくテイムして下さいね」
里山さんのスキルLvアップと、俺のテイムスキル取得と騎乗スキルのLvアップの為に……
「じゃないと…… 死にますよ」
「おにぃぃぃぃぃ!!!」
こうして、テイムするまでは終わらない…… テイム耐久破壊熊ロデオゲームが始まったのだった。
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~ だいたい8時間後…… ~
「も、もう…… む、むり…… むりです……」
必死の思いで、破壊熊のテイムに成功した里山さんと……
「よし、【テイム】で角兎ゲット! 騎乗もLv6になってる」
新スキルとスキルのLvアップで喜ぶ俺がいた。
俺の背中は、極限状態の恐怖からか? いろいろとビチャビチャになっていたけど……
里山さんの身体と一緒に浄回スキルで浄化した。




