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メイドさんに教わる異世界常識……


「ニィーナ、種族スキルは【招福】で、サブジョブは…… 狩人と獣舞士(じゅうぶし)だね」


「しょうふく…… かりゅうどにじゅうぶし?」


「招福は、良い事が起きる様になる…… スキルかな? 狩人は弓とかで獲物を狩るジョブで…… 獣舞士は、舞い踊る事で特殊な力を付与できるジョブみたいだね」


「まいおどる…… それにする」


「うん、わかった」


ニィーナの副業(サブジョブ)は、獣舞士になりました。


 ・

 ・

 ・


「で、どうしたんだ?」


「街に着く前に、この世界の事を教えて下さい」


「ふむ、私も平民の常識には疎いのだが…… 街に着くならば、入場に金がいるな。ああ…… 傭兵や魔法士などのジョブギルドに登録すれば、ギルド会員証で免除できるぞ」


「ジョブギルドですか…… 俺ならどのギルドがいいですかね?」


「う~ん…… 冒険者が無難だな」


「あ、冒険者ギルドがあるんですか?」


「うん? 君達の世界にもあるのか?」


「物語には…… ですね」


「ふむ…… 君達の世界にはスキルが無いのだったな」


「魔物もいないので、冒険者はいないかな? 未開の場所に挑む探検家や、太古の遺跡や化石を調べる発掘家はいるけど」


「そうか…… では話を続けると、移動を…… 旅をするのならば、傭兵ギルドよりも冒険者ギルドの方が…… 君達の年齢的に向いているだろうな」


「傭兵は…… 戦争などの対人戦闘が主軸だからですね?」


「そうだ…… 商人の護衛や貴族の警護に雇われたりするが、基本は戦争か盗賊の討伐が仕事だから…… 君達の年齢だと、何処かの傭兵団に入れられて定住させられる可能性が高い。傭兵とは言え街から見れば街の守りに使える戦力で、君の様に…… 複数のスキル持ちなら、尚更に定住させ様とするだろうな」


「それは、冒険者も同じでは?」


「いや…… 冒険者は魔物や盗賊などと戦うが、狩る事が主な仕事だ。それに冒険者は自由を好む…… それは実力者になるほどその傾向が高く、国や街に縛られる事を嫌い姿を消されると…… 困るのは?」


「国と街ですか?」


「そうだ。例えば…… この国に強い魔物のダンジョンができたとして、攻略するならこの国の兵になれと言われたら…… 君は、この国に来るかい?」


「ごめんですね」


「だろうな…… だから、多くの国は冒険者の移動を規制しないし、やらないのだ。どの国も国内の魔物を減らす為に、冒険者には魔物を狩って欲しいからな」


「そう言う意味なら冒険者に登録します」


「戦闘が苦手なら商人ギルドをすすめたが…… あちらは商品によっては利権が絡むのでな」


物によっては国の利権や国防が絡むから、俺の様な異世界から来た者はやめとけとの事……


(元の世界でも、兵器のパーツになるとかで貿易禁止とかあったから…… 何が貴重か判断できない内は商売はやめるべきだな)


俺達の世界でも、昔は胡椒が金と同じ値段で取引されたと言うし…… つい最近も、カードゲームのカードに数千万の値段が付いたりした…… それを狙った犯罪者も増えたから、商売はやらない方が無難だな。


「パーティメンバーが増えたので、移動手段が欲しいのですが…… この世界での一般的な移動手段を教えて下さい」


「移動手段か…… 基本的は馬だが、騎士や冒険者には魔物を飼い慣らす者がいて、国によっては走る鳥やラクダに蜥蜴の魔物を騎獣にする国がある様だ。一般的ならこの国は馬車だな。農村ならばロバに荷車もあるが…… 魔物が出る旅の道中では逃げ切れないだろうな」


「それなりの馬車が用意できる様にしますが…… 俺の年齢でも大丈夫ですか?」


「うむ…… 人数も多いし、盗賊からの戦利品…… って事でどうだ?」


「どうだと言われても……」


「まあ、街に入る時は大人を連れて行けば良い」


「大人……」


 ・

 ・

 ・


「さあ! Lvを上げるわよ~♪」


「大人……」「大人?」「大人~!」


「大人…… ですね」


大人がいた方が良いので、実習生の人をラミィとチェンジしました。


「Lv差を考えて…… このメンバーだけど、ラミィがいないからラフディは臭いに注意してね」


「はい」


「グリズは、実習生「真理、里山(さとやま) 真理(まり)です!」…… 里山さんの護衛をお願い」


「はい」


「ニィーナは、踊りのスキルアップと里山さんのフォローね」


「ふぉろ~?」


「里山さんを応援してね?」


「うん!」


「それで、里山さん」


「はい!」


「先ずは…… 石拾いですね」


「え……」


 ・

 ・

 ・


「この臭い…… 敵です」


「グリズ、里山さんのガード!」


「はい!」


「ニィーナ、応援して」


「うん!」


「里山さん、石の用意!」


「は、はい!」


「来ます!」


「投げて!」


「えい!」


里山さんが細かい石を散弾の様に投げると……


ギャン!? 犬の様な悲鳴がした。


「墓荒らしハイエナですね…… はぐれの様です」


里山さんの石投げの後、ラフディの剣がハイエナの喉元を斬る。


「あ、里山さんのLvが上がって、投擲スキルを覚えた」


「本当ですか!?」


「自分でも確認して下さい」


「本当だ!」


子供の様にはしゃぐ里山さんに……


「この人…… 大人に見えるか?」


魔石を抜き取った魔物を収納しながら、俺は不安になるのだった。



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