パーティプレイ…… なのに、俺がやるのは暗殺プレイ。
「ラフディ達のLvが5か…… ふぅ~…… 人間でも落ちるのか……」
ラフディ達のLvアップを確認した俺が見たのは…… 盗賊達の〝ドロップアイテム〟の…… 前世の生首だった。
(俺の敵なら…… 人間でも魔物でも関係無いのか?)
何時もの様に足で踏む様に回収し、ラフディ達を呼ぶ。
「倒したのですか?」
「なんとかな…… 商人達の商品も集めた場所の様だ。俺の荷物を捜してくれ」
「「「「はい」」」」
「ラミィは、足音の警戒…… 近付いたら教えてくれな?」
「うん。あ! はい」
「普通で良いよ」
緊張気味のラミィの頭を撫でて、俺はバイクを収納する。
「さて…… 次はどうするか……(マスターキーを回収したら…… ベビールームに逃げるか? いや、それだと次にマスターキーを使うと此処に戻る事になる…… 俺達が消えたら、盗賊達が王都には……)行かないよなぁ……」
「ありました!」
「よし、全部あるか調べるから…… 他の荷物の確認を頼む」
「「「はい」」」
「あ、ラミィは足音に集中な。近付いたら教えて」
「うん」
指示した後、ラフディ達が見付け出した俺の所持品を確認する……
「コートに…… 胸当ては、矢の傷痕で穴が空いてるな…… ヘルムとズボン…… ブーツに…… あ、あった!」
剥ぎ取られた衣服の下にマスターキーを見付けた。
「目当ての物はあったが…… やはり、此処からは出たいよな?」
俺の呟きに、ラフディ達が頷く。
「どうせなら…… 此処の荷物もいただくとするか……」
俺は、50万ポイントを使って…… ショッピングから別の部屋の鍵を買った。
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「これで…… 最後と」
最後の荷物を…… 新たに買ったプレハブタイプの格納庫に運び込み、俺はラフディ達の処に戻る。
「盗賊達は?」
「まだ来てないみたいです」
「残るは…… 4人か?」
宝石の色が2色になったマスターキーを収納して、残る盗賊達をどうするか考える。
「この荷物は…… どうやって運び込んだ?」
商人の商品だった荷物は、かなり多く…… 地下に運んで出し入れは、大人の男達でも大変そうだ。
「たぶんだけど…… 別の入口があるの」
「別の入口? 小屋以外の?」
「うん、あのね……」
ニィーナが答えてくれたのは…… ニィーナが盗賊達に捕まった時の様子。
ニィーナは、旅暮らしだった両親がはやくに亡くなり…… 小さな村から王都の施設に送られた処を盗賊に襲われた。
その時に小屋では無い場所から、地下の檻に入れられたと言う。
「裏口があるか…… となると、見張りの盗賊も分散しているか?」
「たぶん…… 離れた場所から、別々の人の臭いがします」
ラフディが嗅覚強化で辺りを探ると…… 少し離れた別々の場所から、臭いが流れて来たと教えてくれる。
「ふむ…… なら、1人づつだな……」
俺は、ラフディ達と裏口を目指した。
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「この扉の先か?」
「草木の臭いが強くします…… 森の中ですね」
天窓の蓋の様に天井に少し斜めになってる木の板を見付けたら、ラフディが嗅覚でその先が森だと教えてくれる。
「見張りは?」
「この上と…… その木の先…… 森に人がいるよ」
「1人づつか?」
「え~っと…… うん、足音が1つ…… 離れて1つだよ」
「よし、グリズ前に…… ラフディは後ろを警戒しろ」
「「はい」」
「ニィーナとラミィを守れよ」
「主は?」
「ちょっと…… 殺ってみる」
ラフディ達に指示して、俺は木の板に張り付く……
(ラミィが天井を見て1つと言った…… つまり、この板のすぐ側に1人いるって事だ。なら……)
板を少しだけ持ち上げると、暗闇にうっすらと人の足が見えた。
(この暗闇なら…… いけるか?)
暗殺スキルのおかげで、奇襲ならほぼクリティカルの急所攻撃になる事が(スキル解説で)判明したのだが…… 森にいるもう1人が厄介だ。
(だか……)
足の向きが後ろを向いたので、板をずらして盗賊の後ろに忍び寄り……
「うぐ!?」
脇腹からナイフを斜め上に突き刺したら…… ナイフの尖端が心臓に達した様で、小さな呻き声を上げた盗賊が俺の方に崩れかかる。
(よし…… 上手く逝ったなぁ……)
そのまま盗賊の身体を胡座をかく様に座らせて、俺は歩腹前進で近くの木の影に……
「おい! サボるな…… 寝てんのか?」
森を見張っていた盗賊が気付き、近付いて来る。
「おい、こらてめぇ…… 寝てんじゃねぇ!?」
盗賊が俺の殺した盗賊に近付く為に、裏口の蓋をしていた木の板に乗った…… その瞬間にグリズが下から板を押し上げた!
「ぐあ!? いてぇ…… 何が……」
急にひっくり返されて、頭を打った盗賊が起き上がる前に…… 走り寄った俺は、バールを振り下ろした。
「あ、また上がった……」
俺の目に、ラフディ達のLvが2上がったと標示された。
「後…… 2人なんだが……(正直、盗賊の死体はいらない…… 処分に困るし……)なあ、この森に人を襲ったり食う魔物はいるか?」
ラフディ達に聞くと……
「人を…… 人狩り小人と墓荒らしハイエナ……」
「破壊熊と暴れマトン……」
「死神虎と軍隊狼……」
「獅子鷲と飛び鰐……」
「多くない? その中で1番厄介なのは?」
「墓荒らしハイエナと軍隊狼かな?」
「あいつ等は…… 血の臭いに敏感で、群れで行動するから……」
ラフディとグリズの言葉に、ニィーナとラミィが力強く頷く。
「血の臭い…… 名前からして、死体も食うのか?」
「ハイエナ達は特に……」
「なるほど……」
ラフディ達の言葉で、俺は…… 盗賊達の死体を処分する方法を思い付いた。
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「これでよし…… さあ、此処から離れるぞ」
俺は、盗賊達がアジトにしている狩人の小屋、その地下の荷物が集められていた場所に……
盗賊達の死体を5体置いて来ては、脇腹からナイフ突き刺した盗賊の死体を裏口の木の板まで…… ナイフを抜いた状態で引き摺って放置した。
「後は…… 魔物が片付けてくれるだろう」
死体の横には、蓋を開けたバイクの燃料タンク…… 入口の床には、ショッピングから業務用の小麦粉を袋破いて…… そして、そこには盗賊達が火を付けていたランプ…… そのままにして置いた。
「なるはやで、森の外を目指すぞ!」
「「はい」」「「うん」」
そして、俺達はラフディとラミィのスキルで魔物を避け、森を出る様に進んでいたら……
ドッゴーン!!! 小屋の方から爆発音がして……
「あ、Lvが上がった」
また、ラフディ達のLvが上がったと標示されて…… 俺のLvも上がっていた。




