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これから始まる冒険の前に…… ショッピング?


「出れたぞ」


壁の外に出れた俺は、ベビールームにいた双子に織倉さんと実習生の人、それにメイドさんに報告した。


「お、王都から出たのか?」


「えぇ、壁の外の河川敷に出たので……」


「ふむ…… それは王都から流れる川だ。どうやら、無事に外に出れた様だ」


「王都から…… 水が湧いてるんですか?」


「ああ、城の中から城下に流れている」


「そうなんですね…… 川から離れた方が良いかな?」


「そうだな…… 下水が流れているし、貨物などの船が行き来しているからな。地元の者は近付かないから目立つかも知れない…… 川から離れて街道に向かえ」


「街道……」


「頼める筋合いでは無いが…… 私の故郷の東の辺境に、向かって欲しいのだ」


「東の辺境…… ですか?」


「ああ、実はなぁ……」


メイドさんの話では…… この国【アオハルト王国】の東の辺境【アーリアイス辺境伯】領に、この国の第2王子がいるらしい。


「どうして辺境に王子が……」


「この国の辺境伯は、王属の血統を持つのだ。それ故により良い血を残す為と他国との友好の為に…… 他国の王公貴族と婚姻し血を採り入れたのです。そして、第2王子は東の辺境伯の令嬢と婚約していたので、近々の魔物の動きの対策に向かっていたのですが……」


「音信不通って…… 事ですか?」


「ああ、だから君に見て来て欲しいのだ」


「行く宛も無いですし…… 見るだけなら良いですよ」


「すまないな」


「それで距離的には、どのくらいでしょ?」


「馬車なら…… 今の時期は15から20日くらいだが、冬季になると雪で街道が閉ざされる事もある…… 急いだ方が良い」


「なるほど…… 何か足になる物が必要だな」


「確かに準備が必要だな…… だが、急いでくれ」


頭を下げるメイドさんに、準備万端で明後日くらいには出発すると告げて……


「さあ、買い物を始め様……」


ショッピングの一覧を開く。


「先ずは…… 装備品かな?」


異世界で、現代日本のカジュアルな服装は目立つだろうし…… 異世界風の服装にチェンジした方が良いだろう。


焦げ茶のフード付きロングコートと同色の革製のズボンを買う。


「フィールドカウの革…… 牛の魔物か?」


メイドさんの話では、野生の牛型魔物で草原などにいる魔物では強い方らしい。


「攻撃力もダッシュボアと同じくらいだが、防御力ならフィールドカウだな。ダッシュボアは頭部以外は弱い」


「ふ~ん…… あ、ダッシュボアの胸当てだ。え~っと、頭部の革製……」


「それは買いだな。ダッシュボアの頭部の革は刃物を弾くから、念の為にコートの下か上に付けて置け」


「はい! 私も…… 私も整備が必要です!」


織倉さんと実習生の人が手を上げる。


「織倉さんは…… 装備が焼けたからわかりますけど、あなたもですか?」


「私も御一緒しても良いですか?」


実習生の人も俺達と行動を伴にする気らしい。


「同級生に火を放つなんて…… 教員の範疇を超えてますし、実は私…… 小学生の先生か保育士になりたかったんです! 少子化を考えて、高校の教員を目指しましたが…… 人に火を放つなんて…… あの子達が怖くなりました」


「そうですか…… う~ん、でも…… この世界は現代の様な安全は無いと思いますよ」


「それは…… 私も異世界物の小説とか見ますから、盗賊とか人殺しがいると思ってます」


「それらを殺す事になるかもですけど……」


「顔見知りに襲われる恐怖よりはましです!」


ついこないだまで先生と生徒の関係が…… この人には今は放火魔に見えているのかもな……


「それじゃあ、とりあえず服装からですね。どんなのが良いですか?」


その後は、焼けてしまった織倉さんの装備を中心に服装などの注文を受けるが……


「いい加減にして下さい! 俺に女の下着がわかるか!!」


やれブラだショーツだと言われても、カップやサイズなんかわかるか!! セクハラだ!セクハラ……


「顔を赤くして…… 尊いわ……」


「先生…… その気持ち…… なんかわかる!」


実習生の人と織倉さんが謎の意気投合していたが…… 藪蛇になりそうなので無視した。


「拗ねちゃった…… 尊い……」


「うわぁ…… その顔も良いかも?」


「はいはい…… 服はもういい?」


言われるままに操作して買った服を渡ながら聞いたら……


「1週間分は大丈夫!」


「洗濯はどうしましょう?」


「此処の奥にお風呂と洗濯機があるよ」


「マジで!?」


俺よりも、見習いっ娘の方がベビールームに詳しくなっていた。


「お風呂…… お風呂があるの!?」


「う、うん、この子達と入ってるよ」


「「あい♪」」


見習いっ娘の言葉に双子が元気に答える。


「織倉さん……」


「はい……」


「「お風呂借ります!!」」


「あ、どうぞって!? 何で引っ張るんですか?」


「あなたも入るんですよ!」


「そうです! 下水に落ちたんですから!」


「やめい! スキルで汚れないし、入るなら1人で入る!!」


「女の子がそんな事ではいけません!」


「おんな!? ちょっと待って、俺は男ですよ!!」


「「男の子!?」」


後で鏡を見たら、転生した俺の顔は……


中性的と言うよりも、少女の様な愛らしい美形でした。



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