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浄回スキルの使い方。~ 俺、○○になる…… ~


「ぐあぁ!!!」


背中に衝撃を受けて、吹き飛ばされる様にベビールームの床を転がる。


「ぐがぁ…… がぁ!」


背中に激痛が走る…… 背中全面を焼かれた様だ。


「ぐぞがぁ! 織倉さんがいるのに…… 織倉さん!?」


身体を引き摺りながら、織倉さんに近付こうとするが……


「させない!」


俺の前に実習生の人が立ちはだかる。


「邪魔するなぁー!!!」


Lv任せに押し退けて、織倉さんを仰向けにすると……


「ヒィ、ひどい……」


織倉さんの顔が焼き爛れていて、その酷さに実習生の人が顔を背ける。


「くっ、知り合いでも火を飛ばすのかよ……」


俺が肩に担ぎ上げる様に運んでいたから、織倉さんの顔が俺の背中と同じくらいにの位置だった。


(直撃は免れたけど、爆発の余波で焼かれた感じか…… Lv差で俺の方は軽傷だったのか? 兎に角治療を)


「ちょっ、何を!?」


俺はショッピングから、ナイフが買って取り出すと……


「広範囲で時間が無い…… 悪いが我慢してくれな!!!」


「ちょっ!?」


自分の手の平に突き刺した。


「ぐぅ…… やっぱ…… いってぇ……」


「何してるんですか!?」


「黙って見てろ!」


俺は、突き刺したナイフをえぐりながら、飛び散る血を織倉さんの患部に塗り付けて……


「条件を満たした…… 後は、上手くいくかだが…… やるしかない」


織倉さんの顔がきれいになる様にイメージして、浄回スキルを全開で使う……


浄回スキルの自分以外の相手を回復するには、ある条件がある……


それは、俺の体液を相手に塗り付ける事…… それにより相手を自分と同じと認識し、浄回スキルの回復効果が誘発する。


(Lvが無いユニークスキル…… 相手に初めて使うが…… 上手くいってくれよ)


祈る様に浄回スキルを全開で織倉さんの顔を撫でていると……


「え、か、髪が…… は、生えてきてる!?」


隣で辛そうに見ていた実習生の声が上がる。


「もう少し…… もう少しだ…… 織倉さん、がんばれ……」


織倉さんの焼け落ちた髪が戻るのを見ながら、さらに浄回スキルに力を込める。


「そんな…… 肌が……」


焼けて爛れていた顔の皮膚が目に見えて消えては、元の織倉さんの顔に徐々に戻っていく……


(後少し…… 後少しだから…… もってくれよ…… 俺……)


織倉さんの顔が元に戻るのを見て、俺の意識は暗転した。


 ・

 ・

 ・


「うぁん? あれ…… 俺……」


「あ、起きた!」


気が付いたら、見習いっ娘が目の前にいた。


「よかった…… 生きてたよ……」


へたり込んだ実習生の人に話を聞くと…… 俺は織倉さんの治療中に倒れたらしい。


「急に織倉さんに重なる様に倒れた後、顔が真っ白になってたから…… 死んじゃったかと思った~」


緊張の糸が切れたのか…… 泣き初めてしまったので、見習いっ娘に織倉さんの様子を聞く。


「おねえちゃんは……」


「う~ん…… 肩と腕が痛いよ~」


隣で蠢いていた。


「織倉さん、あまり動くと傷が……」


「痛くって…… 身体が勝手に……」


痛みに反射的に動く身体に苦労している様だ。


「痛い痛い痛い! ちょっと、何で普通にしてるの!?」


同じ様に焼かれた俺が普通にしているのに、織倉さんが気付いた。


「オレ、スキルデナオル」


「ちょっ!? いたぁ~…… 何か隠してない?」


「カクシテナイ(1回死んだけど)」


「くぅ~…… でも、助けてくれてありがとう」


「いえいえ」


「あの……」


「何すか?」


「織倉さんの傷…… 治せませんか?」


「う~ん…… 織倉さん?」


「何?」


「緊急時だから聞けなかったけど…… 俺の血を塗り付けていい?」


「はあ? ちょっ!? 痛たたた…… こんな時に冗談はやめてよ!」


「いや…… 冗談じゃなくてね……」


俺は、浄回スキルに付いて説明した。


「つまり…… あなたの体液を塗れば、スキルが勘違いして回復してくれると?」


「うん、実証は……」


俺が実習生の人を見ると……


「確かに…… 血を塗り付けてから治りました」


「先生が見てる前でナイフを…… 嘘では無さそうね」


「嘘で左手をえぐる程、狂ってるつもりは無いが……」


「でも、血じゃなくても良いんでしょ?」


「え?」


「確かに体液なら…… 他にも……」


こらこら実習生。何処を見てるんだ? 何処を?


「他にもって……」


「舐めて」


「はい?」


「だから…… 私の傷…… 舐めて治して!」


「え、あ、その…… さすがに…… ちょっと…… て、何ですか?」


織倉さんの言葉に、戸惑う俺の肩を実習生の人が掴んで……


「医療行為ですから」


「え、あの……「「医療行為ですから!!!」」…… はい……」


織倉さんと実習生の人の圧力に負けて……


俺は犬の様に、織倉さんの傷を舐めて治療した。



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