ボーナスステージのその先で…… 地下墓地に眠りし先輩。
「だしゃあ!!」
盾を構えた骸骨騎士に、俺はお構い無しにバールを叩き付けると……
ガッシャン! カラン!カラン! ぐしゃ…… 光の粒子と灰になった骸骨騎士の盾と装備…… それに首が落ちる。
「うら! 50機目!!」
首を踏み付けて回収し、俺は鼓舞する様に吼える。
「少し減って来たな…… うん? さらに下があるのか?」
何時の間にかいたスケルトンナイト達、そいつ等が上がって来たと思われる…… さらなる地下に続く階段を見付けた。
「さて…… 行くべきか? 退くべきか?」
ちょっと考えて、追撃されたらウザいなと思ったので……
「行くか……」
階段を降りる事にしたが……
「マジか……」
其処は、騎士や魔法使い達の墓地でした。
「えぇ…… そう言えば、スケルトンメイジっていたっけ? 魔法使うのに詠唱は必要ないのか?」
とか、考えていたら……
「あぶね!? ファイア…… アローか?」
階段から覗き込む俺に、炎の矢が飛んで来た。
「骨のくせして、配管工の宿敵や騎士の宿敵とかの吐く炎って…… こんな感じなのかな?」
レトロゲーのボスを思い出しながら、スケルトンメイジの魔法をどうしようか考えていると……
「おいおい…… ちょっと、連係もするのかよ!?」
スケルトンメイジの魔法の間から、スケルトンナイトが近付いて来る。
「舐めんな!」
盾を構えて走り込んで来た骸骨騎士の…… 盾をバールで叩く。
「うし! 盾ゲットォォォ!!」
光の粒子と灰に変わる骸骨騎士から…… ドロップした盾を拾い上げて、スケルトンメイジに突進!
「直接当たらなければ…… 大丈夫!?」
と思ったら…… スケルトンメイジがぞろぞろと現れた。
「いや~ん! ちょっ、ちょっと無理! 無理だって!?」
単発だった衝撃が…… 間を空けずに連続で俺の身体を走る!
「マジ! いやマジでちょっ、ちょっと! 子供の身体には無理だってぇ!?」
盾の耐久値がガンガン削られ中、俺は飛び道具をガードして固められて…… 体力ゲージが削られる格ゲーを思い出した。
「くそがぁ!?」
盾の耐久値が限界になる前に、弾かれてガラ空きになった俺の頭に…… 炎の矢が直撃する。
(ぐがぁぁぁ!! 魔法で死ぬのは初めてだぜ…… 骨格野郎が! 俺がゾンビアタックの見本を……)
「見せてやら!!」
復活直後に盾拾い直して、骸骨魔法使い供の元に滑り込む。
「うりゃあ! シールドアタぁぁぁックぅぅぅ!!!」
浄回スキル全開でスケルトンメイジの中を突進、スケルトンメイジ達が光の粒子と灰に変わるのを見ながら、次の獲物に向かってひた走った。
「ふっ…… 復活直後の無敵時間が無ければ…… 詰んだのは俺だったぜ」
盾構えのチャージタックルで、スケルトンメイジ達になんとか勝利すると……
「まだあるのかよ……」
スケルトンメイジのドロップアイテム回収を済ませたら、下り階段を発見したのだが……
「はい、呪い案件ですね…… 地下墓地で骨だったから、原因が呪いって思ったけど…… やっぱりかよ!」
下から来る嫌な気配を感じながら……
「うへぇ…… 俺、あんまりグロいのとか和系ホラー苦手なんだよな…… 投稿小説サイトとかの美容広告とかホラー系のマンガ広告でもテンション下がるくらい……」
散々アンデッドをボコった俺だが…… 実はグロいスプラッター系はちょっと苦手で、骨ならまだしも…… 腐った人係は勘弁願いたいなぁって、思いながらも階段を降りる。
「はい…… 和ホラーよりの悪霊系でした」
黒い半透明な少女が血の涙を流しながら、俺を睨んでやがる。
「もうやだ~、和系ホラーは1人で見るのやだって言ってるのにぃ!?」
半透明の少女が口を動かした瞬間、俺の身体に衝撃が走る……
(あ、この衝撃…… 何かで刺された時のだ……)
衝撃を受けた腹を見ると、剣が俺の身体を串刺しにしていた。
「しょ、初見で滅多刺しかよ……」
よく見ると…… 空中に剣や槍など複数の武器が浮いていて、それらが一斉に俺の身体に降り注ぐ。
「……の眠りを妨げる者は死ね…… ……の死に成り立つ国には滅びを……」
(こいつ…… 悪霊じゃなくて精霊か何かか? でも……)
俺の生死を確認する為か? ゆっくりと近付く半透明な少女の顔を……
「!?」
「悪いな…… 俺にこの手の初見殺しは効かないんだ」
復活の無敵時間を利用して、俺は半透明の少女の顔にアイアンクローをかました。
「俺のこの手が…… 浄化して回復する…… くらえ! ひぃぃぃっさぁぁぁつ!! 浄回フィンガぁぁぁぁぁ!!!」
黒い半透明の少女の顔に指を食い込ませて、浄回スキル全開で送り込む!
「!!!?」
俺の指から逃れ様と黒い半透明の少女が暴れたが…… お構い無しに指に力を込めて浄回スキルを流し込む!
すると、少女の身体から閃光が溢れ出し、やがて少女の身体に集束すると……
「うおっと!?」
辺りを光に染めて消えた。
「ふう…… あんたの連れかい?」
黒い半透明の少女が消えた後、部屋の奥に座っている人影に話しかけたが……
「騒がせてすみません…… うん? 着物…… 同郷の先輩でしたか……」
アンデッド化していないミイラ化した死体で気付いた。
「あの黒少女が守っていた?」
異世界の地下墓地で、日本人の遺体を前にした俺は……
「日本人を…… 何故?」
黒い半透明の少女を倒した事で、この人(死体)に怨まれないか?と…… すごい不安になった。




